2023年2月13日2,118 View

【取材】ヘルニア克服以来、大病知らずの15歳。「できるだけ犬の目線で」を大切にした暮らしで、心まで健やかに。 #66小梅

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回登場するのは、15歳の女の子、小梅ちゃん。猫に育てられ、のびのびとした暮らしを満喫しながら、気づけば15歳というレジェンド年齢に。そこには「できるだけ犬の目線で」という、オーナー・小春さんの優しい目線がありました。

 

小梅ちゃんプロフィール

French Bulldog

年齢&性別

15歳の女の子

体重

8.2kg(MAX 11kg)

大好きなこと

人といること

既往歴

仔犬の頃から慢性的な皮膚トラブルあり。

・1歳で椎間板ヘルニアに。

・10歳過ぎからホルモンバランスを崩し、皮膚疾患が増える。

・13歳の時に右目の角膜を傷付ける。この頃から左目の視力、聴力も低下。

 

一気に3頭!

フレンチブルドッグ

 

最愛の狆(ちん)の子を亡くして1カ月、ペットロス気味だったという小春さんとお母さん。

 

通っていたかかりつけ医が保護した、姉弟の猫2頭を引き取ることにしました。

 

さらにその直後、今度はテレビでフレブルを見て虜になり、2週間後には小梅ちゃんも迎えることになったそう。

 

「狆の子が病気がちで、亡くなるまでの1年半くらい、母は仕事を辞めて看護に専念していました。

 

そんなかかりっきりの子が亡くなったので、ポッカリと胸に穴が空いてしまって。

 

猫たちも小梅も一気に迎えたのは、その寂しさを埋めたい気持ちも大きかったのかもしれません。

 

それに小梅は誕生日が母と同じで、身体の模様は狆の子と同じだったんです。そのことにも運命を感じ、迎えることに決めました」(小春さん=以下「」内同)。

 

賢くて面倒見の良い猫の姉弟に、穏やかでマイペースな小梅ちゃん。寂しかった小春さんのお家に可愛い子が3頭もやってきて、賑やかな暮らしが始まりました。

 

フレンチブルドッグと猫

 

猫の犬育て

フレンチブルドッグと猫

 

2週間とはいえ、立派な先輩の姉弟猫。小梅ちゃんを妹のように可愛がるだけでなく、躾(しつけ)までしてくれたそうです。

 

「特に姉の猫から躾けられ、序列をしっかり叩き込まれてました。好き勝手をしていると教育的指導の猫パンチが飛んだりして(笑)。

 

食事の順番も決まっていましたし、甘噛みを止めさせたのも姉猫でした。グルーミング(毛づくろい)も教え込もうとしていましたが、流石にそれは断念したようです」。

 

フレンチブルドッグと猫

 

爪研ぎや“箱座り”まで真似していたという小梅ちゃん。お姉さんの影響は絶大ですね。さらにはこんなことも。

 

「東日本大震災の後、また地震が来たときのために、猫たちにテーブルの下に入ることを教えてみたことがありました。

 

理解できるか半信半疑でしたが、その直後に余震が起き、本当にテーブルの下に逃げてきたんです。しかも、少し遅れて小梅も。

 

去年地震があった時も、弟猫が2階から降りてきてテーブルの下に隠れたのでびっくりしました。まだ覚えてたんですね。

 

小梅は残念ながらぐっすり寝てましたけど(笑)」。

 

避難訓練はちょっとハイレベルですが、ノーマルな災害対策として、普段自由にさせている小梅ちゃんをケージに入れる練習もされていたそうです。

 

ケージに入るフレンチブルドッグ

 

災害時は犬も人もパニックになりやすいもの。素早く安全に避難でき、避難先でも居場所を確保できるよう、移動用ケージを常備して慣れさせておきたいですね。

 

日常生活から避難方法まで指導してくれたお姉さん猫は、小梅ちゃんを自制が利く立派なレディに育て上げ、2年前に旅立っていきました。

 

食事もしっかり管理

フレンチブルドッグ

 

続いては、小梅ちゃんの食生活について伺いました。

 

「亡くなった狆の子が病気がちだったので、食事は1g単位で管理していました。それが習慣になり、小梅にも同じようにしています。

 

基本はお医者さんにすすめられた『ロイヤルカナン』などのドライフードで、骨に良いものや皮膚に良いものなど、その時の体調に合わせて選んでいました。

 

ずっとそれを続けていましたが、去年の8月に足腰が弱ったり下痢したりと体調を崩し、ドライフードを食べなくなって、水も飲まなくなったんです。

 

それでウェットフードに変えてみたら、食い付きが良くなり、下痢も治りました。ウェットも『ロイヤルカナン』で、低脂肪のものです。

 

ただ水はやっぱり飲まないので、野菜スープを1日3回あげています。家で採れた旬の野菜を3種類くらいに、鶏のササミも入れ、全部細かく刻んで水だけで煮たものです。

 

それと家ではトウモロコシも作っているので、以前はおやつ代わりに茹でたトウモロコシをあげていました。人間みたいに歯で上手に剥がして食べるんですよ」。

 

不用意に何でもあげたりせず、新しいものをあげるときは少しずつにするなど、特に仔犬の頃はアレルギー予防としても気を付けていたそう。

 

