【取材】パパは全国からブヒオーナーが訪れる獣医師!14歳5ヶ月まで生きたレジェンド #7ドンちゃん
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench BulldogLife。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回は、特別編。すでに虹の橋を渡ってしまった、ブリンドルのドンちゃんを紹介します。
どんちゃんがお空を渡ったのは、14歳と5ヶ月のとき。2歳の時に大阪は堺市にある動物病院『しもむら動物病院』の院長の元に迎えられ、フレブルとしては十分ご長寿だと言える生涯を過ごしました。今年の夏にお空へと長いお散歩に出かける前日までご飯を食べ、最後まで病院のアイドルとして愛されていた彼女。
獣医さんの相棒として暮らし長生きしたのなら、獣医さんならではの長寿の秘訣があるのかもしれない。そんなことを思いながらドンちゃんのお父さんである下村先生にお話を伺うと、様々なシーンで“長生きのヒント”につながる的確な判断と、ドンちゃんの性格を受け入れるご家族の優しさがあったのです。
ドンちゃんプロフィール
・年齢&性別:享年14歳5ヶ月の女の子(2003年12月8日生まれ)
・大好きなこと:人と触れ合うこと、ご飯を食べること。
・既往歴:2歳の時に両耳全耳道の切除手術。その後は胃の幽門(出口部分)が分厚くなることで胃から十二指腸への排出機能に障害が起こり、慢性的に吐き気を催す幽門狭窄症の手術と膝の手術、避妊手術を経験。皮膚が弱くアトピー性皮膚炎あり。
「2歳のドンちゃん、可愛かったんです」と優しく語る下村直(ただし)先生の病院『しもむら動物病院』にはいたるところにフレンチブルドッグの置物や絵が飾られていて、病院のHPのトップページにも大きくドンちゃんの写真が。
関西圏ではフレブルに強い病院として知られる『しもむら動物病院』の、まさに看板犬として愛されたドンちゃんですが、彼女が先生の元にやってきたのは2歳の時。
その時すでに先生には相棒であるイングリッシュブルドッグの“バブちゃん”がおり、ドンちゃんを迎えたのにはある理由があったのです。
先生との出会いで命を繋いだ強運ガール
「もともとドンちゃんはブリーダーさんのところにいた子なんですが、両方の耳に良性腫瘍ができる病気にかかっていました。そのためブリーダーさんはドンちゃんを飼い続けることが難しくなっていたようで、じゃあ私が引き取ります、ということで2歳にして我が子になったわけです。
あの時のブリーダーさんの困り顔を今でもよく覚えているし、それと同時に明るくて自由気ままなドンちゃんの可愛さも鮮明に思い出せます」(下村院長=以下、「」内同)
ドンちゃんとの出会いを教えてくれた先生は、引き取ってすぐに動物の高度二次診療を行える病院『VRセンター』に向かい、早速両耳全耳道手術をしてもらったそう。
実はこのときドンちゃんが患っていたのは、そのまま放置しておくと命までをも危険にさらす重度の外耳炎。これはつまり、引き取る=命を救うこと。
先生に出会い的確な治療をスピーディーに受けられたということが、ドンちゃんがとびきり強運を持って生まれてきたことの証なのでしょう。だってもしかしたら、ドンちゃんはご長寿どころかもっとずっと早くに旅立っていたかもしれません。
こうして新しい家族と先輩犬であるバブちゃん、さらに健康な体を手に入れたドンちゃんですが、そこから彼女の持ち前の明るさや賢さがぐんぐん発揮されていくようになるのです。
ストレスフリーの伸び伸びライフ
耳の手術を無事に終え下村家の一員となったドンちゃんは、先生曰く「明るくて賢い、そしてちょっぴり意地悪。さらに言えば自分勝手な性格」とのこと。
家の中では新入りにも関わらず、自分よりもずっと体の大きな先輩ブルのバブに噛み付いたり喧嘩を挑んで勝利したりと、本当に自由に毎日を楽しんでいたそうです。
「人が大好きで人間にはデレデレするドンちゃんですが、犬には厳しめでしたね。まず目で威嚇するのですが、その様子は飼い主から見ても迫力あるな〜と思うくらい。
我が家の場合、先住犬のバブが優しかったこともあるのだろうと思いますが、バブとドンちゃんの関係は最初からドンちゃんが強くて偉そうで、いつもバブが遊んでいるおもちゃを力ずくて奪うのが定番でした。
バブもそれをあえて許していたのでしょうけれど、2頭の関係は付かず離れず。バブも含め、家族で自由気ままなドンちゃんを見守っていたように思います。
それにドンちゃんはとにかくメンタルが強く、いつでもどこででも堂々としていました。だからこっちも変に気を使うこともなく、付き合いやすい犬だったなと思います」。
女の子にも関わらず、犬に対してはどちらかといえばオラオラ系のドンちゃん。ちなみに先生の病院は彼女の縄張りだったそうです。
丈夫な体を守る様々なケア
