2023年9月26日2,013 View

恐ろしい犬の害獣被害。イタチが危険な理由を知ってる?

大阪市内在住の筆者。最近実感するのがイタチの増殖です。確かに以前から時々見かけてはいたものの、この1〜2年ほどでしょうか、驚くほど頻繁にその姿を目にします。元々大阪はイタチが多い場所で、実はイタチの捕獲率は大阪府がダントツ。他には岐阜や京都、愛知、滋賀、島根や広島、福岡など西日本を中心に日本国中に生息しています。一見フェレットのようで愛らしくも見えないことはないイタチですが、非常に凶暴な性格で数多くの病原菌を持つ生き物。その中には愛犬を死に至らしめる可能性のある病原菌もあるため、改めて注意喚起をしたいと思いました。

関西以外でも全国的に広く生息

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BONDART PHOTOGRAPHY/shutterstock

 

冒頭でイタチは大阪を中心に関西エリアに多いと書きましたが、もちろん東京や関東エリアだから安心というわけではありません。

 

イタチと同様に東京の都市部で増えているハクビシンなども病原菌を数多く保持し、イタチと共通する病原菌がほとんど。

 

イタチは民家の屋根裏などの暖かい場所を好み、古い住宅や空き家などを巣作りの拠点にするのです。

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MARIO MONTERO ARROYO/shutterstock

 

そのため古い住宅地が多いエリアは格好の繁殖場所となり、そういえば筆者の住まうエリアで急激にイタチが増えたのは、空き家の増加と関係していると思い当たりました。

 

イタチ自体は野生の生き物なので自ら人や犬に寄ってくることはありませんし、散歩中に遭遇してもものすごいスピードで逃げ去ることが多いため、直接対面して受ける被害の可能性は低め。

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Kittibowornphatnon/shutterstock

 

では何がそんなに危険なのかというと、イタチが持つレプトスピラ菌です。

 

これはレプトスピラに感染したイタチやネズミ、ハクビシンなどの糞尿やそれに汚染された水などを舐めたり触れることで感染し、犬に感染した場合は肝臓や腎臓に重度な障害を引き起こします。

 

死に至ることも多く、感染のしやすさと致死率の高さからとても怖い病原菌といえるのです。

 

都市部のフレブルほど注意が必要

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Tienuskin/shutterstock

 

さて、日本各地に広く生息するイタチやハクビシンですが、より気をつけたいのが主に都市部に暮らすフレブルたち。

 

え、野生動物なら都市部以外の方が圧倒的に多いじゃないのと思いますが、そこがポイントなのです。

 

例えば筆者が通う動物病院では、混合ワクチン接種の際に先生から「山や川、アウトドアなどに愛犬を連れて行くかどうか」を聞かれ、もし行くのであれば8種以上の混合ワクチンを、そうでなければ5種または6種の混合ワクチンを勧められます。

 

つまり、普段野生動物と接する機会がなければ8種以上の混合ワクチンを打つ必要がないということ。

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Tienuskin/shutterstock

 

しかし5種や6種の混合ワクチンにはレプトスピラワクチンは含まれていません。

 

自然豊かな場所に住むブヒたちは野生動物との遭遇に備え8種以上のワクチンを打つことが多いですが、シティブヒの場合はそもそもレプトスピラに対応するワクチンを打っていない子も多いのです。

 

なお、レプトスピラはおよそ250種もの血清型が確認されていて、そのうち動物への感染が危惧される血清型で、かつ国内で確認されているのは約10種。

 

レプトスピラはワクチンで予防できますが、インフルエンザと同じく血清型が異なるとワクチンの効果がありません。

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Kamil Zajaczkowski/shutterstock

 

しかしレプトスピラ症は人獣共通感染症で届出伝染病に指定されています。

 

そのためレプトスピラ症と診断した獣医師や医師は届出の義務があり、それゆえに動物病院では過去にその地域で発生したレプトスピラの血清型を把握しているケースが中心。

 

8種以上であればその地域で過去に症例の出たレプトスピラの血清型ワクチンが2種程度入っていることがほとんどなので、8種以上の混合ワクチンを打っておけば予防ができるのです。

 

昨今の大雨で汚染された水に触れる機会が増加

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Zrin-Mythsplash/shutterstock

 

レプトスピラを保菌している確率が高いのは、野ネズミやイタチ、ハクビシンなどのげっ歯類。

 

保菌している動物は生涯にわたって尿の中に菌を排泄し、レプトスピラ菌が好むのは池や沼地、河川、海岸など水辺と湿気の多い場所です。

 

都会なら下水などがその条件に当てはまりますが、最近はゲリラ豪雨の影響でマンホールなどから水が溢れたり、洪水の被害が増えていますよね。

 

これはつまり、普段ならば触れる機会のないレプトスピラに汚染された水に触れる機会が増すということ。

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Pilar_revilla/shutterstock

 

実際にレプトスピラ症が発生した時期を見てみると90%以上が8月から11月にかけてで、9月がそのうちの半数を占めており、これらの月はいずれも台風や豪雨が多い時期。

 

豪雨の後の散歩では水辺はもちろん、草むらや電柱などもなるべく避ける注意が必要で、日常的に雑草を食べる習慣のあるフレブルは特に気をつけてあげてください。

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MR.SOMKIAT BOONSING/shutterstock

 

なお、犬のレプトスピラの症状で最も怖いのが、甚急性型と亜急性型。

 

甚急性型は急激に進行し敗血症によるショックで命を落とし、亜急性型は発熱や食欲不振、脱水、嘔吐、黄疸が起こり、急性腎不全や肝不全で重篤な状態に陥ります。

 

死亡率も高く、回復後も慢性肝炎や慢性腎不全で治療が必要になるケースも多数。

 

感染するととても危険な菌ですがワクチンによって予防ができるので、最近イタチなどが増えたと感じるエリアのブヒオーナーさんは混合ワクチンの種類を増やすことを視野に入れてくださいね。

 

おわりに

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Tienuskin/shutterstock

 

都市部でも増えている害獣被害。

 

ちなみに同じイタチでも日本でよく見かけるのは日本イタチとチョウセンイタチで、飲食街などに多いネズミを捕食しています。

 

そのため飲食店が密集している都心部でも数が増えているので、今一度愛ブヒが何種の混合ワクチンを打っているかを確認してみてくださいね。

 

 

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