【長期のお留守番】旅行のときドッグトレーナーはどうしてる?愛ブヒを悲しませないための準備・預け先とは
愛ブヒを本当の意味で幸せにするには、オーナーがつねに犬の気持ちに寄り添い、信頼関係をしっかり築くことが何より大切です。
そこで、国際的なドッグトレーナーのライセンスを取得している大久保羽純さんに、“愛ブヒから信頼される方法”を学ぶこの特集。
『Go To トラベル』が東京も10月から対象となり、どこか旅行へ行きたいと考えている人も多いのではないでしょうか。しかしペットOKな観光地やホテルは限られているし、短頭種を飛行機に乗せるのはハイリスク。目的地によっては、どうしても一緒に行けないことも。そこで今回は、愛ブヒが楽しくお留守番できる方法についてレクチャーします。
目次
旅行や外出も愛ブヒと一緒? それともお留守番させる?
愛ブヒを迎えたらみんな迷う、旅行や長時間の外出。
一緒に連れて行ける場所ならいいけれど、海外旅行や人間向けの場所だと、愛ブヒ連れでは難しいこともありますよね。
そこで今回は、海外旅行が大好きなドッグトレーナーの私、大久保のライフスタイルもご紹介しつつ、旅行中のお留守番について、人も犬も笑顔になれる方法についてご紹介します。
「一緒に連れて行く」か「お留守番」かの判断基準
我が家では、愛犬を一緒に連れて行くか、お留守番にするかを決めるときは、“どちらが愛犬が笑顔でいられるか”で判断します。
例えば、愛犬も楽しめる旅先なら一緒に。私は都内在住のため、那須、富士五湖、軽井沢、キャンプ場などを選ぶことが多いです。
旅先に愛ブヒと入れるレストランがあったり、愛ブヒと同室に泊まれるドッグフレンドリーなホテルがある地域でも、愛犬を連れて行きます。
愛犬が笑ってくれると思うからです。
逆に、人間だけしか楽しめないような場所への旅行では、愛犬はお留守番です。
例えば、犬と入れない名所を巡りたいとき。花火大会(私の愛犬は音がダメ)、登山(私の愛犬は足が悪い)、海外旅行など。
一緒にいても愛犬を悲しませる場所には、連れて行きません。
ここで注意したいのが、“家族全員がいつも一緒にいることが幸せ!”と決めてしまうと、どんな時も愛犬と一緒にいないといけなくなってしまいます。
しかし、“愛犬が笑顔でいられること”を第一優先にすれば、連れて行かないという選択肢も出てくるのです。
でも、お留守番は愛ブヒが悲しむんじゃないの?
もちろん、なんの対策もせずに犬をただ自宅に残すだけでは、愛ブヒは悲しみます。
留守番させるからには、オーナーが前もって、愛ブヒが家族と離れても幸せを感じられる環境をコツコツと用意していく必要があるのです。
現代では、お留守番でも愛ブヒを笑顔にする手立てはたくさんあるので、その選択肢を紹介していきましょう。
(1)ドッグホテル、デイケア施設などを活用
現代では、ワンちゃんを預けたり、宿泊させたりできる施設が増えました。『犬の保育園』、『デイケア』、『ペットホテル』、『ナーサリー』など、呼び方は統一されていませんが、お店ごとに一時預かりやホテルなどのサービスが提供されています。
◼ペットホテルの選び方
ペットホテルの多くは中小規模のお店。オーナーごとに運営方針や、管理体制は違って当然です。
専門のお店だからとすぐに信頼するのは安易すぎ。オーナーさんは必ず下見訪問やカウンセリングをしましょう。
その際、以下のようなポイントに目を光らせてください。
・店員さんと話をしながら、犬の扱い方を見る。
・店員さんがフレブルという犬種を理解できているか、預かりの経験があるかを確認する。
・愛ブヒが過ごすお部屋を見せてもらって、衛生面や管理面で納得ができるか確認する。
◼準備
知らない場所にいきなり預けたら、愛ブヒがびっくりして体調を壊してしまう可能性があります。
宿泊をする前には、以下のような事前準備が必要です。
・事前に愛ブヒと家族でお店を訪問し慣れてもらう。そのとき、愛ブヒにはたくさんのおいしいご褒美を与えて、良い印象を付ける。
・そのホテルに、数時間のショートステイをしてみる。2~3回お試しステイをするのもGood!
