2022年6月13日2,516 View

【取材】免疫力アップにヘルニア予防、ストレスケアも!自宅で簡単にできる「ドッグリフレ」で愛ブヒの健康を守ろう

犬のためのホームケアメソッド、ドッグリフレクソロジー。犬の足裏や顔をオーナーさんが優しく刺激することで、病気の予防や免疫力の向上を目指せるなど、さまざまな嬉しい効果を目指せる健康法です。

今回は、そのメリットからフレブルにおすすめのやり方まで、詳しくご紹介します。

 

人間のリフレクソロジー理論を基に、飯野由佳子さんが考案した犬のためのホームケアメソッドがドッグリフレクソロジー。

 

犬の足裏や顔をオーナーさんが優しく刺激するだけで、健康への嬉しい効果がたくさん期待できる健康法です。

 

愛ブヒがずっとずっと健やかで長生きできますように。そう願うすべてのオーナーさんに向け、飯野さんに“ドッグリフレクソロジーとはどんなもの?”から、自宅で手軽にできるおすすめのリフレまで教えていただきました。

 

飯野由佳子さんプロフィール

飯野由佳子さん

2000年よりアロマセラピスト、リフレクソロジストとして活動。

 

イギリスやアメリカで、がんケアや統合医療を学び、東京表参道の自然療法学院に12年間在籍し、アロマセラピー、リフレクソロジーの講師を務める。

 

大の愛犬家であることから、2003年からはアメリカ、イギリス、スイス、スペイン、ポルトガルで犬へのリフレクソロジーやアロマセラピーを学び、ドッグリフレクソロジーを考案。

 

日本初のドッグリフレクソロジストとして、TBS『世界バリバリ★バリュー』、フジテレビ『あっぱれ!!さんま新教授』などにも出演するほか、リフレクソロジー、がん、統合医療、ドッグリフレクソロジー、アロマセラピーなどに関する著書、監訳など7冊の書籍を出版。

 

オフィシャルHP

 

【所持資格】

英国IFPA認定アロマセラピスト正会員

英国AoR認定リフレクソロジスト正会員

黒ラブ

飯野さんの愛犬・リオくん(ブラック・ラブラドールのオス)は2021年11月1日、15歳2ヶ月でお空に旅立つ3日前まで自分の足で歩き、いつもどおり食べていたそう。平均寿命が10歳〜12歳と言われるラブラドールにもかかわらず15歳まで生きられたこと、そして旅立つギリギリまで元気だったのはドッグリフレの賜物!

 

リフレクソロジーとは? 海外では癌患者にも使われるセラピー

リフレクソロジー反射区

1920年代アメリカの耳鼻咽喉科医師が見出した“ゾーンセラピー”の考え方から発展したものが“リフレクソロジー”です。

 

体の末端(足の裏や手、顔)には全身の臓器が反射されていて、この “反射区”を刺激することで、深いリラクゼーションとともに、人間が本来備えている自然治癒力や免疫力をアップさせることができるというホリスティックな治療法。

 

海外では癌患者の緩和ケアとして医療現場でも活用されているこの療法を犬へと応用したのが、飯野さんが編み出した“ドッグリフレクソロジー”なのです。

 

ドッグリフレクソロジーとは?

ドッグリフレ

愛犬リオくんに施術中の飯野さん。

 

もともと人間のリフレクソロジストであり、大の愛犬家でもあった飯野さん。

 

日本では犬へのリフレクソロジーを行っているところがなかったため、2003年にアメリカのリフレクソロジストで、自分のボクサー犬にリフレクソロジーをしていた先生に師事。

 

その後もスペインなど数名の海外の先生からドッグリフレクソロジーを学んだあと、愛犬リオくんに試しながら、オリジナルの犬用リフレクソロジーチャートを編み出しました。

 

飯野さん(以下敬称略)「人間のリフレクソロジーと同じように、犬の足裏や顔にも、犬の全身臓器が映し出されていると考えることができます。

 

ワンちゃんの足裏や顔は、ワンちゃんの全身臓器へ刺激を送るリモコンのようなもの、と想像してみるとよいでしょう」。

 

いわゆるドッグマッサージや犬の整体と異なるのは、他の療法ではトリートメントが及びにくい、胃、腸、腎臓、肝臓など内臓すべてにアプローチできること。

 

ドッグマッサージや整体では、主に骨格系や筋肉系に働きかけることしかできません。

 

