2023年3月20日2,015 View

【犬が嫌い・怖い・犬見知り】愛ブヒがもっと生きやすくなる!「犬嫌い」にしない育て方

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、意外と多い“犬が嫌いな犬”にならないための育て方をレクチャーします。

フレンチブルドッグ,しつけ

【愛犬を犬嫌いにしてしまう育て方とは? 】

フレンチブルドッグ

sanjagrujic/Shutterstock

 

みなさんの愛犬は他の犬が好きですか? 苦手ですか? せっかくだから、なるべく犬嫌いの犬にはなって欲しくないと思うのが、ほとんどのオーナーさんのお気持ちではないでしょう。

 

とはいえ、犬嫌いの犬にしないためにはどんなことに気をつけて育てていけばいいのかという情報は、あまり多くありません。

 

そこで今回は、愛犬が犬嫌いにならないように、オーナーさんができることを紹介していきます。

 

「犬が大好き!」には、ならなくても良い

フレンチブルドッグ

Goami/Shutterstock

 

まず始めに重要なことを確認しておきましょう! それは“犬嫌いにしないように育てる=犬が大好きな犬に育てる”ではないということ。

 

え? なんのことやら?と思われますよね。少し説明させてください。

 

“犬嫌いにさせない”という話になると、多くのオーナーさんの頭には、“どんな犬も大好きな外交的な犬”がイメージとして浮かぶようです。

 

しかし、それはちょっと勘違い。理想的な姿は、他の犬がいてもマイペースでいられる犬なのです。

 

どんな犬も大好きな犬をゴールとしてしまうと、アゲアゲパーティーピーポーな犬が出来上がってしまいます。

 

みなさんもたまに会うかも知れませんが、犬を見た途端、大興奮してリードを引っ張り「遊ぼう遊ぼう遊ぼう!!!!!!!」と大暴れしている子っていませんか? 

 

犬好き過ぎる愛犬というのも大変です。

 

相手の犬も同様にパーティーピーポーなら良い出会いになりますが、相手の犬が放っておいてほしいタイプであれば、超迷惑。

 

道行く犬たち全員に挨拶して回りたがるような、犬が大好きな犬に育てる必要はなく、他の犬の存在が気にならない状態になれれば良いのです。

 

他の犬といてもマイペースでいられることが理想

フレンチブルドッグとレト

lialina/Shutterstock

 

要するに、他の犬と一緒にいても、「不快だなぁ」と感じずに、マイペースでいられるのが理想なのです。

 

例えば人間でも、人見知りが激しい人は、他人と一緒の空間にいるだけでストレスを感じるでしょう。

 

逆に人が好きすぎて、おもてなしをしようと興奮して、気疲れしちゃうなんて人もいますよね。

 

同じ空間に他人がいても、マイペースに、自分の心がアップダウンしないでいられると、快適に生きられます。

 

愛犬にも「他の犬? まぁ、なんでもいいですけどー」くらいのマイペースを保ってもらえたらよいですよね。

 

愛犬が犬嫌いにならないように気をつけられること

フレンチブルドッグとコーギー

Olga Kri/Shutterstock

 

じゃあ、どのようにして「他の犬といてもマイペースでいられる」ように育てていけば良いのでしょうか? オーナーさんにもできる工夫を、いくつか紹介していきましょう。

 

・子犬のときに、たくさん兄弟とコミュニケーションを取る

子犬は産まれてから、兄弟犬たちと遊びながら、犬同士のコミュニケーション方法を学んでいきます。

 

人間と暮らす中で、人間とのコミュニケーションは学んでいけますが、犬語を理解するのにとても大切なのは、この時期の経験。

 

ぜひブリーダーさんのもとで、兄弟犬たちと過ごす時間をたくさん取ってもらいましょう。

 

・パピークラスに参加する

子犬を家に迎えてからは、オーナーさんが犬語を学ぶ機会を作りましょう。例えばパピーパーティーやパピークラスなどで、他の子犬たちと交流する機会を設けます。

 

もちろん公園などで他の犬と交流するのもいいですが、パピーのイベントは行ける月齢が限られますから、活用しない手はありません。他の犬に対して社会化できる大切な時間です。

 

・犬のデイケア施設で過ごしてみる

他の犬と長い時間を一緒に過ごすことで、良い経験が積めることもあります。しかし、ただたくさんの犬の中に放り込まれれば良い経験になるわけではありません。

 

