【咬傷事故リスクを回避】散歩中、小さな子供連れが寄ってきたら? 愛ブヒも自分も子供も守れる「神対応」とは
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、小さな子どもが触りたがったり、寄ってきたときの対応をご紹介します。
目次
小さな子供が寄ってきた! そんなどきどうする?
のんびり散歩をしていたら、小さな子供が駆け寄ってきて、トラブルになりそうで冷や汗をかいた!という方は少なくないでしょう。
もちろん、お互いが楽しく触れ合ってくれればなんの問題もありません。しかし愛犬が子供を苦手に感じているのに無理をさせたせいで、ストレスが爆発してしまったり、子供が愛犬の耳をギューッと鷲掴みしてしまったり、悪ふざけで犬が蹴っ飛ばされてしまうなどの、残念な出来事も頻繁に起きています。
子供連れとの接触は、愛犬が嫌な思いをしてしまうケースも少なくないのが現実です。
そこで今回は、日常の中でよくある「小さな子供連れが寄ってきたらどうするか?」について、みんなで考えてみましょう。
子供が苦手なのは、おかしいことじゃない
そもそも、あなたの愛犬が大の子供好きで、どんな子供さんとも仲良くやれてきたタイプであれば、このコラム自体に興味をお持ちにならないかも知れません。
しかし、世の中の多くの犬が、みんな子供好きというわけではないですよね(人間の大人だって、みんながみんな子供好きというわけではありませんしね)。
むしろ、子供のことが苦手な犬の方が多いと言った方が良いのかも知れません。
犬たちにとって子供は、突如不可解な動きをして、奇声を放ち、距離感無視の顔面がぶり寄りで見つめ続けたり、力加減のわからないボディタッチで攻めてくる、なかなか受け入れがたい行動が多い存在です。
そのため、日本に限らず世界中で、咬傷事故の相手として上位になってしまうのが子供たちなのです。
もしもあなたの愛犬が、子供を苦手だとしても、そして他の“大の子供好きな犬”のように子供と触れ合えなくても、まったくおかしなことではありません。そういう子は、いっぱいいます。
「うちの子に触らないで」と言い辛い雰囲気
子供が好きではない愛犬と暮らしているオーナーさんにとって、子供が「わー! わんちゃんだーーー!」と目を輝かせてダッシュして来るだけでも、「お願い、来ないでー!」と心の中で絶叫することもあるのではないでしょうか?
しかし「子供が触りたいっていうのに、断るのも悪い気がして…」などや、「避けるのも気まずいし…」なんて思うオーナーさんの気持ちもわかります。
日本では、人に対してハッキリと「No」を伝えることが難しい雰囲気があるのかも知れません。
私は海外にもよく行きますが、日本に比べて海外の人は「あなたの犬、触ってもいい?」と聞いたときに、「No。うちの子、触られるのあんまり好きじゃないの」とバッサリ断るオーナーさんが多いように感じます。
しかし日本では、なんだかみんなに愛想よく接しないといけない(人間同士だけでなく、犬ですら)雰囲気があるような気もします。
しかし! 子供が好きじゃない愛犬と暮らす皆さん、その雰囲気に屈してはいけません。愛犬の代理人として、「No」できるのは、オーナーさんだけ。頑張るしかありません。
事故の責任はオーナーさんに降りかかる!