飯野「身体は一つ一つの臓器がばらばらに働いているのではなく、すべての臓器が連携しあって機能しています。

 

例えば、胃の不調があるとき、原因は胃だけにあるのではなく、胃とつながる小腸、大腸、肝臓、それにホルモンなども関連しているというわけです。

 

リフレクソロジーなら内臓全体にアプローチできるため、身体のバランスが取れていき、免疫力や自然治癒力(自分で自分の身体を癒そうとする力)の向上を促すことが可能になるでしょう。

 

それがひいては病気予防、アンチエイジング、長生きにもつながっていくと考えられます」。

 

オーナーさんの指で足の反射区に刺激を与えることで、身体全体を中から整えることができるというわけです。

 

飯野「反射区に刺激を送ると血液やリンパの巡りが促され、老廃物排泄も促進し細胞の生まれ変わりをサポートします。これが体の中の各臓器をイキイキさせることにつながるんです。

 

パピーでも終末期でも細胞の生まれ変わりが起きている限り、リフレクソロジートリートメントは、ワンちゃんの健康維持につながるでしょう」。

 

ドッグリフレクソロジーはメリットだらけ

ドッグリフレ

 

病気の予防やアンチエイジングが期待できること以外にも、ドッグリフレクソロジーにはたくさんの利点があります。

 

(1)犬の身体に負担をかけない、やさしく穏やかなケア

クリニックやサロンへ行く必要がないため、車が苦手なブヒや、病院への移動そのものが身体に負担が大きい老犬でも毎日ケアが可能。また、マッサージや整体などと違って、触ったり動かした瞬間に患部に痛みを感じたりすることもないので安心です。

 

(2)誰でも簡単に再現できる

プロの先生にしかできないという方法ではなく、誰でも簡単に行えるので、ホームケアに最適です。

 

(3)使うのはオーナーさんの指だけ!お金がかからない

使うのはオーナーさんの温かな手だけ。道具を買う必要がありません。

 

(4)いつでもどこでも行こなえる

愛ブヒが眠っているとき、オーナーさんの膝の上で一緒にテレビを見ているときなど、好きなとき、好きな場所でケアできます。

 

また、「何回以上やらないとダメ」といったルールもないので、時間に縛られず、ちょっとした隙間時間を見つけてやれるのも嬉しいところ。

 

飯野「ドッグリフレクソロジーを行うことで、ストレスや痛みを緩和してあげたり、リラックスや心の安定をオーナーさんが愛犬にもたらしてあげることもできます」。

 

自宅にいながら、愛犬のメンタルとフィジカル両方をケアすることができるというわけです。

 

ただし、人間のリフレクソロジー同様、ドッグリフレクソロジーで病気を治すことはできません。もし身体の不調、異常を感じたら必ず獣医師による診断、治療を受けてください。

 

フレンチブルドッグにおすすめのドッグリフレクソロジー

ドッグリフレクソロジーのすごさやホームケアのしやすさが分かったところで、フレンチブルドッグにおすすめのメソッドを、French Bulldog Lifeモデルのnicoを相手にいくつかレクチャーしていただきました。

 

■ヘルニア予防におすすめのリフレ

反射区

※左前足にも同じ位置に反射区があります。ケアする際には、左右どちらの足も押してあげましょう。以下、紹介する反射区はすべて左右対称で同じ位置にあります。

 

反射区

 

椎間板ヘルニアの予防には、坐骨神経や腰の反射区(図の赤点部分)を刺激してあげるのがおすすめです。

<坐骨神経リフレのやり方>

ドッグリフレ

 

飯野さん「反射区にオーナーさんの指の腹をあて、押しながら小さく回すような動きで圧を加えていきましょう。

 

指の腹の軸がすべらないように保ちながら、ゆっくり回すのがポイントです。

 

ただ押し込めるより、回す動きを加えることで、皮下の神経にしっかり刺激を伝えることができます」。

<腰リフレのやり方>

腰のリフレ

腰の反射区は前足の側面、ちょうど関節を曲げた時に山になるあたりです。

足を触られるのが嫌いな子には顔の反射区刺激を!

