2020年9月10日5,485 View

【取材】我が子のために食育療法の師範免許を取得!体調に合わせた手作りごはんで15歳も食欲モリモリ #29 梅

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回登場するレジェンドは、麦ちゃんと米ちゃん、2頭のイングリッシュブルドッグとともに暮らす15歳の梅ちゃんです。

3頭のためにママさんはホリスティックケアーカウンセラーなど3つの資格を取得したそう。愛に勝る長生きの秘訣はないと思えるようなお話がたくさん聞けました。

梅ちゃんプロフィール

フレンチブルドッグ

年齢&性別

15歳の女の子

体重

10.2kg

大好きなこと

食べること! カートでお散歩

既往歴

・2歳で椎間板ヘルニアにより下半身麻痺。手術はできず、痛み止めの処置をして自宅へ。車椅子も覚悟していたが、介護の甲斐あって奇跡的に復活。

 

その後も年1回のペースで発症していたが、7歳以降は発症せず。

 

・6歳で頸椎ヘルニアに。かかりつけ医から専門医を紹介してもらい大手術。

 

癒着があったため半年後に再発したが、再手術で完治。首の骨3カ所に穴を開ける大手術を乗り切った。

 

・12歳、13歳で3回の急性胆嚢炎。

 

疲労などが原因と思われる。投薬治療で落ち着いたが、3回目は病院に行くのが数時間遅れたら危なかったとのこと。回復後も定期的な血液検査を行なった。

 

・14歳で前庭疾患。

 

首が曲がり、目にも異常があったが、通院して薬で完治。再発も後遺症もなし。

 

・15歳の現在は少し前に膵臓の数値が悪くなったことがあったが、その他は血液の数値も問題なく健康。

 

胆汁の流れを改善する薬『ウルソ』を服用中。

 

手作り食をモリモリ

フレンチブルドッグ

 

物怖じせず、のんびりした性格で、人も大型犬も好きな梅ちゃん。

 

後から家族になったイングリッシュ・ブルドッグの麦(むぎ)ちゃん、米(よね)くんと3頭仲良く暮らしています。

 

食べることが一番好きという梅ちゃんは、内臓も強く、15歳になった今も10kg超えの立派な体をキープ。

 

食事や多頭飼い、そしてオーナーの早坂さんが梅ちゃんのために取得した資格のことなど、色々とお話を伺いました。

 

「食事は、仔犬から9歳頃までは『AZ(アゼット)』のドライフードをあげていました。2歳でヘルニアになり、太ってはいけなかったので、量増しでオカラを加えるようになりました。

ドッグフード

 

その後、野菜や肉、米など手作りのものを混ぜ始めました。野菜はモヤシにキャベツ、ニンジン、ゴボウ、ダイコンなど。

 

そこに玄米と量増しの白米を混ぜて、水や魚の煮汁で煮ていました。

 

肉は鹿や馬の生肉、焼いたササミや煮魚などを、その時々で変えています。

フレンチブルドッグ,イングリッシュブルドッグ

 

おやつには、フードドライヤーを使ってジャーキーなどを作っていました。

 

市販のおやつは添加物が気になったり、硬すぎて歯が折れてしまったこともあって。

 

それに食いつきも手作りの方が良かったです」

 

因みに、梅ちゃんの歯を折ってしまったのは牛のヒヅメとのこと。

 

ヒヅメはとても硬いおやつで、歯を折ることは珍しくありません。推奨しない獣医師さんも多いので、あげないほうが良さそうです。

 

総勢70kgの仲良し3頭

フレンチブルドッグ,イングリッシュブルドッグ

 

梅ちゃんが9歳の時に麦ちゃんが、11歳の時に米くんが家族に加わりました。

 

2頭はイングリッシュ・ブルドックで、体重は30kg程もあります。

 

梅ちゃんが可愛すぎて、「もっと大きい子だったらどれだけ可愛いんだろう」と思った早坂さん。

 

ご主人も賛成して、2頭を迎え入れたそうです。

 

大型新人を2頭も迎えて、梅ちゃんはどんな反応だったのでしょうか。

 

