2019年12月2日2,866 View

【マウンティング】なんでするの?させてもいいの? 腰振り行動をする3つの理由と「絶対にさせちゃダメ」な場合とは

愛ブヒを本当の意味で幸せにするには、オーナーが犬にとって頼れるリーダーになることが何より大切です。
そこで、国際的なドッグトレーナーのライセンスを取得している大久保羽純さんに、“愛ブヒから信頼されるリーダーになる方法”を学ぶこの特集。

今回は、知っているようで実は知らない“マウンティング”について。

なんでするの? させていいの? に、名トレーナーの大久保さんが答えます。実は意外な理由でやっていることも…!?

フレンチブルドッグ,しつけ

マウンティングって、どんなもの? 

フレンチブルドッグ

anetapics/shutterstock

 

みなさんは愛ブヒのマウンティングを見たことがありますか? マウンティングとは、イヌが対象物に前足をかけてしがみつき、腰を振る行動です。

 

股間をこすり付けたり、自分で股間をしつこくなめる場合もあります。

 

イヌが腰を押し付ける行動の対象物は、他のイヌや、人間、クッションやオモチャだったりと様々です。

 

もしマウンティングをする子がいても、決してそのブヒは異常な好色家なのではなく、正常な動物の行動をしているだけですから、安心してくださいね。

 

マウンティングは、まだ繁殖能力のない子犬の頃から始まります。兄弟犬や、友達犬、人やオモチャなどを対象にして、遊びの中でマウンティングをします。

 

マウンティングは、未去勢のオスだけの行動ではなく、去勢をしたオスでも、メスでもする場合があります。

マウンティングの情報は、日頃なかなか目にすることがないかも知れません。しかし、ブヒたちがする全ての行動には理由があり、役割があります。

 

マウンティングをする子のオーナーさんも、しない子のオーナーさんも、愛ブヒのココロを知る機会として、ブヒたちの保健体育を学んでいきましょう!

 
※愛ブヒたちは天使ではありますが、オスとメスが存在する動物です。生殖の説明時には、性的表現があることをご容赦ください。

 

マウンティングって、なんでするの? 

フレンチブルドッグ

Bianca Grueneberg/shutterstock

 

皆さんは「マウンティング」=「繁殖目的の性行為」だと思っていませんか? でも、それだとドッグランなどで見かける、オス同士でのマウンティングの理屈がわかりませんよね。
実はマウンティングにも、いくつかの理由が存在するのです。

<マウンティングの理由(1):生殖行為や自慰行為として

性行為、繁殖を目的として、マウンティングをすることがあります。

 

ヒート中のメス(発情期)の匂いがただよって来たら、オスたちはもう堪えられません。直接メスの上に乗ってマウンティングをして、その後10分間以上交尾を続けて、射精に進みます。

 

メスが上に乗られることを拒否した場合には、オスは高まった気持ちから腰の動きを止められず、別の物(クッションや毛布など)にこすりつけるなど、自慰行為を行う場合もあります。

 

子犬の頃から成長する中で、自慰行為の快感を知って、日常でも股間に物をこすりつけるようになる子もいます。自慰行為は射精の目的だけではなく、気持ち良さ、リラックスするために行っている場合もあります。

 

<マウンティングの理由(2):遊びで興奮した時や社会的行動として> 

他の犬と遊んでいる時や、一緒に過ごしている中で、マウンティングをする場合もあります。

 

例えば、ドッグランなどで遊んでいる中で、あまりにも興奮し過ぎてきた場合に、相手のイヌにまたがってやろうと狙い始めて、そして前足を相手の犬に乗せた途端にマウンティングを始める子もいます。

 

これは、過度の興奮が原因です。大喧嘩に発展しかねないため、決して良い遊び方ではありません。

また、相手に対して「オレは強いんだぞ!」と優位を主張したいときなどにマウンティングをする場合もあります。

 

この優位という言葉は、決して、群れの「ボス」を決定するような深刻な話ではありません。人間の3歳児程度の知能と言われる犬たちの「えっへん! 僕が一番だぁ~~!」的なものだとイメージしてください。

 

この行動も、相手の犬が不快でしかないので、即座に距離を取らせることが賢明です

 

遊びの最中に、相手が興奮し過ぎてらちがあかないときに、相手の犬を制するために「おい! いいかげんにしろよ!」と、マウンティングをする場合もあります。

 

この場合も、2頭の間で喧嘩のリスクが高まっていますから、人間が介入して即座に距離を取らせましょう。

 

<マウンティングの理由(3):ストレスや不安、興奮への反応>

犬の中には、ストレスのかかる状況や場所で、そのストレスの発散のためにマウンティングをする子もいます。

 

例えば、新しい犬に会った時や、見知らぬ客の訪問後や、動物病院での診療後など、ストレスや興奮をした子は、人間、他の犬、ベッドやおもちゃなどの手近な物でマウンティングします。