犬にとって肉球はとても敏感な部分。触られるのが苦手な子もいるかと思います。そんな子のヘルニア予防には、顔の反射区をなでてあげましょう。

 

実は顔にも全身に対応する反射区があります。それを表しているのが以下のチャート(緑色のイラストが真上から見たフレブルの全身を表しています)。

 

顔の脊椎反射区

顔の脊椎反射区

 

ヘルニアが起きる脊椎を表す部分が、ちょうどおでこから鼻の上のへこんだ部分(赤線)までになります。

 

ドッグリフレ

 

おでこのこのあたりからスタートし、毛並みの向きにそって少しずつなでるように圧をかけてください。

 

ドッグリフレ

鼻の上の凹んでいる部分まで押してあげましょう。

 

足にしろ顔にしろ、指で加える圧の強さは、特に決まりはありません。

 

ただし、弱すぎると「これ何されているの?」というふうに犬がかえって戸惑ってしまうことがあるため、ある程度しっかりと力を入れたほうがよいとのこと。

 

人間も、マッサージサロンに行って触っているか触ってないか分からないような力加減で施術されても戸惑いますし、気持ちがよくないのと同じです。

 

「これくらいだと気持ちいいかな?」と、愛ブヒの様子を見ながら力加減を調整してみてください。

 

■免疫力アップを目指せるリフレ

反射区

反射区

 

皮膚疾患やがんになりやすい犬種としても知られるフレブル。免疫力の低さがその一因です。

 

またこの2つの病気だけでなく、あらゆる病気から愛ブヒを守ってくれるのが免疫機能。それを強化できる反射区が胸腺、太陽神経叢(たいようしんけいそう)、リンパ系など。

<胸腺リフレのやり方>

ドッグリフレ

 

胸腺の反射区は、前足の肉球のちょうど横に位置します。ここも指をゆっくりと回しながらぐっと圧をかけて。

<太陽神経叢リフレのやり方>

ドッグリフレ

太陽神経叢の位置は肉球のすぐ下、ど真ん中あたりです。左右どちらの足裏も押してあげましょう。

 

飯野「太陽神経叢は消化器系コントロール、自律神経系の調節、免疫向上、疲労回復に有効な反射区。東洋医学のツボと同じ場所に位置し、元気が泉のように湧いてくるツボ、リラックス、心を穏やかにさせるツボとしても知られています」。

<上部リンパのやり方>

ドッグリフレ

 

さするように指先に向かってマッサージし、リンパを流しましょう。

 

全身に張りめぐらされているリンパ管。リンパは免疫細胞を運ぶ重要な役割を担っているので、めぐりをよくすることで免疫力アップにつながります。

 

飯野「リフレクソロジーでは足の甲側は身体の前側を表し、足先から足の甲側全体を刺激することで、全身のリンパの流れを促してくれます」。

 

■全身をトータルでケア! 簡単ドッグリフレ

ドッグリフレ

 

最後に、全足指の両側面と指の中心を優しく刺激するだけで簡単に全身をケアできるメソッドを紹介します。

 

飯野「犬の前足・後足の指側面と中心は、東洋医学の経絡の流れが始まる部分です。

 

経絡は指先から全身をめぐりますので、流れが始まる部分に刺激を与えることは、ワンちゃんの全身にパワフルな刺激を伝えることにつながります」。

 

ドッグリフレ

 

それぞれの指を両方からつまんで、指先に向かって少しずつもんでいきます。

 

ドッグリフレ

 

両足とも、すべての指をもみましょう。

 

ドッグリフレ

 

爪の付け根、指の真ん中も押しながらゆっくり回していきます。

 

なんだか、免疫力アップや血流アップ効果があるとされる、人間の“爪もみ”マッサージと似ていますね。

 

ちなみにnicoはリフレ中、じっとしたまま飯野さんに身を委ねて気持ちよさそうな表情をしていました。

 

どのメソッドも簡単にできるものばかりなので、ぜひホームケアとして習慣にしてみてください。

 

今回は部分トリートメントを教えていただきましたが、前述したようにすべての臓器はそれぞれが密接に関わり合って機能しているもの。

 

本格的にドッグリフレクソロジーをやりたいなら、全身のトリートメントがおすすめです。

 

飯野「犬は話すことができず、不調を訴えることができません。リフレクソロジーによって予防をしっかり行えば、飼い主の経済的、精神的負担だけでなく、愛犬を身体的苦しみから救い出すことも可能になると思います

 

犬の生活の質(クオリティ オブ ライフ)を高めるために、ぜひドッグリフレクソロジーを活用してみてください」。

 

取材・文/徳永幸子 イラスト/Cランチ

 

 

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