「麦が来て2頭になったときは、麦はすぐに梅が大好きになったのですが、梅は新しい家族が増えたことで私との距離を感じたのか、分離不安の症状が出てしまいました。

 

そのうちに慣れてきて分離不安は治り、良い関係になりました。

 

ですが、米が来るとまた2頭の関係に変化があったんです。

 

“梅大好き!”だった麦ですが、幼い米が来て麦が教育係になると、梅のことも叱ったりするようになりました。

フレンチブルドッグ,イングリッシュブルドッグ

 

梅はちょっと食フン癖があり、私たちがそれを注意するところを麦が見ていて、麦も同じように梅を注意するようになったんです。

 

それがエスカレートして、梅が何か食べようとするとガウガウ怒ったり、自分が上位になったという意識のせいか、私が麦を構っている時は、梅が視界に入るだけで怒るんです。

 

ただ、その2つの状況を避ければ、麦も本来はおっとりした性格ですし、梅のことが好きなので、仲良く暮らせています。

 

米は梅も麦も大好きですが、特に梅にべったりですね。ずっと梅を守ってくれています」

フレンチブルドッグ,イングリッシュブルドッグ

 

犬たちの行動は本当に興味深いですよね。教育係に目覚めたり、それが行き過ぎてしまったり。でも少し配慮してあげれば仲良く暮らせたり。

 

人間と同じような感情や社会性を持つ、とっても賢い生き物。だからこそ、愛情のこもったお世話が欠かせないのだと思います。

 

独りより、みんなと

オーナーとフレンチブルドッグ

 

大きな妹と弟を迎えて暮らしぶりが変わった梅ちゃんですが、他にも引越しや早坂さんの入院、結婚など、生活環境の変化がありました。

 

「梅が8歳のとき、私が乳がんにかかり入院・手術をしたのですが、そのときには主人がずっと一緒に居てくれたので、元気でいてくれて、梅のことは心配せずに済みました。

 

それどころか、梅があんなに大きな手術を2回も頑張って乗り越えたんだから、私も絶対乗り越えるんだ! そして早く梅のもとに戻りたい! と、私の心の大きな支えになってくれました」

 

梅ちゃん、なんて孝行娘なのでしょう! 

 

こんなに大変なときではなくても、「この子がいるから頑張れる!」は、オーナーなら誰もが持っている心の支えですよね。

 

引越しや結婚も同じ8歳のときでしたが、特にストレスを感じている様子はなかったそうです。

 

「それよりも、私が独りだったときの方が、留守番させることが多くて可哀想でした。

 

時間的な自由が利かず、犬に対する理解もあまりない職場だったので、梅が病気になっても、様子を見に帰ることもできなかったんです。

 

今は仕事を変えたので一緒に居られる時間も増えましたが、当時は周りの人が協力してくれて、梅も私も本当に助かりました」

 

お医者さんや友だちに恵まれて

フレンチブルドッグ

 

前職では職場環境が厳しく、離れている時間も多かった早坂さんと梅ちゃん。

 

2人を支えてくれたのはどんな方々だったのでしょうか。

 

「まず、お医者さんに恵まれました。

 

引っ越す前に診てくださっていた女医さんは、下半身麻痺になった梅が回復し始めた時、“梅が歩いた!”って泣いてくれたんですよ。

 

引っ越した後は別の病院にかかるようになりましたが、その先生とはずっと交流が続いています。

 

今の病院の先生も、ただ治療するだけでなく、私たちも納得できるよう治療方針を一緒に考えてくれたり、本当にお医者さんに恵まれていると思います。

フレンチブルドッグ

 

それから梅を通じて仲良くなった親友や、以前の職場の同僚、それに家のお隣さんにも助けていただきました。

 

梅を大至急病院に連れて行かないといけない時、私の代わりに行ってくれたり、術後の様子を見に行けなかった時も、代わりに行って写真を撮って送ってくれたり。

 

そんな方が何人もいてくださって、おかげで梅はこんなに元気で長生きできているのだと思います」

 

ご主人を始め、早坂さんと梅ちゃんを囲む温かい人の輪が、厳しい時を乗り越えさせてくれたのですね。

 

人も犬も一人では生きられないことに、改めて思い至りました。

 

梅ちゃんのために3つの資格!

