最近よく耳にする分離不安とは。フレブルは分離不安になりやすい?
最近話題の「分離不安」。耳にしたことはありますか?そもそも分離不安とは、どういったものなのでしょうか。フレブルは甘えん坊な性格ですが、他犬種にくらべて分離不安になりやすいのでしょうか。
分離不安の症状や、日頃どう気をつけたらいいのかをドッグトレーナーの視点からお話します。
(執筆:大久保羽純)
分離不安と分離不安症とは?

Tienuskin/shutterstock
「分離不安」とは、愛着のある人や物がなくなったときに、不安になる状態のことを言います。犬だけでなく、人間も起こり得るものです。「分離不安」と言われたからもう病気なんだ…というわけではなく、飼い主さんがいなくなることで不安になることがあれば、その状態のことを分離不安と表現します。
例えば私達も、言葉の通じない国で唯一日本語が通じる気心がしれた友人が急にいなくなってしまったら不安になりますよね。
分離不安はその一時的な「不安な状態」のことを指しますが、「分離不安症」となると、話が変わります。分離不安が日常生活に影響を与えてしまうと「分離不安症」と判断されます。心の病です。
分離不安症になってしまうと、飼い主さんもつらいですが、誰よりも犬自身がとても辛いので、早めの対処が必要です。分離不安症の場合、「お留守番が下手な子」ではなく、「心の病を抱えた子」なのです。
どういった行動が分離不安?

Javier Brosch/shutterstock
飼い主さんと離れたときに、分離不安の子がしがちな行動の例をあげていきます。
・おもらしやマーキング
・いつも以上の破壊行動
・いつも以上に吠える
・手や足を異常に舐める。舐め壊して毛が変色したり、脱毛したりする。
・異常に体をかいたり、尾を追ったり噛んだりする。
・嘔吐したり、下痢をしたり、消化器に影響が出る。
…他にも色々ありますが、要は、普段飼い主さんがいるときにはしない、日常と違う行動が見られたら、それは分離不安のストレスによるものかもしれません。
不安を感じたときに、犬は自分1人ではどうすることも出来ません。その結果、ストレスが一定以上になってしまうと、心と体に支障をきたし、普段しないような異常な行動が出てしまうのです。居ても立ってもいられないパニック状態です。
例えば、こんなお話を耳にしたことはありませんか?「留守番が急に長引いてしまったから、犬が私への嫌がらせでオシッコをした!」という飼い主さんのお話です。これは、残念ながら間違いで、“嫌がらせ”ではありません。犬は目の前にいない人間に対して嫌がらせをするような脳の構造はありません。
なかなか帰ってこない飼い主さんの事情を犬は知りませんから、不安になり、その不安を解消するために排泄することで気持ちを落ち着けていた可能性があります。人間の5才児を長い時間留守番させていたら、不安でおもらししてしまう子もいるでしょう。それと同じなのです。
もしあなたの愛犬に、上記の分離不安の行動で当てはまるものがあれば、叱る前にまず、心配してあげて下さい。
フレブルは分離不安になりやすい?

Patryk Kosmider /shutterstock
特別にフレブルだけが分離不安になりやすいかというと、そういうわけではありません。生まれたときの状況や育ち方、その子の性格によるもの、遺伝的な気質なども関係すると言われています。同じフレブルでも、個体差があるということです。
しかし、そもそも群れで生きる犬にとって、一人ぼっちの状態は得意な方ではありません。私達人間も群れの動物なので、一人ぼっちは得意ではありません。スマホもテレビもなく、一人でずっと家にいたら不安で寂しくなりますよね。
そういった部分を考えると、あまりにも長い時間の留守番は、そもそも犬という生き物と暮らすには適切ではありません。人の手やペットサービスを活用するなど、心のケアが必要です。
分離不安症にしないために出来ること

urbazon/shutterstock
・愛犬にとって楽しいことを増やす
日頃の楽しみが飼い主さんに寄り添ってなでてもらうしかない状態では、飼い主さんがいない時の世界は真っ暗闇です。散歩に行ったり、おもちゃで遊んだり、日頃いろいろな刺激の中で楽しく生活することで、エネルギーを使い果たし、留守中はゆっくり幸せに寝ていられるようにすることも飼い主さんの大切な役目です。
・急な生活の変化には注意
今まで一緒にいた生活から、急に留守番が始まるなど、生活の変化で犬は不安になります。人間はスケジュールを事前に知っていますが、犬にとっては突然訪れた生活変化は不安をあおるきっかけとなってしまいます。ゆっくりとした生活変化にしていくように、調整しましょう。
・「いっていきます」「ただいま」で盛り上がらないこと
出かける時と帰ってきた後は、10分くらい犬をかまわないことをオススメしています。なぜなら、「いってきます」で興奮させた後、人がいなくなった家は一気にシ~ンと静まり、一人ぼっちになった犬の不安は高まってしまうからです。帰宅時も同様で、犬の興奮をあおるような「ただいま」により、犬の気持ちは一気に盛り上がります。うれションなんてもってのほかです。
出来るだけ、犬の気持ちを飼い主さんによってアップダウンしないほうが、飼い主不在時の不安を高めずに済むのです。
・ペットサービスの活用
現代では犬のデイケア施設やお散歩代行など、犬向けのサービスが増えています。飼い主さん以外の方とも仲良くなっておくことで、長くなりそうな留守の日や、雷など怖いことが起きそうな日のお留守番のときに、一人ぼっちにせず、手助けをお願いすることが出来ます。留守中に怖い思いをさせないことも重要なポイントなのです。
騒音が苦手な犬の場合、花火やお祭り、建物の工事など、事前にわかっていればその期間中はデイケアに連れていくなどの対処もできます。
・長すぎる留守を続けない
そもそも毎日10時間以上留守番が続く状況は、犬にとって精神的負荷が大きすぎます。分離不安かどうかの前に、シッターさんを呼んだりするなど、一人ぼっちの時間を減らすよう検討することも大切です。一緒にいられる時間が短すぎると、飼い主さんが離れるときの犬の不安は大きくなって当然です。
分離不安症になってしまったら…

joke50e/shutterstock
前半でお話した通り、分離不安の状態で日常生活に支障が出るようならそれはもう、心の病です。なんとかなるだろう、慣れるだろうと思って、留守番の時間を長くしたり、犬に言い聞かしたとしても、分離不安によるパニックを助長するだけです。
根性でどうこうするものではありません。過度のストレスは、愛犬の心も体も傷つけます。まずはかかりつけの獣医師さんやトレーナーに相談してみるのもいいでしょう。
治療の例としては、不安やあせりの気持ちを落ち着けるために、必要であれば薬を服用して安定させてから、1人でいることが不安にならないようなトレーニングを行うことがあります。その子の性格や家庭環境により治療とトレーニングは千差万別です。信頼できるプロの力を借りましょう。
犬の生きている間、いっときも離れずに過ごすことは難しいですから、根気良く向き合うことが大切です。
おわりに
いかがだったでしょうか。
分離不安のお話を通して、飼い主さんの生活とワンちゃんの心の関係がどれだけ重要か、感じていただけたでしょうか。一生一緒に暮らすからこそ、心も体も、いつでも健康で、輝いていてもらいたいですよね。
大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、犬と人の心をつなぐレッスンを広めている。しつけ方教室を始め、イベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。
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