2020年9月27日1,801 View

【取材】頑張る姿がママに生きる力をくれる…てんかんと闘う15歳 #31コクトー

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回登場するのは、北海道に暮らす15歳の男の子、コクトーくん。12歳で顎の半分を切除する大手術を経験しましたが、失ったものよりももっともっとかけがえのないもの……愛や優しさをたくさんもらって、15歳まで元気いっぱいに過ごしてきました。

コクトーくんのプロフィール

フレンチブルドッグ

年齢&性別

15歳の男の子

体重

5.8kg 

大好きなこと

食べること、膝枕で寝ること。

既往歴

・3歳のころにボールを誤飲し、全身麻酔で摘出。

 

・12歳で扁平上皮癌が見つかり、顎の半分を切除。

 

・13歳でてんかんの発作。一時期は2カ月おきに発作を繰り返し、現在も投薬を継続中。

 

・昨年、14歳のときに精巣腫瘍を摘出。

 

お口のニオイに違和感。抜歯で判明した扁平上皮癌

フレンチブルドッグ 

若いころは、自分勝手なツンデレ王子だったというコクトーくんは、オーナーの佐藤典子さんと北海道に暮らしています。

 

3歳のころ、ボールを誤飲し、全身麻酔で口からカメラを入れて摘出したことがあるものの、病気らしい病気はなく、10歳になるまで健康そのものだったそう。

 

しかし10歳のころ、多飲多尿の他に脱毛の症状もあったため血液検査をしたところ、赤血球の数値が思わしくないという結果に。また、貧血の症状も出ていました。

 

この結果に当初、医師はホルモンの過剰分泌が原因のクッシング症候群を疑っていたそうですが、特に投薬などはせずに経過観察で過ごします。

 

そして12歳のころ、歯みがきのとき「ちょっと酸っぱいようなニオイ」がするのが気になったため歯石除去をすることに。

 

このとき、顎が少し腫れていたので歯を抜くことになったそうですが、抜歯した歯を検査すると、なんと扁平上皮癌と判明。

 

「鼻の長い犬種は術後に顔がガラリと変わっちゃうらしいんですが、“鼻の短い犬種は、見た目もそんなに変わりませんよ”と獣医師さんに言われて。

 

まだ腫れも残っていて、放置もできませんし」と、佐藤さんは手術を決断。

 

大学病院で下顎の半分を切除、5時間もかかった大手術でした。

フレンチブルドッグ

 

「後から考えると、おもちゃをブンブン振り回したり、クッションの中綿を全部出しちゃうことがありました。

 

成犬になってからは、そんなことはしなかったのに。きっと口がむずがゆかったんでしょうね」

 

術後の経過は順調で、「すごく元気になりました。手術して良かったです」。

 

佐藤さんが歯磨きのときに、ちょっとしたニオイの異変に気が付かなければ、癌がもっと進行していたかもしれません。

 

日頃のケアは、病気の早期発見のためにも大切だと気付かされるエピソードですね。

 

13歳でてんかん発症。症状を記録することで冷静に

フレンチブルドッグ

 

13歳のある夜のことでした。コクトーくんが突然、けいれんと脱糞の発作を起こします。

 

フレンチブルドッグの罹患しやすい病気のひとつ、てんかんでした。

 

激しくバタバタと動く苦しそうな姿に、「このまま死んじゃうんじゃないか」という恐怖に震えながら、夜中に救急病院へ駆け込み、点滴。

 

その後も発作は1日おきに5日間続きました。

 

「薬を飲ませると落ち着きますが、麻酔が切れそうになると、目がらんらんとして。麻酔が効いてる状態で吠えたり、フラフラと徘徊していました」

 

その後も発作が2カ月おきに起こっていましたが、今年の前半はゼロ。

 

佐藤さんがホッとしていたのもつかの間、7月と9月にもまた起こります。

 

「てんかんを発病してから、投薬量を調整しつつ毎日2回薬を飲ませていたので、症状が軽くなっている気がしますね」

 

夜は寝室で寝ていた佐藤さんですが、コクトーくんにてんかんの発作が始まってからは、いつでも気づいてあげられるよう、リビングに布団を敷いて添い寝をするように。

 

「以前は発作が起きると“お願いだから、落ち着いて眠って!”と祈るような気持ちでしたが、

 

今は“まただね。でも大丈夫、絶対よくなるから!”という感じになりました(笑)」

 

最初のころの動揺がなくなっただけでなく、冷静にメモを取るまでに落ち着いて対処できるようになったそう。

 

「病院の先生に言われて、“何時ごろ、どの程度の発作が、何秒間続いたか”の症状を記録しているんです。

 

このメモのおかげで、一度発作を起こすと、その日のうちにもう一度あるとか、ルーティンがわかるようになりました。

 

また来るのがわかっているから、心の準備ができます」

フレンチブルドッグ

 

一般的に、てんかん発作のときは噛まれる可能性があるので、口の中に手を入れてはいけないと言われています。

 

しかし、顎の切除をしたコクトーくんは、舌が丸まってのどの奥に入ってしまうと、呼吸困難になる危険が。

 

「発作が起きたら口に手を入れて舌を引っ張り出して、気道を確保します。以前、心臓が止まりそうになったことが2回ありましたが、この対処で乗り切りました」

 

先生からは「無理だとは思うけど、発作が起きたら動画も撮って」と言われたそうです。

 

「初めての発作のときに、30分くらい続いて……と説明したら、“30分も続いていたらもっと大変なことになっている。たぶん30秒の間違いだと思うよ?”と言われて。

 

でも私にとっては、本当に1秒が1分かと思うほど、長く感じたんですよ」

 