・ショートステイが快適に出来たら、1泊にチャレンジ。
・1泊出来たら2泊以上にもチャレンジ! やっと本格的なお留守番デビューです。
・愛ブヒが嫌がったり体調を崩すなど、お店とうまくマッチングしない場合は、別の場所も探しましょう。
◼我が家のこだわり
・お散歩は愛犬の気分転換に必須なので、お散歩が付いているホテルを選びます。
・自宅で預かりをやっているようなお店だと、ほぼ24時間誰かが愛犬と一緒にいてくれることもあるので、そのようなホテルを優先して選びます。
・ちなみに我が家のかかりつけホテルは3カ所。混み合う時期には予約が取れないことも多いため、数カ所の選択肢を用意するのがオススメ!
(2)ペットシッターに頼む
ペットシッターは、宿泊よりも長時間の外出で利用する方が多いかも知れません。
オーナーさんが疲れてお散歩が辛いときや具合の悪いときにも、散歩代行をお願いできるシッターさんがいると、愛ブヒもオーナーさんも笑顔でいられますよ。
◼ペットシッターの選び方
ホテルと同様に、ペットシッターもほとんどが中小規模の会社や個人事業です。お店のルールや方針はそのシッターさんごとに違います。
また、他人が自宅に入るのを躊躇される方もいるでしょうから、まずは電話で話し、その後カウンセリングで直接話します。
その際、以下のポイントを確認しながら信頼できる人を探しましょう。
・シッターさんと話をしながら愛ブヒの扱い方を見る。
・シッターさんが自分の犬種を理解できているか、経験があるかを確認する。
ペットシッターは、猫が得意な方、うさぎが主な方、大型犬までカバーしている方など、得意分野が人それぞれです。ブヒに理解があるかは重要なチェックポイントですね。
◼準備
ホテルと同様に、愛ブヒが少しでもシッターさんに良い印象を持ってくれるように事前準備をします。
・カウンセリングの際、いきなりシッターさんが家に入ってくると、警戒するブヒもいて当然。自宅での初顔合わせの時には、シッターさんと外で待ち合わせをしてから自宅に入りましょう。
・顔合わせの間中、愛ブヒにたくさんオヤツを与えて、シッターさんに良い印象を付けます。
・良いシッターさんだと感じたら、その後、2~3回シッティングを利用してみます。
・大丈夫そうなら、やっと本格的なお留守番デビュー。
・もしシッターさんがOKなら、1泊にもチャレンジ。
◼我が家のこだわり
・お散歩は愛犬の気分転換に必須。お散歩が出来るシッターさんを選びます。
・家の鍵を渡すことになるので、人として価値観が近い方、信頼のできる方を選びます。
・ホテルと同様、1カ所ではなく、数カ所にかかりつけシッターさんがいると安心。
・海外では、愛犬と夜通し一泊してくれるシッターさんも多くいました。日本ではあまり多くないかも知れませんが、必要であれば事前に相談しましょう。
◼ホテルとシッターの使い分け
ホテルでは、他の犬や複数のスタッフさんたちと交流が持てる可能性があります。
しかし愛ブヒが他の犬がとても苦手だったり、家以外の場所で極度の不安を感じてしまう場合は、シッターさんを選ぶほうが良いでしょう。
シッターさんに宿泊や長時間滞在を依頼する場合は、人間一人を拘束することになるため、金額も相談する必要があります。
私の場合、宿泊ならホテル、長時間(8時間以上)の外出ならシッターさんを選ぶことが多いです。
(3)知り合いの家に預ける
これは少し難易度が高いですが、出来るようになるといい選択肢。
この選択肢が実現できるかどうかは、以下の条件が必要です。
・知人が犬の扱いを理解している
・知人が“愛ブヒ”の扱いに慣れている(要練習!)
