2019年6月6日4,204 View

【ドッグトレーナーが伝授】多頭飼いってシアワセ?犬の気持ちを教えて!〜愛ブヒを幸せにできるリーダーになろう〜

野生では群れで暮らしていた犬にとって、幸せとは“頼れるリーダー”がいること。どんなときも自分を守ってくれる存在がそばにいて、安心して暮らせる環境こそが幸福なのです。

逆に、オーナーがしっかりリーダーになりきれていないと、愛ブヒは“僕が、私がリーダーにならなくちゃ”と思い、大きなストレスに。“このテリトリー(家)は僕が守るんだ”、“飼い主は私が守らなきゃ”と、24時間緊張しっぱなしでは、心安らかに過ごせる時間がなくまります。

そこで、幸せなブヒがこの世界に1頭でも増えることを願い、国際的なドッグトレーナーのライセンス「CPDT-KA」の認定を取得しているドッグトレーナーの大久保羽純さんに、“頼りがいのあるリーダーになる方法”をレクチャーしていただきました。

今回のテーマは“多頭飼い”。多頭飼いを夢見る人も、いま現在多頭飼いしている人も、愛ブヒのためにしっかり考えるべきリーダーの心がけとは?

 

しつけ,フレンチブルドッグ

みんな一度は考える、多頭飼いの未来

多頭飼いか、1頭と暮らしていこうか、考える方は多いのではないでしょうか。愛犬とお話できるなら、ぜひ直接聞いてみたいものです。

今回は、すでに多頭飼いの方も、これからの方も、1頭で暮らしていく人にも、役立つ情報を盛りだくさんでお届けします。

 

ワンちゃんにとってのメリットとは?

Eve Photography/shutterstock

多頭飼いで考えるべき点は、以下の2つ。

①ワンちゃん2頭の相性が良ければいいけれど、そうじゃないなら1頭の方がマシ。
②人間が十分に2頭の世話をできるならいいけれど、そうじゃないなら1頭の方がマシ。

1頭飼いのメリットは、飼い主さんにかけてもらう時間もお金も愛情も独り占めということ。

 

2頭以上のメリットは、“ワンちゃん同士の相性が良ければ” ワンちゃん同士で遊ぶことが出来ることです。

 

私たちも、同居する相手が誰でも良い訳ではありませんよね。「犬なんだから時間が経てば慣れるよ」なんて言う人もいますが、慣れるのと幸せなのは違います。

別居して、せいせいするような相手と過ごすのは、やはり気持ちのいいことではありません。相性は、人にもワンちゃんにもあることは仕方がありません。

 

どうでしょうか。一概に、1頭飼いが良い、多頭飼いが良いとは言えませんね。

なぜなら、「飼い主さんの状況」×「愛犬の状況」の2つが関係しているからなのです。

 

2頭以上を飼えるのかどうか、イメージしてみよう

Kittibowornphatnon/shutterstock

ワンちゃんは、人間のお世話が無ければ生きていけません。そして動物の中でも、人間との交流やお遊びが大好きです。

そのため、1頭だけでもお世話には、時間やお金がかかります。

 

2頭以上を飼ったときにかかるお金と時間をイメージしてみましょう。

 

<お世話にかかる金額は2頭で倍増! >

お世話費用の中の、一部を比較してみましょう。

(例)1頭に必要な最低限の年間経費の一部。
・月々のお世話代           : 約5万円×12カ月分

・年間の医療保険料(5歳フレブル)  : 約7万円
・ワクチン、健康診断など日々の健康管理: 4万円

 合計1頭の年間経費           : 合計約71万円

もし2頭になったら、約142万円! 3頭で、約213万円!! 

 

大きな手術や病気があれば、さらに増えます。2頭以上ではオモチャやお洋服など、共有が出来るものもありますが、最低限かかってしまうお金は減りません。

 

<お世話にかかる時間も倍増! >

今、みなさんが1頭当たりにかけている1日当たりの時間は、どれくらいでしょうか? 世界の犬たちを参考に、愛犬のお世話にかかる時間をイメージしてみましょう。

(例)1頭当たりにかかる時間。

・お散歩         : 1日1時間×2回以上

・お遊び         : 30分×2回以上

・お掃除やご飯      : 30分×2回以上

合計1頭1日にかかる時間 : 4時間以上

寝ている時間を除いて、4時間以上も必要なわけですから、犬と言う生き物自体が、決して楽に飼える動物ではないことがわかります。

 

お散歩に1日2回以上行けない場合は、刺激が足りずにストレスが溜まるため、その分、室内でいろいろな遊びをする必要があるでしょう。毎日決まった時間が取れない方は、お休みの日に多く時間を取る方もいます。

 

もし2頭になったら、約4時間×2頭=1日8時間が必要…となるわけです。

どうでしょう。なかなか、プレッシャーを感じる時間ですね。

 

しかし、多くの飼い主さんは考えます。「ワンちゃん同士の仲が良かったら、人間がお世話に使う時間を減らせるのではないのか?」と…。果たしてそうなのでしょうか。

 

<2頭なら、お世話にかかる時間が減るんじゃないの!? >

(例)飼い主さんの希望的観測。2頭にかかる合計時間予測。

・お散歩            :飼い主さんが2頭をまとめて行けるイメージ。
1頭の時とお散歩所要時間は変わらないため、1日1時間×2回以上。

・お遊び            :ワンちゃん2頭で遊ぶため、人はやらずに0時間。

・お掃除やご飯         :2頭も1頭も変わらなさそう。30分×2回以上。

合計2頭分1日の希望的所要時間 :合計3時間!? ホント!?