百聞は一見にしかず。てんかんに限らず、どんな病気でも、その症状が起きているときに動画を撮影しておくことは、獣医師に適切な診断を受けるためにとても重要です。

 

可能な限りカメラを回しておくと、愛ブヒの命を救える手助けになるでしょう。いざというときのため、頭に入れえおきたい方法ですね。

 

もっと早く去勢手術をしておけば

フレンチブルドッグ

 

コクトーくんの病との闘いは、さらに続きます。

 

14歳のとき、血液検査で“何かしらの腫瘍の疑いがある”という結果に。

 

そこで片方の睾丸が大きくなっているのに気づいた佐藤さんが、それを先生に話すと

 

「もしかしたら腫瘍かも。精巣腫瘍のほとんどは悪性じゃないけど、切ったほうがいい」と言われ、またもや手術をすることに。

 

術後は、血液の数値も落ち着きました。

 

「本当は子どもを産ませたいと思っていたんですけど、お見合いがなかなかうまくいかなくて。

 

こんなにおじいちゃんになってからではなく、もっと若くて体力のあるうちに去勢手術をしておけば、精巣腫瘍を予防できたのに……と後悔しました」

 

男の子だけじゃなく、女の子も避妊手術をしていない子は、歳を取ってから子宮系の病気になるリスクが高まります。

 

コクトーくんのように「子どもを産ませたい」という希望がなければ、去勢や避妊は病気予防に役立つをいうことを、ブヒを迎えたばかりのオーナーさんは頭に入れておくといいかもしれません。

 

鶏と豚のアレルギーのためフードはラム肉をチョイス

ドッグフード

 

腫瘍に二度も勝ったコクトーくんですが、15歳のレジェンドを育てたごはんはどういうものだったのでしょうか。

 

「赤ちゃんのころからよく耳の後ろを掻くことや、耳の汚れが気になっていました。

 

そこで1歳のときにアレルギー検査をすると、鶏肉と豚肉のアレルギー反応が出たんです。

 

そこからはラム(子羊)を使ったフードに絞り、5~6種類のメーカーを試した結果、ニュートロジャパンのラム&玄米を成犬まであげていました。

 

そのフードに、焼いて脂を抜いたラム肉を細かく切ってトッピングしています」

 

北海道では、スーパーで手軽にラム肉が買えるそうです。さすがジンギスカンの本場!

フレンチブルドッグ

 

シニアになってからは、腎臓の健康維持の為のタブレットが入った『フォルツァディエチ リナールアクティブ』。

 

「小粒なのと、パッケージが効きそう! だと思って(笑)。食いつきも悪くないですね。これにワンコ用のラムやマグロの缶詰を混ぜています。お豆腐を混ぜても、ドライフードが食べやすくなるようで大好きです」

 

顎を切除したコクトーくんは、ひとりだと上手に飲み込めないので、佐藤さんが手でサポートしてあげているそうです。

 

シニアになった今のほうが愛おしさ倍増

フレンチブルドッグ

 

若いころはお外が大好き。休日には毎日近くの山を1時間歩き、筋肉質のムチムチボディが自慢でした。

 

「病気をする前、13歳までは山を元気に走り回っていました」というから驚きです。

 

「今は、後ろ足の関節が固まって歩きにくそうです……。

 

先生からは、サプリも大事だけど、動かしたりマッサージすることも大事だと勧められ、トイレはできるだけお外に行くようにしています」

 

若いころはツンデレ王子だったというコクトーくんですが、シニアになった今は寂しがり屋さんに。

 

また、最大で11㎏あった体重も約半分になりました。

 

「昔は抱っこされるのが嫌いだったのに、今は全身を私に預けてくれる。抱き心地がよくて、愛おしさも倍増です(笑)」

 

と、愛情たっぷりに話す佐藤さん。

フレンチブルドッグとそのオーナー

佐藤さんが大病をした2016年ごろ。コクトーくんの存在が力になったそう。ボーダーのリンクコーデが可愛いですね。

 

コクトーくんが11歳のころ、佐藤さんも大病を患い、闘病のために会社を退職。現在は病を克服し、フリーランスで在宅のお仕事をしています。

 

「闘病中は、この子の存在が大きな癒しになりました。

 

シニアになったコクちゃんの体調が悪くなってからも、留守番をさせず、ずっとそばにいてあげることで、お互いに助け合っている感じがします」

フレンチブルドッグ

 

そんな佐藤さんが考える長寿の秘訣は「できる限り、犬の気持ちを想像してあげること」。

 

膝や胸に顎を乗せてきて、寝るときはいつも腕枕。すっかり甘えん坊となった今では、佐藤さんがちょっと離れると「く~ん」と鳴いて甘えるそう。

 

「寂しさがストレスになるなら、近くにいてあげたいなと。それに、てんかんの発作が起きるたびに、コクトーはすごいなぁって思います。

 

あんなにツラそうだったのに、ちゃんとごはんを食べてる! 頑張ってるなぁ、偉いなぁって、逆に生きる力をもらえる。いつもこの子に励まされています」

 

犬という生き物は、一緒にいると、本当にたくさんのものを私たちにくれますよね。

 

5.8kgの小さな体で、ママさんに大きな大きなエネルギーを贈っているかのようなコクトーくん。愛おしくないわけがない!

 

「ツンデレで抱っこもさせてくれなかった若いころより、今がいちばん愛おしい。もっともっと長生きしてほしいですね」と話す佐藤さん。

 

寄り添って支え合う大事な家族。

 

人も犬も、愛が生きるための大きな力に変わるのだと確信しました。

 

 

取材・文/都丸優子

 

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