“老い”は怖くない! ポジティブに愛ブヒの加齢を受け止めよう [特集:ミドルシニアLIFE]
年を重ねること。つまり、加齢。別名、老い。日本では老いというとネガティブなイメージがつきまとうことが多く、とりわけ女性の多くはエイジングに対してマイナスのイメージを抱いているのではないでしょうか。でも、例えばフレンチブルドッグの故郷であるフランスでは、エイジングを成熟と捉え、年齢を重ねた女性をマチュア(成熟した、円熟した)な女性という言葉で表現します。成熟した女性ほど洗練されていて美しいという価値観は日本ではまだ浸透しているとは言い難いけれど、加齢に対してそういう考え方ができる社会はとても素敵。そしてそれは、私たちの愛ブヒに対しても言えるのではないでしょうか。フレブルは人とは違うけれど、相棒が老いていくことに対して私たちが抱く感情は、やはりポジティブとは言えないのかも。けれど、年齢に対する捉え方を違う視点で見てみるとアラ不思議。老いとはとてもラブリーな現象なのです。
老いにネガティブな印象を持つ理由
フレンチブルドッグは他犬種と比べて老化が早く来る気がするという声を時々聞くけれど、その理由は平均寿命の長さにあります。
一般的にフレブルが属する中型犬の平均寿命は約14.29歳(2018年12月発表、一般社団法人ペットフード協会調べ)と言われている中で、フレンチブルドッグの平均寿命は約12歳。
数字で見ると3歳くらい短いため、その分他犬種より老化現象が早くやって来るのかもしれません。
ただ、レジェンドと呼ばれるブヒを見てもわかるよう、彼らの平均寿命は嬉しいことに年々長寿化しているのも事実。
とはいえ、7歳頃から愛ブヒの毛艶が悪くなったり体力が落ちたりと感じるオーナーも多いよう。
私たちはつい老化と聞くと体力低下や様々な病気リスクの上昇を思い浮かべ、何よりいつか必ず来るお別れの日が徐々に近づいているような気持ちになって落ち込んでしまいます。
この“いつか来るさよならまでのタイムリミット”こそが私たちが老いを前向きに受け取れない原因のひとつでもあり、また、それに伴う病気などを連想してしまうことから老いに対してネガティブな印象を受けるのでしょう。
でもね、老いるということは生きていればとても自然で当たり前のこと。
それに、私たちと一緒に月日を過ごして共に年をとることは、お互いにとってかけがえのない幸せであることを忘れないでください。
一緒に暮らす月日が長いほどに互いの愛情と信頼は増し、それこそ若いうちはなかったような親密な空気感と安心感、信頼感、そして穏やかな関係が築けるということを。
絶妙な間合いは長く寄り添うもの同士の特権
手を焼いたパピー期や有り余る体力に翻弄された青年期を過ぎ、ミドルシニアと呼ばれる頃にはすっかりブヒも一人前(一犬前?)。
日々の暮らしのリズムやオーナーの話している言葉をいくつも理解し、大好きな家族のライフスタイルに溶け込んだ日常を送るようになります。
それは例えば、自分と愛ブヒの間に流れる穏やかな空気。
漫才で例えるならば、長年の相方とだからこそ生まれる絶妙な間とでも言うべき“あ・うん”の呼吸。
言葉にするのは難しいけれど、お互いが自由に過ごしながらも相手がそこにいることを感じ、ひとつの動作で次の動きを読み取って同じタイミングで動き出すような、そんなシンクロシニティ。
長く一緒に過ごすことで、それこそ「言葉にしなくてもわかる関係」になれるのは、年齢を重ねてきたフレンチブルドッグの大きな魅力です。
隆々とした筋肉を躍動させながら駆け回る日々は過去のものになったとしても、柔らかな陽だまりに並んで座ってうたた寝をしたり、ゆっくりとした歩調で歩くお散歩、白い毛が混じってきた相棒の落ち着いた佇まいは、シニア期だからこその愛すべきチャームポイント。
もちろん年を重ねるごとに体力面は下降するけれど、一方で精神面は上昇を続け、それこそブヒとの間にマチュアな関係が築けるのです。
早めの対策でエイジングスピードを穏やかに