人間だって学校に行けば他の子に慣れる訳ではありませんよね。状況が悪ければ、ケンカやいじめが起きて、人間嫌いになってしまう子だっています。

 

犬も同じで、あくまで他の犬と“快適な時間”を積み重ねることで、慣れていけるのです。ですので、良い経験を積み重ねられそうな施設選びが重要なポイントです。

 

・犬に良いイメージを持てる機会を増やす 

散歩や、ドッグランなどに行く際にも、他の犬に対して良いイメージを持てるような機会だけを増やしましょう。

 

例えば、穏やかそうな犬がいるときだけドッグランに入る、犬同士で挨拶させるときはしっかり相手を選ぶなど。

 

他の犬と交流させる際も、興奮し過ぎたり、雰囲気が悪くなってくるなら、すぐにオーナーさんが犬同士の間に入って、一旦距離を取らせます。

 

他の犬に対して良い印象だけを持たせて、悪印象は持たせないようにするには、オーナーさんの介入が絶対に必要です。

 

・合わない相手とは、すぐに距離を取る

犬嫌いになる経験をさせないように、愛犬を守りましょう。

 

万が一でもケンカや怪我なんてさせられてしまったら、犬嫌いになって当然です。相性が悪そうな相手とは距離をとったり、避けることを最優先しましょう。

 

他にも、もし急に吠えられてびっくりしてしまったときなどには、大好きなオヤツを与えて、「嫌なことがあったけど美味しい物をもらえたし、まぁいいか!」と思ってもらえるように、フォローすることも大事です。

 

・合いそうな相手とは、ゆっくり時間を過ごす 

相性の悪くない犬となら、一緒に散歩をしたり、お出かけをしたり、キャンプをしたり、長く同じ時間を過ごすことも良いでしょう。

 

短時間では興奮してしまう相手でも、長時間一緒に過ごすことで、リラックスした時間をともに過ごせるようになることもあります。

 

すでに犬嫌いなら、無理をさせない道もある

フレンチブルドッグとダックス

Sinseeho/Shutterstock

 

愛犬を犬嫌いにさせないためには、犬との交流を良い経験として積み上げていくことが大切です。

 

他の犬と一緒にいる空間をストレスと感じなくて済むように、良い経験を積み上げて自信をつけていきましょう。

 

とはいえ、すでに現時点で愛犬が犬嫌いの場合は、少し話が違います。他の犬と良い交流をもたせようとしても「犬なんか絶対にイヤ!」と拒絶している愛犬に無理をさせたら、オーナーさんのことまで嫌いになってしまいます。

 

つなみに、犬が苦手だからと犬だらけのドッグランにぶち込むようなやり方は、慣らす練習どころか、ただのトラウマづくりにしかならないので、絶対にNG。よくなるどころか、悪化する場合のほうが圧倒的に多くなります。

 

すでに犬嫌いの犬になってしまっている場合は、無理して犬に慣らせようとするだけでなく、他の犬との接触を避けたり、距離を上手に取るという道もあります。

 

愛犬に犬の友達がいなくても、愛犬にはオーナーさんという家族がいます。絶対に犬と仲良く出来なければ、不幸な人生というわけではないのです。

 

家に犬を迎えたら、なるべく犬嫌いにならないように育てていきましょう。しかし、それでも好き嫌いが生まれるのは当たり前。

 

その犬の個性、家族の接し方、家庭環境、今までの経験など、たくさんの要素が積み重なって、今の愛犬が存在するのです。

 

愛犬の趣味趣向、好き嫌いのすべてをコントロールできるわけはありません。他の犬とどんなふうに接するかは、家族それぞれ、犬それぞれです。

 

「すべての犬とうまくやらなきゃ!」と身構えずに、愛犬とオーナーさん家族で一緒にストレスのない落とし所を探していきましょう。

 

こんなときは、専門科に相談

フレンチブルドッグ

Cristi Croitoru/Shutterstock

 

すでに愛犬が犬嫌いで、しかし、オーナーさんは他の犬とうまくやってほしいと願っている場合は、どうか一人で悩まずに、ドッグトレーナー、獣医師、トリマーなど、身近にいる専門家に相談をしてみましょう。

 

苦手なものを好きになるためのトレーニング方法はいろいろありますが、無理をすることで逆効果なってしまう可能性もあります。適切なトレーニングプランで、気長に忍耐強く付き合っていく必要があるのです。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。

 

そして、そのトレーナーが、家庭犬のトレーニングに関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

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