神経質だからじゃない!「触られるのが苦手なブヒ」になってしまう理由3つ&触れることのメリット5つ
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、触られるのが苦手なブヒのオーナーさんに向け、愛ブヒがスキンシップ嫌いになってしまう理由をお伝えします。「うちの子は神経質だから」と思っているのは、大きな勘違いかもしれませんよ。
目次
触られるのが苦手な愛ブヒ、いませんか?
みなさんの愛ブヒは、触られることに対してどんな反応をするでしょう?
喜んで身体をグイグイ押し当てるでしょうか?
それとも触る手を止めると、もっとなでてと要求してくるでしょうか?
はたまた、喜ばずにオーナーさんから離れてしまうでしょうか?
ブヒによって、触られたときの反応は千差万別です。
テレビやSNSを見ていると、触られて喜ぶブヒをよく目にします。そのため、「どのブヒもみんな触られることが大好き」だと思えてしまうかもしれません。
しかし実際はそういうブヒばかりではなく、触られることが苦手なブヒもたくさんいます。
ですが触られることが苦手なままだと、愛ブヒの生活上、損をする場面も出てくるため改善していく必要があります。
今回は、愛ブヒを触ることによるメリットと、触られることが苦手になる理由を探っていきましょう。
身体を触れるようになっておくことの大切さ
まずは愛ブヒの体中を触れるようになっておくことのメリットを確認しましょう。
<愛ブヒが触らせてくることのメリット>
・日常的なお世話が快適
ハーネスを付けるとき、服を着させるとき、大きな段差での抱っこなど、愛ブヒに接触しないで日常を過ごすのは難しいもの。愛ブヒが触らせてくれるからこそ生活がスムーズに送れるのです。
・身体のケアが快適
足拭き、ブラッシング、シャンプー、爪切り、動物病院での診療など、人間が触らないとケア出来ないことがたくさんあります。触られることが苦手だと、ケアの度にストレスを感じる羽目に。無理やり押さえつけて足拭きをするなんて、愛ブヒにとってもオーナーさんにとっても苦痛ですよね。
・マッサージが出来る
ブヒは関節のトラブルが多く、ユニークな体つきゆえの首や背中への負担も多い犬種。触られるのが好きであれば、日常的に全身を触り、血行を良くして凝りをほぐすことが出来るのです。
・介護が出来る
現代の犬たちは、医療の発達、栄養状態の向上により、年々長寿になってきています。それに伴い介護生活も当たり前の時代(人間の高齢者と同じですよね)。自力で歩けないときに後ろ足を持ってサポートしたり、おむつで汚れたお尻を拭いたり、食事で汚れたお顔を拭いたり。体中に触れるようになっておく必要があります。
・病気の予防
日頃から体中を触って、日々の変化をつぶさにチェックするのはオーナーさんにしか出来ません。獣医さんにお任せはNG。人間だって、自分で異変を感じて病院に行き病気を発見しますよね。
言葉の話せない愛ブヒの代わりに、体の異変を感じ取り獣医さんに伝えるのはオーナーさんの重要な使命です。
まめに健康診断をしたとしても(それ自体は間違いなく素晴らしいことです!)、ブヒたちの人生は人間の何倍も早く、病気の進行も何倍も早いのです。
身体を触れることで、オーナーさんが毎日のプチ健康チェックを出来るのは、身体を触れることの重要なメリットではないでしょうか。
触られることが苦手になってしまう理由
愛ブヒを触りたくても、喜んで触らせてくれる部分と嫌がって触れない部分があるかも知れません。
嫌がるのはもちろんあなたを嫌いだからではありません。ちゃんとブヒなりの理由があります。
では早速、その理由をいくつか紹介しましょう。
・もともとデリケートな部分
ブヒたちの身体には敏感な部分がたくさんあります。
基本は「身体のはじっこは苦手」だと覚えておきましょう。
例えば、鼻の先、口周り、足先、足裏、しっぽなど、先端部分は繊細な部分です。人間も同じですよね。
よっぽど丁寧に、ご褒美をあげながら好きになってもらえるように触っていかないと、苦手が蓄積されていってしまいます。
・嫌な経験をしてしまった
触られる度に悪印象が重なれば、苦手になってしまいます。
例えばブラシをする度に強すぎて痛かったらブラシは苦手になりますし、口に触るたび無理やり口の中のものを出されたりすれば、その部位を触られることは苦手になっていくでしょう。
嫌な触り方を繰り返す相手なら、その人そのものや、触ってくる手を苦手になることだって充分あります。
・痛みや不快感があった
痛いところは触られたくないもの。また、たとえ治っていても以前痛かったところは、触られると怖いなと感じることもあるでしょう。
怪我や手術をしたあとに触られるのが苦手になってたブヒは少なくありません。また、アレルギーで皮膚がかゆいブヒは体を掻いてもらえれば喜ぶでしょう。
しかし、それは触られるのが好きなわけではなく皮膚の不快感が原因のため、治療をする必要があります。
触られるのが好きになるかどうかは「日々の積み重ね」
触られるのが苦手なブヒのオーナーさんは「そういう性格なのよね〜」なんて思ってる方も多いですが、それは違います。
先述の通り、性格ではなく、触られることが苦手になる理由や経験がそうさせています。
愛ブヒが、触られることを快適に感じるか不快に感じるかは、毎日の経験の積み重ね。
オーナーさんがどんなに愛ブヒを愛しく想って触ってあげたとしても、愛ブヒ側が嫌なことだと感じてしまえば、触られることは苦手になっていってしまいます。
触られることを好きになってもらうためには、愛ブヒの意見に耳を傾け、愛ブヒが喜ぶシチュエーションで、愛ブヒが気持ちよくなる触り方をすることが重要なのです。
「うちの子、神経質だから口周りは触れないの〜!」と、どうか性格のせいにして放置しないでください。
性格のせいにして放置した結果、あなたの可愛い愛ブヒは、歯磨きをしてもらう機会を失い、誤飲しそうな時に口から物を取り出してもらう機会を失い、口周りを拭いて清潔にしてもらう機会を失います。
そして、オーナーさんは、愛ブヒの身体と人生を守る機会を失ってしまうのです。
触られることが苦手なブヒに、触られて大喜びするようになれとは言いません。
しかし、「ご褒美をくれるなら、ちょっと触らせてあげるよ」と言ってくれる身体のパーツが多いほど、愛ブヒの体と心を守れる機会が多いということなのです。
今まで触られるのが苦手だった子が、すぐに触れるようにはなりません。
しかしあきらめずに、愛ブヒの意見に耳を傾ける日々をコツコツ重ねていきましょう。
今日より明日、愛ブヒが快適に触られる事ができるようになっていく未来をいつも意識してくださいね。
触り方を改善するテクニックのお話は、次回紹介します。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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