ストレスや不安や興奮が原因で、マウンティングや自慰行為がエスカレートしてくると、強迫性障害(感情が引き金となり、異常な回数同じ行動を繰り返してしまうこと)となる可能性もあると言われています。

 

不安解消のための過度なマウンティングや自慰行為によって、愛ブヒの生活や体を壊してしまう場合があるのです。

いかがでしょうか? マウンティングの理由にも、いろいろありましたね。

 

そのため、オスがマウンティングをする対象が発情期のメスだけに限定されず、オス同士や、メスがオスにマウンティングをするだってあるのです。

マウンティングをするブヒ側のココロを覗いてみたら、マウンティングをする理由は、性的な感情の場合もあれば、ストレスや不安の発散のためのリラックスの手段だったり、遊びの中での行き過ぎた興奮の場合もあるとわかりますね。

 

マウンティングって、させてもいいの? 

フレンチブルドッグ

TingHelder/shutterstock

 

さあ、ここまでのお話で、マウンティングをする愛ブヒ側のキモチはわかってきましたね。

 

では、オーナーとして、愛ブヒにマウンティングをさせてもいいのでしょうか? ダメなのでしょうか? 

 

「愛ブヒ自身が気持ちよさそうだし…」とか、「ドッグランでまたがった相手の犬もそこまで嫌がっていなさそうだし…」とか、判断に迷うオーナーさんの声をよく聞きます。

 

愛ブヒのココロに寄り添うこのコラムでは、「マウンティングは、絶対に悪いことだから止めさせましょう!」なんてザックリしたアドバイスはいたしません。

 

人間都合で白黒はっきりさせてルールを作り、すぐ楽になれるのは人間だけ。愛ブヒ側には、様々な状況と繊細なココロの動きがあるわけですから、愛ブヒの状態とその場の状況に合わせたルールを、家族ごとに考えていく必要があるのです。

 

では、マウンティングに関しての家族のルールを考えていきましょう。

 

そのためにも、マウンティングのケース以外でも暮らし方全般に汎用できる、オーナーさんが判断基準としてほしい「ブヒと暮らすルールの決め方・3つの基準」を紹介します。

暮らし方のルールの判断で迷ったときは、このルールの決め方の基本を思い出し、指針としてください。

 

みんなの安全のためにも、以下の3つ全部を検討する必要があります。

 

暮らしのルール決め方 3つの基準

フレンチブルドッグ

Beka31/shutterstock

基準1.そのルールは「愛ブヒ」にとって不利益ではないか。

基準2.そのルールは「家族」にとって不利益ではないか。

基準3.そのルールは「人間社会」にとって不利益ではないか。

 

これらを検討して、愛ブヒがやっても良い行動と、愛ブヒにやらせてはダメな行動を、状況に合わせてルールにしていきます。ちょっと複雑ですね。

 

今回のテーマであるマウンティングを例にして、3つの基準を1つずつ確認していきましょう。 

 

<基準1.そのルールは「愛ブヒ」にとって不利益ではないか> 

まずは、「マウンティングをさせていい」というルールにした場合、愛ブヒの不利益にならないか(体や心に悪影響がないか)を確認しましょう。

 

例1:身体疾患があるブヒ(腰痛、関節痛など)→ マウンティングの姿勢によって身体に悪影響があるなら、マウンティングをやめさせるルールは不利益ではなく、愛ブヒにとって利益=いいことになる。

 

例2:マウンティングの頻度が多いブヒ→ 1日の頻度が1~2回程度であれば通常範囲だが、それを超える場合は日常のストレス軽減のための対策が必要。マウンティングをさせていいルールにする以前に、ココロのケアを検討すること。

 

例3:マウンティングが特定の状況や場所で起こるブヒ→ 動物病院や、車に乗る前、家族のケンカの後など、特定のシチュエーションでのストレスが原因になっている場合は、ストレス軽減のための対策が必要。

 

マウンティングをさせていいルールにする以前に、ココロのケアを検討すること。

<基準2.そのルールは「家族」にとって不利益ではないか> 

愛ブヒに「マウンティングさせていい」というルールにした場合、家族全員に不利益にならないかどうかを考えましょう。

 

例1:子供や高齢の方がいる家庭→ 愛ブヒの体重で押し倒されたり、ケガをするリスクがあるなら、マウンティングをさせていいルールは家族に不利益! 家族を対象にマウンティングはさせないルールにする。

 

例2:特にリスクのない家族構成の家庭 → 家族にマウンティングをしても良いと思うか、やって欲しくないと思うかは家族次第。家の中のクッションにマウンティングをしても良いと思うか、やって欲しくないと思うかも家族次第。

 

よって、マウンティングさせていいルールが利益か不利益かは、その家族次第で決まる。

<基準3.そのルールは「人間社会」にとって不利益ではないか>

愛ブヒに「マウンティングさせていい」というルールにした場合、人間社会に不利益にならないかどうかを考えましょう。

 

ブヒたちは犬たちの世界で生きているわけでなく人間社会のルールを守りながら生活をする必要があります。そのため、やっていいこととダメなことは、社会への影響を考えて決める必要があります。

例1:他の犬にマウンティングをするブヒ→ 他の犬は他のオーナーさんの所有物であり、大切な家族です。また、他の犬自身にも、ココロがあります。

 

愛ブヒが他の犬相手にマウンティングすることは、相手の犬にとって不利益でしかないため、絶対にダメ! 

