16歳から、7歳へ。贈る言葉【ミドルシニア期こそが、大切に過ごすべきリアルシーズン】
どんな犬種のオーナーも、愛犬には長生きしてほしい、と思っているはず。
でも、逆にあまりにも情報が多すぎて、どのタイミングでどんなことをするのがいいのか、わからなくなっているのではないですか?
自分がいま、愛犬にできることって、どれだけあるのだろう。
そんなふうに感じていませんか。
今回は、そんなあなたに伝えたい、希望の話。
いわゆる『ミドルシニア』世代の生活にこそ、健康長寿の秘訣があったというルポルタージュです。
※画像はすべてイメージです
※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません
元気と健康は約束されていない
「元気と健康は約束されていないから」。
彼女はそう言いました。
彼女というのはわたしの学生時代の先輩、マキタさんです。
フレンチブルドッグの飼い主で、愛犬の名前は牡丹。
なんと、16歳のレジェンド。
「一緒に暮らしちゃったらもう後戻りできない。もちろんする気もない。こんなに愛しちゃっていいのかな、というくらいの精神状態。この子のためになら、死ねる」
わたしは牡丹の眉間をいじった自分の指のにおいを嗅いで、くさっ、と言いました。
いつもやっちゃう、愛しいにおい。
「さて、今日聞きたいって言うのは、長寿についてだよね。そうそう、だからね、『元気と健康は約束されていない』ということを話したいの」
勝手に健康である時期はほんの少し
マキタさんは昔から無駄なことをしない人なんです。
授業でもノートは取らずにスマホで撮影してたし、合コンなんて一度も来ませんでした。
でも誰からも一目置かれていて、ものすごく頭の回転がいい人、という印象はずっと変わっていません。
そんなマキタさんが生涯のパートナーの牡丹と出会って、どんな気持ちになって、どんなふうに暮らしてきたんだろう。牡丹ももう16歳…。
わたしが聞きたいのは、信頼するマキタさんが牡丹にかけてきた手間暇について。
つまり、牡丹がこんなにもまだ元気で、ぴかぴかな理由です。
ちなみにわたしはパグと暮らしています。名前はみかん。現在7歳で、ミドルシニアと言われる年ごろです。
「まず、勝手に健康である時期はほんの少しだけ。覚えがあるだろうけど、3歳くらいまでの時期ね。この頃は壮健、といってもいいくらい元気だったでしょう?」
わたしはうなずきます。
確かにみかんもそれくらいの頃は超元気で、病気知らずでした。
「もちろん個体差もあるけれど、なにもしないで元気な時期って、ほんとうに短いのよね」
「みかんも4歳くらいかな、あんなにきれいだった皮膚がぼろぼろになってきちゃって…動物病院に行きましたね」
「皮膚、弱いよね…かゆそうにしてるし、めちゃくちゃかわいそうじゃない。見てられないもん」
「その後には椎間板ヘルニアになりましたしね。あとは股関節形成不全って言われたなあ」
「みかんっていまいくつになったの?」
「もう7歳ですよ」
マキタさんはなるほど、と言ってちょっと考え込みました。
ミドルシニア期こそが意識改革のチャンス
「いきなり長寿についての核心を言うね。わたしの個人的見解だから、あとはまかせるよ」
さすがマキタさん、いきなり核心。
「長寿というのは結果。だから目指すことしかできない」
「…なるほど」
「これをまず前提にしてね。そのうえで『ミドルシニア期の意識改革』をおすすめしたいんだ」
ミドルシニア期の意識改革。
みかん、ちょうどミドルシニアだ。
「ミドルシニア期がいちばん大切だと思ってて。壮健な時期を抜けて、ちょっと落ち着いてきたころに病気はやってきたりする。そして」
「そして?」
「その頃が『いちばん楽しい時期』なんだってこと。健康と元気を少しずつなくしていくようなときだからこそ、飼い主の知恵とその子への思いがものを言うんじゃないかな」
わたしはちょっと雷に打たれたような気分になって、つぎの言葉が出てきませんでした。
確かに、若い頃は病気なんて大してしなかったのに、年齢を重ねてきてそれなりにトラブルが出始めて、動物病院へは行くけれど完全に治らないことも多くて。
いちばんつらいのはみかんだったのに、心のどこかでわたしは『なんで』『どうして』ばっかり。
「あげくの果てには、そろそろそういう年齢だから? それとも犬種的にこの病気は仕方ない? …どれもごまかし。こういうのはね、ぼーっとしてちゃだめなんだよ」
マキタさんはそう言って、わたしの気持ちを見事に見抜いてしまいました。
「ね、みかんと暮らすいまこの現在がほんとうに大切なの。ミドルシニアまっただ中。知恵を使えば、もっと楽しくなる。これはチャンスなんじゃないかな。飼い主のセンスとがんばりが試されるんだと思うよ」
コラーゲンの知恵
でもじゃあ、具体的にはどんなことをすればいいのでしょう。
わたしはマキタさんに直球で聞いてみました。
「確かいまみかん、皮膚や足腰があんまりよくない状態だったよね。病院には行ってる?」
「最近通ってます。いつもの治療でだいぶ落ち着きましたけど」
「じゃあ次は今の健康をどうやってキープしていくか、だね。」
マキタさんはそうつぶやくと、小さな缶をバッグから取り出して、中に入っていた白い粉を手のひらに乗せ、牡丹の口元へ。
牡丹は色めきたってその粉末をぺろぺろと舐めています。
「え、その白い粉、なんですか? おやつ?」
「コラーゲンだよ。牡丹はこれ大好きなの。サプリメントなんだけどね。これも飼い主の知恵とも言えるかな」
コラーゲンのサプリ?