また1g単位という厳しさは、体重をしっかり管理するためでもありました。その理由は、1歳で発症してしまった椎間板ヘルニアです。

 

ヘルニアの克服

フレンチブルドッグ

 

かなり早い段階でヘルニアを発症した小梅ちゃん。絶対安静の時期もあり、看護は大変でしたが、その甲斐あって4歳以降は症状を抑えられています。

 

「2歳を目前にした冬でした。後ろ脚が動かなくなりかかりつけ医に行ったら、“完全に麻痺しているので精密検査を”と、MRIがある病院を紹介してもらいました。

 

そこにはヘルニア治療で有名な先生がいらっしゃって、詳しく症状を診てもらった結果、何とか手術なしでもいけるかもしれないということでした。

 

それで鍼治療をすることになったのですが、たまたまかかりつけ医が鍼もできる病院だったので、そこで1カ月くらい、コルセットも巻いて絶対安静で治療しました。

 

鍼治療は1回15分程度、2日に1回のペースで通っていたと思います。同時に骨を強くするサプリも処方されて飲んでいました。

 

その後、翌年、翌々年までは冬に症状が出たので鍼治療をしましたが、それ以降は症状は出ていません」。

 

鍼治療をするフレンチブルドッグ

 

ヘルニア発症後は、体重管理に加え、足腰の保護にも余念がなかった小春さん。

 

段差を上らせないのはもちろん、リビングには滑り難いカーペットのような硬めのフロアマットを敷き、キッチンと廊下は全面をクッション性のある床材に張り替えました。

 

張り替えには大掛かりな工事が必要でしたが、猫たちにとっても良い床材だったため、ご家族で相談して決行されたそうです。

 

歩けなくても元気です

フレンチブルドッグ

 

万全の対応でヘルニアは収まり、その後はほとんど病気もなく元気に過ごすことができました。

 

ただシニアになると、元々弱かった皮膚のトラブルが増えるなど、加齢による悩みも出てきます。

 

「10歳を過ぎた辺りからホルモンバランスが崩れてきて、そのせいか12歳くらいから耳の毛が抜けたり、脇腹に広範囲のかさぶたができたり、皮膚の疾患が増えました。

 

ホルモンバランスは、整える薬を飲んではいるものの、良くも悪くもならず現状維持といった感じです。

 

脇腹のかさぶたは今もありますが、本人は痛くも痒くもないようで、特に弊害もないのでそのままにしています。

 

12歳頃からは視力も落ち、耳も遠くなってきて、今はどちらもあまり機能していないようです。

 

そして足腰も歳と共に衰えてきました。14歳くらいから散歩を嫌がり出し、半年程前に歩けなくなりました。

 

とはいえ、基本は元気で食欲もあるので、少しの手助けで無事に暮らせています」。

 

フレンチブルドッグ

 

夜中のトイレや寝返り失敗など、何か助けてほしいことがあると、小梅ちゃんは鳴いて小春さんたちを呼ぶようになりました。

 

寝不足は否めないものの、知らせてくれるおかげでオムツもほぼ不要で、何より困っていることに気付けるのがありがたいそう。

 

その他の介助としては、自力で立てないため、食事のときに支えてあげたりもされています。

 

大らかな犬生のために

フレンチブルドッグ

 

歳と共に身体は衰えても、心はまだまだ元気。シニアライフの理想形の一つといってもいいと思いますが、どうすればそこに辿り着けるのでしょう。

 

「心の健康という意味では、なるべくストレスフリーにしたことが良かったのかもしれません。

 

ウチが田舎の一軒家なので、周りを気にせず自由に過ごせて、環境的にもストレスが少なかったんじゃないでしょうか。

 

それから本人の気持ちになって接することも。嫌がることをしないのはもちろん、人と犬の違いを踏まえて接するように心がけてきました。

 

食べるもの、したいこと、寝る場所など、人と犬ではやっぱり違うと思うので、色々勉強しながら、できるだけ犬の目線、小梅の目線で考えるようにしています。

 

フレンチブルドッグ

 

もちろん身体の健康も大事なので、良いかかりつけ医と付き合うことも重要だと思います。

 

今のかかりつけ医とは狆の子から25年くらいのお付き合いになりますが、小梅に何か変化があればすぐに相談しますし、ほかにも何だかんだで月に1回は通っています。

 

気安く何でも話せて、犬種による違いなどにも詳しかったので、フレブルがまだ少なかった頃から安心して診てもらうことができました」。

 

フレンチブルドッグ

 

この質問に限らず、常にしっかりしたお答えを整然と返してくださった小春さん。でも、雰囲気はとても柔らかで優しかったのが印象的でした。

 

“小梅が大らかなので、私もそんなに神経質にならなかった”と仰っていましたが、もしかしたら逆なのかもしれません。

 

考えや行動はしっかりと、でも接する時は優しく柔らかく。そんな小春さんと過ごした時間が、小梅ちゃんの大らかでストレスフリーな犬生を形作ってきたのだと思います。

 

フレンチブルドッグ

 

取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)

 

★「#レジェンドブヒ」で投稿お待ちしています!

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