・愛ブヒが知人になついている。
・知人宅に他の犬がいる場合、愛ブヒとその犬の相性が良い(無理なものは無理!)
しかし、始めから全ての条件をクリアすることは、まずありません。
そこで日頃から知人宅に遊びに通いつつ、オーナーさんが愛ブヒと知人との関係を育てていく必要があります。
たとえ今までに何頭も犬を飼っている人でも、お世話の仕方は千差万別。
みなさんが愛犬と関係を築くまでに数年もかかったように、お知り合いにも愛ブヒを理解してもらうための時間と知識が必要です。
愛ブヒに合った世話を理解し、出来るようになってくれるまで、コツコツ練習をしてもらってください。
お試し期間と練習期間があってこその本番。絶対にいきなり預けるのはNGです。
また、知人宅の愛犬との接触については、どんなに仲が良さそうに見えても、人が見ていないときは犬同士を隔離してください。
犬は人間の3歳児と同じ。相手にカチンと来たら、牙を使って命がけの喧嘩をすることも。
預けた犬は、健康な状態で戻してもらうことが鉄則です。
◼我が家のこだわり
我が家は、愛犬を知り合い宅に半年かけて慣らしました。この期間に、みんなで安全のルールも決めました。
例えば、私の愛犬は下に置いてあるオモチャをすべて破壊するため、オモチャはすべて届かない場所に片付けてもらう。
その家の犬と喧嘩しないよう、ご飯は犬同士を隔離して与える…など30項目以上ものルールがあります。
そのかいあって、現在は2週間ほどの宿泊もさせてもらっています。
とはいえ、相手はプロではありません。この選択肢には、比較的大きめな自己責任と自己管理が付いて回ることを忘れずに。
相手に高いサービスや丁寧な犬の扱いをお任せしたいと望むのなら、対価を払って相応のプロにお願いしてください。
いかがでしたか? 他にもたくさんのお留守番の選択肢はあるでしょう。今回は、あくまでお留守番の選択肢として我が家が用意している3パターンをご紹介しました。
それぞれにメリット、デメリットがあり、かつ愛ブヒのキャラクターによっても、家族の考え方によっても、選択肢は変わります。
楽しい留守番の滞在先は、オーナーさんが根気よく作っていくもの
そもそも、一人ぼっちが大好きと言う犬はいません。
群れで生きる動物ですから、毎日10時間を超える留守が好ましいとも思えません。
ですから、人間の都合でお留守をお願いする時には、ブヒたちに幸せな時間を提供する必要があるのです。
しかし何事も急にできるものではありません。
小さなハッピー体験を繰り返して、だんだんとその場所を好きになってもらうのです。これにはオーナーさんの根気と努力が必要です。
現在、我が家の愛犬は、まるで祖父母の家に遊びに行くようにホテルに向かい、大好きなお店の方たちに遊んでもらい、いつもと違った刺激を受けて帰ってきます。
知り合いの家に泊まっている時も、パパさんのお腹の上に陣取ってお昼寝をさせてもらっているようです。我が家では見せない顔です。
うちの愛犬も、はじめからホテルが好きだったわけではありません。好きになってもらえるように、みんなで協力し、愛犬の笑顔を積み重ねました。
どの選択肢も、半年以上かかっています。
しかし、私は趣味としても仕事としても、海外に行く必要があり、行きたかった。
私の都合を通すために、時間を投資することにはなりましたが、それにより私は、愛犬の笑顔を守ったまま、旅行に行く権利を得られたわけです。
まとめ
犬を迎えたから、人生の全ての時間を犬に向けなければいけないのか……。
全員がそうしたいかと言うと、決してそうではないと思います。
愛犬とずっと一緒に過ごしたい人は、ずっと一緒にいたっていい。
自分の時間が欲しい人は、そのための努力をすればいい。
幸せの形は家族みんなの手で作っていくものなのですから。
一番大切なのは、愛ブヒが「幸せだなぁ~」と笑ってくれるその顔を守ること。そして、オーナーさんの笑顔も守ることなのです。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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