「コラーゲンに多く含まれているのは犬の食事には不足しがちな非必須アミノ酸。ここがポイント」
「『非』必須なら別にわざわざ摂取しなくても、からだで作れるんじゃないですか?」
「おっとさすがだね。そう、非必須アミノ酸は体内で合成できる。でもここからが知恵の使いどころで、ほんとうにちゃんと合成できてると思う? みかんの体内で、申し分なく大切な非必須アミノ酸が作られているかどうか」
「それは年齢のこともあるし、そういう力も落ちてる気がするし…」
「でしょう? 飼い主ならそこまで見抜くのが知恵。ほら、牡丹の背中を撫でてごらんなさいよ」
牡丹の毛はとってもやわらかく、ふわふわ。
「すごい…16歳なのに…牡丹、調子いいですか? 悪いところぜんぜんないですか?」
「ミドルシニア時代からずっと健康的。ほら、目の輝きだって16歳とは思えないでしょう?」
ちょっと潤んだ茶色の瞳。透明感まである。
牡丹の奇跡に、わたしはうなってしまいました。
「もちろんコラーゲンサプリだけじゃなくて、いろいろ試行錯誤してるけどね。やっぱり大切なのは『食』だと思うの。人間もそうだけど、犬ならなおさらダイレクトに差が出てくる気がする」
正しい選択だったと納得できれば
わたしはがぜんそのコラーゲンサプリに興味が出てしまいました。
「マキタさん、そのコラーゲンサプリ、なんていう名前ですか」
「『Ta-Ta(タータ)』っていうんだ。最近めちゃくちゃ話題になってるよ。そういうのもちゃんと調べて、正しい選択をしたいよね」
「え、この粉末を食事にかけるだけでいいんですかね」
マキタさんはそうそう、簡単だよ、と言いました。
「ぬるま湯に溶いてからまんべんなくフードにかけちゃうのもいいかも。お手軽だよね。さっきみたいにおやつ感覚であげちゃってもいいし」
「コラーゲンかあ…いいかも」
「コラーゲンは、骨、軟骨、靭帯、筋肉、爪、皮膚、毛、内臓など、 大切な部位の健康維持をサポートするのにとても役立つらしいの。ほとんど全部じゃん、みたいな」
「うーん、なるほど、これも知恵ですね」
「そうだね。食にこだわる、適切な運動をさせる、ストレスを軽減する…やるべきことはたくさんあるけど、だからこそミドルシニアは楽しいよね」
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この人すごいなあ、とわたしはあらためて思いました。楽しい、か。
ほんとうにそうだ、意識改革なんだ。
飼い主ができることを知恵を使って、やる。
「それとね」
マキタさんが口を開きました。
「正しい選択だったと納得できるということは、ものすごく幸せなこと。それはずいぶん後の話になっちゃうかもだけどね。長寿って、そういうものだと思うの。わたしたち飼い主が努力した果てにある状態」
はい、そうですよねとわたしは返します。
「その努力って、愛情そのもの。もうね、牡丹のためなら恥ずかしげもなく言いますけどね、愛なんだよ愛。その先になにが待っていようと、愛は枯れないからさ」
愛は枯れない。
なんだかお留守番させているみかんに、すごく会いたくなってきてしまいました。
マキタさん、ありがとう。
牡丹も、長く生きてくれて、こんなふうにマキタさんを奮起させてくれて、ありがとう。
それはめぐりめぐってわたしの思いになり、わが子のみかんへ捧げるものです。
みんなで、長生きしようね。
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