 

乗っかられている犬のオーナーさんが「うちの子、気にしないので良いですよ」と言ってくれたとしても、相手の犬が本当にそう思っているかどうかなんてわかりません。

 

おとなしく受け入れているように見えても、その子が恐怖で硬直している場合や、動けずに苦笑いして耐えている場合も、とても多いのです。

 

愛ブヒが他の子に乗っかってしまいそうなそぶりを見せたら、すぐに駆け寄って、他の犬と距離を取りましょう。

 

マウンティングは繰り返すことが多いので、ドッグランにいる場合は外に出るか、すぐ捕まえられるようにハーネスは付けたままにしておきましょう。

 

例2:他の人にマウンティングをするブヒ→ 例1と同様に、他人へのマウンティングは他人にとって不利益! 絶対に阻止しましょう。他人の衣服に、排泄をする場所でもある股間をこすりつける行為は、百害あって一利なしです。

 

以上、3つの基準をもとにして、状況に合わせたルールを見ていきました。

 

状況や、場面、家族の考えによって、ルールには違いが出てきますよね。

 

しかし、全ブヒに共通するルールがひとつだけありました。それが「他の人、他の犬には絶対マウンティングをさせない!」です

 

それとは逆に、ときどき家の中でクッションにマウンティングをすることを止めさせるかどうかは、お家それぞれの判断でルールを作ることになることでしょう。

 

こんなときは専門科に相談を!

フレンチブルドッグ

VDB Photos/shutterstock

 

マウンティングに限ったことではありませんが、オーナーさんだけでは、状況改善が難しい場合があります。

 

例えば、マウンティングや自慰行為の頻度が高く、身体に影響が出ている場合はすぐに獣医さんに動物病院に相談しましょう。

 

アレルギーが原因で、股間をなめている場合もあります。

 

不安やストレスで、股間をなめ続けている場合なども、皮膚などに炎症が起きたり、体内にも細菌が感染する場合があります。

 

また、マウンティングや自慰行為を止めようとしたときに、攻撃的になったり、うなるような行動がある場合も、絶対に自己判断で先に進めようとせずに、プロのドッグトレーナーに相談しましょう。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、そのトレーナーが行動修正の豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさん自身で確認をするようにしましょう。

 

人間都合のルール作りだと忘れてしまう、一番大事なこと

フレンチブルドッグ

Galina Kovalenko/shutterstock

 

愛ブヒの行動のルールを考えるときに何より大切なことは、愛ブヒ側のココロ。

 

「マウンティングをしていい」「マウンティングをしてはダメ」という人間都合の話ばかりに頭がいってしまい、愛ブヒのココロを無視してしまってはオーナー失格です

 

例えば、愛ブヒが「ぼく、このドッグランのメンバーが苦手だったんだよ! でも外に出られないし、オーナーさんも助けてくれないから、リラックスしたくてマウンティングをしたんだよ。なのに、なんで怒るんだよ~(涙)」って内心泣いていたらどうでしょう。

 

「腰なんて振っちゃって、もうこの子ったら恥ずかしい!」ではなく、「気づけなくてごめんね。ドッグランの外に出て休憩しようね」となりますよね。

 

マウンティングを止めさせなければいけないと言うルールの話ではなく、そもそも怖い思いをさせないような予防的ケアをオーナーさんがすることが大切だと気付けるはずです。

 

まとめ

フレンチブルドッグ

MHFotografi/shutterstock

 

愛ブヒは、やっていいことか悪いことかなんて知りません。人間側が望んでいなくても、やってしまいかねない状況がそろっていれば、その行動は出てしまいます。

 

愛ブヒのマウンティングの原因が、不安や過度の興奮であるならば、その原因を取り除き、過度なマウンティングをしないでも快適なココロと身体でいられるような日常を作っていきましょう。

「やっていい」「やっちゃだめ」のルールの前に、「愛ブヒがやらない方がいいことを、やらずにいても快適に暮らせる環境作り」をオーナーさんがする努力こそ、愛情です。

 

皆さんなら、可愛い愛ブヒの行動の先読みをして、愛ブヒの笑顔を守れるはず! 愛ブヒヘのラブがあふれる皆さんを心から応援しています。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

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