子供との接触に対して、少しでも気乗りしなければ、「No」で良いのです。冷たい言い方になりますが、大人相手だろうが、子供相手だろうが、愛犬を他人に触らせてあげる義理はありません。
犬との触れ合い学習の責務は、セラピー犬などのプロの犬たちに任せましょう。
なぜなら、もし愛犬が子供に飛びついて倒してしまったり、歯が当たってしまって怪我をさせてしまったら、オーナーさんが責任を取ることになる可能性が高いからです(例え相手にも問題があったとしても…!)。
良かれと思って愛犬に無理をさせて、大損になるというわけです。あなたも、あなたの犬も、相手の子供も、その親御さんも、良い思いをしないのであれば、みんな不幸です。
繰り返します。少しでも不安があれば、「No」で良いのです。
子供連れが来たときの対処パターン
とはいえ、なかなか面と向かって「No」と言うのは気まずいかも知れません。そんなときに多くのオーナーさんたちがやっていることとして
・「この子、他の人が苦手なの。ごめんね。」と説明する。
・「この子、今体調が悪いの。○○の治療中なの。」と体調のせいにする。
・子供さんが興味を持った目線を向けてくれた時点で、さりげなく道を変えて避ける。
などのようです。
私も、子供(だけでなく大人も)が苦手な犬と出かけるときには、ちょっとガラの悪そうな服装にして、近寄りづらい雰囲気にしてみたりもしました。
「うちの子、子供が苦手で…」なんて悠長に説明している間に、ギャン吠えして大騒ぎになっちゃいますから。
あと、説明しても聞いてくれない相手もいますから。やっぱり一番は、「事前に逃げる」が勝ちです。
ちなみに私にも元気に走り回る年頃の子供がいますが、犬連れの方とすれ違うときは、かなりの確率で、犬連れの方がササッと道を変えてくれます。
子供を動かすのは結構大変なので、そうしてもらえると「助かる〜!」というのが正直な気持ちです。
決して、「あ、私達を避けたんだわ! 感じ悪い」なんて思いません。だってお互いの安全が一番ですから。
口輪も活用しよう
もちろん、子供連れが来ると予測できていれば、道を変えたりも出来ますが、突如接触されたらもう、困ってしまいますよね。
子供だけじゃなく、大人の人たちも、背後から忍び寄って、断りもなく犬を触ってくることがあります。そりゃもう、びっくりします。そしてちょっと、恐いです。
とはいえ、すべての人に対して「触る前にひと声かけてください」というマナーの徹底は難しいのが現実。
そのため、海外だと事故防止のために口輪の活用がされています。
日本でも最近は、見た目も可愛い口輪が発売されていたり、相手に歯が当たることは避けつつも、水やオヤツは食べれられる快適な口輪も販売されています。
少しでも咬傷のリスクがある場合は、愛犬を守るためにも、どうか口輪をつけることをためらわないでください。
触れ合うにしても、親の監視下で
と、ここまでは、子供さんとの触れ合いについてネガティブな話が多くなってしまったかも知れません。
もちろん、愛犬が子供を大好きで、子どもたちとのコミュニケーションを楽しみにしている場合は、オーナーさんの自己責任の範疇で、子供さんとの触れ合いを楽しんでもいいのでしょう。
うちの犬も、親戚の集まりでは、顔なじみの子どもたちとはよく遊んでいました(もちろん、私が目を離さないで見ていられる時だけですが)。
しかし、今までは子供と仲良く出来てきた愛犬でも、大いに注意していただきたいケースがあります。
それは「親がその場に居ない(または、目を離している)ときの触れ合い」です。
特に10歳以下の子どもたちは、まだまだ自己制御が出来ません。ついつい興奮しすぎたり、やりすぎてしまうこともあるかも知れません。
そのとき、相手の親御さんがそこに居ないと、オーナーさんが子供さんと愛犬のどちらも制御しないといけなくなります。人の家の子をコントロールするのは、けっこう大変です。
更に、ちょっと飛びつかれて擦り傷が出来てしまったときにも、親御さんがその場で見ていないと、何をされたのだろうと心配になってしまいます。
また、最近はアレルギー対策として、スーパーの試食も子供だけだと食べさせてもらえないように、動物アレルギーの子を守るためにも「大人の人と一緒に来てね」と伝えることをおすすめします。
せちがらい社会かも知れませんが、良かれと思ってやったことで、誰かが傷つくことになったり、訴訟が起きたりしているのが現実なので、あなたと愛犬の平和は、自分たちで守るしかありません。
こんなときは、専門科に相談
子供さんとの接触でトラブルを抱えていたり、散歩に行くことが怖くなってしまった方がいれば、少しでも早くプロに相談しましょう。
どうか一人で悩まずに、ドッグトレーナー、獣医師、トリマーなど、身近にいる専門家に相談をしてみましょう。
ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。そして、そのトレーナーが、生活環境の設定に関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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