人間の女性の間では少し前までアンチエイジングが合言葉だったけれど、最近は自然志向の波に乗ってナチュラルエイジングが広く謳われるようになりました。
加齢に抗うのではなく、加齢とともに変化する体や気持ちと折り合いをつけながら自然に年を重ねるナチュラルエイジング志向は、フレンチブルドッグにもとても有効。
加齢によって心配される事柄は病気をはじめ色々とありますが、少し早めのミドルシニア期からそれらの対処に取り組むことで、老化スピードを緩めることも不可能ではないのです。
例えば食事。
市販のペットフードは概ね6歳以降を想定しシニア用への切り替えを推奨しており、一般的にシニア用フードは成犬用と比較し高タンパク低カロリー仕様になっています。
が、中には肥満対策として低カロリーを重視するゆえ、タンパク質のベースとなる肉類を減らす代わりに穀物を多くした製品もあり、タンパク質不足によって毛艶が悪くなる、免疫力や体力が低下するという場合も。
人間の場合は年齢とともに肉より魚や野菜中心の食事を志向する人が増えるけれど、そもそも犬は哺乳類の“食肉目”というグループに属する動物であり、雑食ながら肉食が中心である生き物。
そのため「シニア=肉を減らす」のではなく、「シニアだからこそ良質なタンパク質を与える」のが正解です。
また、犬は肉を代謝する能力の方が穀物を代謝する能力より優れているため、筋肉の維持に肉は欠かせません。
だからこそシニア期の食事への切り替えを意識しはじめたら、まずは馬肉などのヘルシーで良質のたんぱく質をトッピングするなど、毎日食べる食事からエイジングケアを取り入れましょう。
脳と体を健康に保つバランスの良い時間割
愛するブヒの加齢スピードを緩やかにする秘訣は、もちろん食事以外にも。
そのひとつが運動で、ミドルシニア期以降はあまり運動をしたがらないフレブルもいるけれど、大切なのは継続と体調&年齢に見合った運動量。
その基本はお散歩で、歩くことで筋肉が衰えず日々の動作に必要な筋肉量をキープできるうえ、散歩中に嗅ぐ匂いや目にする景色、音による刺激などが脳を活性化させて認知症の予防にも効果があるのです。
それにフレンチブルドッグは完全室内飼いの犬種なので、散歩中に太陽の光を浴びることもとても有効。
人間は太陽光を浴びることで体内時計が調整され、若返りを促進する成長ホルモンや幸せホルモンと呼ばれるセトロニンの分泌が促進されますが、実は犬だって同じ。
過度な紫外線は良くないものの、毎日適度に日光浴をすることは心と体をヘルシーに保つために必須と言えるでしょう。
散歩は犬にとってストレス解消にも運動にも、肥満や認知症防止にもなる良いこと尽くめの時間ですが、できれば散歩や食事などを毎日同じようなリズムで続けること。
犬という生き物は習慣や生活リズムに敏感であるゆえ、生活環境の変化に対してストレスを感じます。
そのため一定の生活リズムを送ることで気持ちが安定し、より心身ともに健康な状態を作れるのです。
それにはオーナーである私たちがバランスの良い生活を送ることが不可欠だけれど、相棒が長く若々しく居られるなら努力しがいもありますよね。
ブヒと一緒に健康的な時間割の毎日を過ごすこと、早速今日から始めませんか?
老化や加齢という言葉から発せられる、ネガティブなイメージ。
でもこれらは、成熟や成長という言葉にも置き換えられるもの。
そう考えれば、なんだか一気に年齢を重ねることが怖くなくなり、ポジティブな印象になるように思います。
確かに年をとることによって心配事は増えるかもしれないけれど、実はそれ以上に楽しいことや新たに発見できる魅力が増えるのは、フレンチブルドッグも人間も一緒です。
お互いにより良く成熟できるよう、日々の健康管理も楽しみながら、長く元気なフレンチブルドッグライフを過ごしてくださいね。
文/横田愛子
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