「正直に申し上げると、獣医師だからといって特別な健康管理というのはしていませんでした。ドンちゃんは元々とても丈夫なフレンチブルドッグで、私としては勝手に長生きしてくれたと思っているくらいなんです」。
そう語る先生ですが、アトピー性皮膚炎のあるドンちゃんは毎週薬用シャンプーで特に皮膚炎が出がちな足先を念入りに綺麗にしてもらい、泌尿器のトラブルを予防するため『UTクリーン』というサプリメントを飲んでいたそう。
それに、ドンちゃんは両耳全耳道以外にも膝の手術を受けています。この手術は、『ファーブル動物医療センター』で受けたそう。
自分が獣医師であれば自ら執刀したいはずの愛ブヒの手術を、先生はあえて他の先生にお願いしているのには、こんな理由がありました。
「両耳全耳道手術は『VRセンター』の獣医師に、その後の膝の手術は大阪府門真市にある『ファーブル動物医療センター』の山口医師にお願いしました。
『ファーブル動物医療センター』はそれぞれの分野の専門医がいる病院で、山口先生は整形外科とスポーツメディスン科をご専門にされています。
当時の私にこれらの手術を行うのは技術的に難しかったので、信頼の置ける先生にお任せした方がドンちゃんにとって絶対良い結果になると判断しました。
私は自分の病院に来院された患者さんにも、自分では難しかったり専門外である症状の場合は他の獣医師を紹介するのですが、ペットは大切な家族だからこそ少しでもリスクを減らしたいしより良い治療を受けさせたい。それは自分が獣医師であっても同じです」
任せる勇気と、先生の的確な判断があったことは間違いなく、こういう判断のひとつひとつが結果的に長寿につながったのではないかと思います。
そして持って生まれた強運と丈夫な体、それらをサポートする的確な判断と治療あって、14歳5ヶ月まで長生きできたのでしょう。
ところで、ドンちゃんの名前はブリーダーさんのところで名付けられたもので、先生はあえて名前を変えずそのままの名前で育てました。先生は言わないけれど、きっとそれは途中で名前を変えることで彼女を混乱させたくない、そんな気持ちがあったのではないでしょうか。
食いしん坊の彼女のために選んだフード
クリクリのお目目を嬉しそうに動かす表情豊かなドンちゃん。彼女の大好きなことはなんですか? という問いの最初に「ご飯」と答えるほど、食べることが大好きだったドンちゃんですが、一体どんなフードを食べていたのでしょう。
「食事は既製品のフードの中から彼女の体質を考えてベストだと思えるものを選んでいました。
ドンちゃんに与えていたのは『ロイヤルカナン』の低分子プロテイン+phコントロールというフードで、これは食物アレルギーや下部尿路疾患を持つ犬向けのものです。
旅立つ前日まで美味しそうにご飯を食べていたドンちゃんですが、実はお散歩中に野良猫のウンチを食べてしまう癖があったので、散歩中は食べないように見張っておく必要がありましたね。
あと、食事以外に気をつけていたことは、ペットオーナーの基本ですけれどアスファルトが熱くない時間に散歩をさせることなどで、獣医師だからというよりは、いちオーナーとして当たり前のことをしていました」
ドンちゃんが遺したもの
「ドンちゃんは持って生まれた寿命を全うし、最後は心臓病が原因で旅立ったけれど、旅立ちからあまり時間が経っていないので今はまだ辛いです。
でも、今私の病院がフレブルに強いとされているのはドンちゃんのおかげ。彼女は自分の一生をもって“フレンチブルドッグとはどんな犬種なのか”ということを教えてくれただけでなく、人との縁を繋いでくれました。
人間は人との出会いによって人生が彩られますが、私自身はドンちゃんと出会えたことで獣医人生が変わったと思っています。
彼女のおかげでフレブルが好きになり、フレブルに詳しくなった。ドンちゃんが私にとってどんな存在だったかをひと言で言うなら、ずばり“先生”です。たくさんの笑いと驚きと喜びをくれ、そしてフレンチブルドッグという犬種の魅力を教えてくれた彼女は、やっぱり私の先生なんです」
現在、先生の病院を訪れるフレブルの中には北海道から手術を受けに来る子もいるほど、関西にとどまらず全国的にフレンチブルドッグに強い病院として知られています(詳しくは過去記事【軟口蓋過長症などの軟部外科】軟口蓋過長症でも日帰り手術!全国から短頭種オーナーが訪れる【しもむら動物病院・大阪】)を参照ください)。
でも、そんな病院になったのはきっとドンちゃんの存在があったからこそ。先生の元で命をつなぎ、愛されながら自由に生き、生前同様に堂々とした足取りでお空へ向かったドンちゃん。
きっと今は先生の元を訪れるフレブルたちをお空から眺めながら、「うちのパパさんに任せとけば大丈夫よ」なんて言っているのかもしれませんね。
取材・文/横田愛子
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