ボクらは「愛」で生きている。
大きな立ち耳もしわくちゃのお顔も、おまけみたいな短い尻尾も。彼らを形作るそのすべてが愛らしいフレンチブルドッグ。きっと、そんな彼らの半分は「オーナーから注がれる愛」によってできているのかもしれません。愛されるために作り出された犬種であるフレンチブルドッグは、もしその愛がなければ生きることさえ困難な犬種。つまり、人間の手によって改良を重ね今の姿となり、人間とともに生きるためにここに存在しているのです。
ボクらを生かすもの。

Lined Photo/shutterstock
ボクらフレンチブルドッグは寂しがりで甘えん坊、夏はクーラー必須で冬場は寒さ対策も欠かせない。
アレルギー体質で皮膚が弱いから食べるものにも細心の注意が必要だし、シャンプーだってこまめにお願い。
でないと体が痒くなっちゃうからね。それに、耳や目の病気にもなりやすければ、先天的な骨の疾患だって少なくはないから、病院だってこまめに通うことになるよ。
さて、これはフレンチブルドッグの自己紹介。
ブヒオーナーであれば当然知っていることばかりですが、こうして文字にしてみると、なんとまあ手間もお金もかかる犬種なんだろうか。
それだけに、彼らはとてもじゃないけれど野良では生きられない犬種。
ただし、手間もお金もかかる以上に、私たちに大きな愛と癒しを与えてくれる存在でもある。
だってSNSをのぞいてみれば、そんな彼らの特性を知った上でとても大切に育てている人がたくさんいて、今の時期なら暖かいお洋服に身を包み、アレルゲンに考慮した愛情たっぷりのご飯を食べ、歯磨きやブラシを丁寧にしてもらい、ピカピカツヤツヤで幸せに暮らしてる。
でもその一方で、飼いきれなくて捨ててしまう人がいるのです。
もう一度言うけれど、彼らは野良では決して生きてはいけない存在。
人間から受け取る「愛」という名の優しさや保護がなければ、命を繋いでいくことはできません。
運良く優しい人に拾われて家族に迎えられない限り、「誰か良い人に拾ってもらってね」とブヒを捨てる行為は、そのまま命を奪う行為になるのです。
冬の山から救われたブリンドル

13lights/shutterstock
ある日少し遠くの公園にお散歩に出かけた際に出会ったブリンドルの男の子。
フレブルオーナー同士挨拶を交わしブリンドル君の年齢を聞くと、「それが分からないんです。
このコ、1年前くらいに山に捨てられていたので…」との返答。
びっくりしてその時の状況を聞くと、冬の山に放置されていたそのブヒは、現在のオーナーであるご家族のご主人が偶然見つけたのだとか。
寒さに震えやせ細った体を見て、とにかく保護しなければと救われたその命。
保護したご家族はもしかしたらこのコは迷い犬で、今頃オーナーが探しているかもしれないと手を尽くしたけれど元の飼い主は現れず、今までフレブルを飼った経験はないものの家族として迎え入れることを決意されたそう。
保護した時にはあばら骨が浮いていて8kgにも満たなかったという体重もすっかり増え、多分5、6歳くらいであろうそのブヒは今ではとても幸せそうで元気一杯。
優しそうなパパとママ、良い遊び相手になってくれる兄妹に囲まれ、広い公園でピクニックを楽しむ現在。
思わずそのブヒ君を撫でながら、「良かったね、運があったんだね。良い人に助けられたね。」と泣きそうになってしまいました。
この子は本当に強運の持ち主だったんだと思います。
でも、人気のない寒い冬の山に捨てるなんて、もはや誰かに見つけて欲しいという気持ちさえ感じられない非道な行為。
たまたまこのご家族のご主人が山を自転車で下るスポーツをしていたから見つけられたものの、保護が遅ければ命はなかったかもしれません。
公園に繋がれていた皮膚炎のクリーム

Travel2fun/shutterstock
ある日インスタグラムを見ていると、公園に繋がれた状態で捨てられているとおぼしきクリーム色のフレブルの女のコの画像が…!
写真に写っているクリームちゃんは皮膚がひどく炎症を起こしていて、手足は赤く見えるほど炎症が悪化している状態。
その公園が同じ区内にあったため、すぐに保護に向かおうと改めてその投稿を見直すと、どうやら投稿されてから数日経過している様子。
そこで現状を知るためその後のコメントなどを確認していくと、偶然にも知り合いのブヒオーナー夫妻が保護されていたのです。
そのご夫婦がとびきりブヒに愛情を注いでいるのを知っていたのでホッと胸をなでおろすとともに、あのご夫夫婦に保護されたなら一安心という気持ちが湧き上がりました。
その後ご主人がインスタで投稿するクリームちゃんの様子を見ていると、すぐに病院で正しい治療を受けたりご夫妻の丁寧なケアが功を奏したのか、日に日に皮膚の状態が良くなり顔つきも優しくなっていくクリームちゃんの姿が(涙)。
そのご夫婦の元にはすでに2頭のブヒがいたのですが、保護したそのコを「つむぎ」ちゃんと名付けて家族に迎えることに決め、今ではすっかり「我が家」となったご夫妻のおうちでくつろぐつむぎちゃん。
先住ブヒの2頭とも馴染んでおり、少しずつワガママも出すようになってきたんだそう。
きっとこのコはアレルギー体質などを理由に公園に捨てられてたのだと思うけれど、縁と運があったために今は暖かなファミリーの一員として暮らしています。
つむぎちゃんはこうしてまさに命を「つむいだ」けれど、悲しいかな病気やそれに伴う治療費を理由にフレブルを捨てる人は少なくありません。
人間だって病気をするように、犬も病気をするし治療が必要なんです。だって生き物だから、おもちゃとは違うから。
だからどうか、治療をしてあげられないなら最初から飼わないで欲しいのです。
おわりに

Evan Abram McGinnis/shutterstock
愛がなければ生きていけない。フレンチブルドッグにとって、これは比喩でもなんでもなく物理的な事実です。ちゃんと正しく愛し、世話をし、その生涯を責任持って見守れる人しか生き物を飼う資格なんてないのです。今回紹介したふたつのエピソードは、たまたま筆者が見聞きした範囲で起こったラッキーな2ブヒのお話。でも、これはこの2ブヒが強運だっただけで、誰にも保護されることなく命を落とす捨て犬の数の方がはるかに多いのではないでしょうか。当サイトも応援している「ふがふがれすきゅークラブ(通称ふがれす)」など、捨てられたり飼育放棄されたりしたワンコを保護し、新たな家族を迎える手助けをしている団体もあります。もしそんなコたちの力になりたいと思ったなら、こういった団体への寄付やボランティアに参加してみてはいかがでしょう。
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