フレンチブルドッグ

 

仕事に梅ちゃんたちのお世話に忙しい早坂さんですが、その合間を縫って、梅ちゃんのために3つも資格を取られたそうです。

 

「最初は、ホリスティックケアーカウンセラーの資格を取りました。

 

これは例えば“患部だけでなく全身を”、“身体だけでなく心や環境も”、といった感じで、全体をケアして犬の健康な暮らしをサポートするというものです。

 

通信教育で、そんなに専門的な感じではない資格ですが、色々と勉強になりましたし、手作り食を始めるきっかけにもなりました。

 

次に取ったのは、ホームハイドロセラピストです。

 

これは水の浮力を使って、関節などに負担をかけず、筋肉や心肺機能を強くするセラピーです。

 

11歳になった梅の筋肉を鍛えようと、北海道から千葉まで遠征して資格を取りましたが、梅が全然泳ごうとせず、水に浮くだけで終わってしまいました(笑)。

 

それから、食育療法インストラクター師範も取得しました。

 

大阪と横浜で活動されている先生が、北海道で出張講義をされるというので申し込んだのですが、何と参加者が私しかおらず、私一人のために先生とお弟子さんが毎回来てくださってました。

 

この療法は、東洋医学の考え方を基に、食事と触診で病気を未然に防ぐことを目的にしたものでした。

 

具体的には、触診をして、体温が低いところや反応がおかしなところがあると、そこの臓器や関節などを改善する食事を考える、といった感じです。

 

先生は獣医師でもあったので信頼でき、将来は仕事にできたらとも思って始めたのですが、仕事にするには至りませんでした。

 

ですが、この資格のおかげで、梅・麦・米の体調や季節によって食材を考え、食事によって体調を管理することができるようになりました。

 

私にとっては、一番取って良かった資格です」

フレンチブルドッグ

 

食に関して学ぶことは、ご飯が大好きな梅ちゃんを始め、家族みんなの健康にとって本当に大切なことだと思います。

 

それにハイドロセラピーも、結果はともかく、忙しい早坂さんが梅ちゃんのために頑張ったこと、賢い梅ちゃんにはきっと伝わっていると思います!

 

まさにレジェンド

フレンチブルドッグ

 

病気が少なく元気な梅ちゃんですが、2歳から6歳までは腰と首のヘルニアに苦しみ、大がかりな治療も乗り越えてきました。

 

「ヘルニアのため冬の散歩は禁止されていたので、歩ける時期はできるだけ散歩に行くようにしていました。

 

それから生まれつき骨の奇形が多く、いくつも爆弾を抱えているようなものとお医者さんに言われていたので、日常生活にも気を付けてきました」

 

そんな早坂さんの努力が実って、6歳以降はヘルニアも発症せず、散歩も大好きだった梅ちゃん。今はカートに乗っての散歩ですが、それでも楽しんでいるようです。

フレンチブルドッグ

 

「昔のように散歩したり遊んだりはしませんが、今でも外に出るのは好きで、草や木や電柱の匂いを嗅いで回ってます」

 

家の中でも、麦ちゃんや米くんより、梅ちゃんが一番起きている時間が長く、活動的だそうです。

 

15歳にしてその元気、まさにレジェンドですね。

 

「梅は元々内臓が強く、健康で長生きな体なのだと思います。

 

それから、お医者さんやお友だちに助けられたこと。今の元気な梅があるのは皆さんのおかげです。

 

そしてやっぱり、よく食べること! ですね(笑)。これが長生きの一番の秘訣かもしれません」

フレンチブルドッグ,イングリッシュブルドッグ

 

よく食べてよく遊び、多くの人や犬に愛されて、お話を伺うだけで嬉しくなるような犬生を送ってきた梅ちゃん。

 

憧れと呼ぶに相応しい、とっても素敵なレジェンドでした。

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

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