いかがでしょうか? 2頭飼うことで、人間が愛犬を相手する時間を削れると思ってしまいませんか。

 

仲の良いワンちゃんたちが一緒に遊ぶ姿を見られることは、とても微笑ましく、幸せな時間です。しかし、それもこれも、すべては“ワンちゃん同士の相性が良い場合”に限られてしまうのです。

 

もし相性が悪かった場合、たとえば散歩ひとつとっても別々に行かなくてはならないため、1頭のころの倍の時間がかかることに。

希望的観測は捨てて、頭数分の世話の時間が増えていくという覚悟をしておきましょう。

 

多頭飼いはあくまで人間の選択

Natalie Shuttleworth/shutterstock

皆さんが愛犬の笑顔や幸せを願い、多頭飼いを検討するお気持ちは、とても良くわかります。素晴らしいと思います。

耳の痛い話も多い中で、ここまで真剣に読んで下さりありがとうございます。

 

しかし現実的なことを考えると、「しっかり考えてから2頭目を迎えた方が良さそうだぞ」という気がしませんか。

 

SNSでは楽しそうな多頭飼いの様子をよく見ますが、全ての家族がうまくいっているわけではありません。「ワンちゃんのために2頭目を迎えてあげる」という考えは一旦捨てましょう。

 

相性が悪いくらいなら、そして、飼い主さんの愛情が分散して足りなくなるくらいなら、1頭の方がいいからです。

 

愛犬に遊び相手がいなくてさみしそうなら、ワンちゃん友達に会いに行くとか、飼い主さんがもっと遊んであげれば良いのです。

 

厳しい良い方になりますが、2頭目を欲しがったのは、愛犬ではなく飼い主さんです

 

飼い主さんが自分のために2頭目を迎える選択をして、そして、愛犬にはその選択に付き合ってもらうわけですから、愛犬の快適な生活を保障してあげる必要があるのです。

 

いつ2頭目を迎えたら良いのか? ドッグトレーナーがお答えします

2頭目を検討している人や、3頭目以上を検討している人に向けて、今後のために役立つチェックポイントをご紹介します。

 

もう1頭を迎える適切な時期とは、「愛犬が家族と仲良く暮らせていて、コミュニケーションが取れている状態」のときです。

 

1頭目の子とご家族が問題を抱えている場合、まず、その1頭目の子の問題解決に集中しましょう

 

家族が一体となり、みんながニコニコしている群れになってから、2頭目のワンちゃんを迎えましょう。

 

2頭目のワンちゃんが来て、1頭目の子はストレスを感じたり、混乱することもあります。しかし、それまでにワンちゃんの表情や気持ちを理解できるようになった飼い主さんならば、しっかり1頭目の子の心と体のサポートができるはずです。

 

2頭目の迎え方で絶対にNGな考え方とは

Amornpant Kookaki/shutterstock

「今の子が吠えたり家具をかじったりするから、ストレスを発散させるために、もう1頭を迎えようと思うの」という方はいませんか?

 

残念ですがこの場合、1頭目だけでなく、2頭目までもが吠えて家具をかじり、被害が倍増する可能性が高いです。

なぜなら、犬自身に問題があるのではなく、飼い主さんの暮らし方自体が、ワンちゃんの問題を作っているからなのです

 

もし1頭目の子の問題行動を、2頭目のワンちゃんを迎えることで解決しようと考えているなら、要注意です。

 

なぜなら、その家族のルールは保護者である飼い主さんが決めているものですから、1頭目の子が混乱しているなら、2頭目の子も混乱してしまいます。

 

飼い主さんがまず飼い方を改善する必要があります。犬の問題を、犬で解決しようとすると、ケガや体調不良の元になります

お見合いが必要だと覚えておこう

例えば、保護団体から保護犬を譲り受ける前には、トライアルと言う期間があります。すでにお家で飼われている先住犬との相性を見るために、保護犬が数週間ホームステイをするのです。

 

その期間に、保護犬は家族と暮らしながら、先住犬やその生活環境に合うかどうかを見て、上手くいくようならそのお家の子になります。もし合わなければ、そのお家でのお見合いは終了して、別のお家でまたトライアルをしていきます。

 

家族にとっても、新しく迎えられるワンちゃんにとっても、相性の良いお家にもらわれることが幸せですよね。お見合いというお試し期間は、人間でいう結婚前の交際期間のように、とても大切なものだと感じられます。

 

ブリーダーでワンちゃんを迎える場合は、事前に連絡をして愛犬も連れて訪問するなども検討しましょう。

まとめ

もし新しく迎えるものが車であれば、簡単に手離すことが出来ます。しかしワンちゃんを迎えてもし失敗してしまったら、取り返しがつきません。

 

「愛犬を傷つける可能性のある、根拠のない楽観的な賭け」をする前に、準備をしておく必要があるのです

 

新しい家族を迎える前に、迎えるべきかどうか、そして、迎える前にしておく準備とはなにか、家族会議を重ねてうえで、選択していきましょう。

もちろんこの会議の最終決定者は、愛犬さんですよ♡

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の生活を楽しいものにする活動を行っている。

 

 

 

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