【オーナー共感】フレブルと出会えてよかったと感じたとき
いつも、いつだって隣にいたまあるい温もり。お腹が空いたらワンワン吠えてご飯を要求し、散歩ではどちらに進むかで少し揉めて、でも夜には一緒に丸くなって眠る。フレブルと暮らす日々は笑いが絶えないし、時々怒ったりもするけれど、結局仲直りして同じ毛布にくるまる。そんな代わり映えしない日々は、とても特別な日々なのだ。
さよならは本当にさよならなのかな。
いつかその日が来ると知っているけれど、なるべく見ないふりをして気づかない風を装って歩いてきたこの道。
一緒に歩むその道を彩る花々が時には棘の多いサボテンになったり、なんなら雷雲がやってきて予想外の大雨を降らすことだってあった。
それでもいつしか雲は去り、青く澄み渡った空に大きな虹や満点の星が輝く時もある。
そして何より、目まぐるしく移り変わるこんな景色を並んで見られたことに、その渦中に一緒に飛び込んだことに、手と肉球を取り合って支えあいながら歩いたことに、大きな感謝を。
ふと振り返ってみれば、スタート地点から随分と遠くまできたもんだ。
この歳月、喜んだり泣いたり悩んだり、何より笑ったりしながら、呼吸と歩調を合わせこんなに遠くまで歩いて来たんだぜ。
まず一番に、それを誇ろう。
二足歩行と四足歩行で道草をくいながら一緒に歩いてきた道は、いつか途絶える。
わかってはいたけれどそれはとても辛く、一瞬自分がどこに立っているのかさえも忘れそうになる。
一歩先は真っ暗なのかもと思うと足がすくむし、もうこの手をぐいぐい引っ張ってくれるまあるい背中がいないと思うと、つい立ち止まってしまうかもしれない。
けれども、そんな時にあの道草を思い出す。
あちらこちらに立ち寄ったあの道草には全部、意味があったのだと知ったよ。
その道草を「出会い」と呼ぶのかもしれないな。
君と立ち寄った道草の中で見つけた様々な欠片は今、ちゃんと形となってここにある。
そして気づくんだ、さよならは終わりではなく、次の扉を開ける鍵だということに。
出会いを呼び込む、出会い。
君を最初に見た日のことは忘れないよ。
他の子よりも細い体でツンと澄まして、別に見初めてくれなくたっていいんだぜみたいな顔をしていた。
思い返せばそれは策略だったのかもね。
そして見事、君の術中に堕ちたんだ。
そこからはもうそれはそれは君に夢中で、世界の中心に君がどしんと鎮座していたもんさ。
その時はね、まだ知らなかったんだよ。
この出会いが、更なる出会いを呼び込むことを。
君と暮らして月日が経つうちに、気づけば周囲には君が繋いだ縁と呼ぶ糸がたくさん絡まり合い、そのうちいくつかはちょっとやそっとじゃ切れない縄ぐらいの太さになったものもある。
その縁を紡ぎ、繋いで育て、確固たるものにして君は旅に出たんだね。
ちゃんと生きた証をこうして残してゆくんだなと、今更それに気づいてとめどなく涙が出たよ。
犬って不思議だよね。
君を家族に迎えたことで、知らないうちに世界が広がり知らなかった誰かと友達になる。
こんな世界があるなんて思いもよらなかったよ。
遠くの空の下で生きる、もしかしたら一生出会うことがなかったかもしれない誰かと、繋いで結んでほどけないようにするなんてさ。
小さな君との出会いは今、こうして大きな出会いとなり、君が旅立ってからも続くのだろう。
君の喪失を偲んでうっかり崩れ落ちそうになった時、君が張り巡らせたこの糸が網になり、ボクらを包み込むのかも。
ありがとうね、ずっとこうして支えてくれて。
拠り所って言葉の意味を今、実感しているんだ。
悲しみの量と喜びの量
誰かと暮らすことは簡単じゃない。それがヒトでも他の生き物でも。
情が湧くし、時にそれは想像を超える愛となってこの身に降りかかる。
愛の大きさと喪失の辛さは比例するから、たまに不安になるんだよ。
もし君に何かあったら耐えられないんじゃないかと。
けれど、こうも思うんだ。
君がもたらす悲しみの量よりも、与えてくれる喜びの量の方が間違いなく多いって。
ただそこにいるだけで、トコトコと歩いただけで、ご飯を食べるその顔を見るだけで、こんなにも満たされる。
もちろん、悲しいとか辛いとか苦しいとかもゼロじゃない。
でもゼロを100にするのもまた君なんだろう。
人生は損得じゃないけれど、やっぱり君と出会って良かった。
君がもたらした得は、徳だったんだな。
君と出会えずに過ごしていたかもしれない日々はもう想像すらできないし、この悲しみも喪失感も息苦しさも、いつかは思い出となって心の中にある特別な箱にそっと仕舞えるはず。
今はただ、その思い出の箱を手に取り、何度も撫でて眺めて、君がくれた喜びに想いを馳せていたいんだ。
ありがとうね。
何度言っても言い足りないけれど、大好きだよ。
この気持ちも真空パックにしてその箱に入れるから、どうかまた来世でも、巡り合おうね。
おわりに
大好きで大切な存在。
生き物と暮らす以上、いつかは別れの日が来るけれど、そんな時に感じる悲しみ以上の喜びや笑いをくれた存在。
喪失の最中にいると、なんでこんなに辛い別れを経験するのに迎えちゃったのかななんて思う日もあるかもしれない。
今喪失に直面している人も、思い出の箱に入れた人も、これから別れを経験するかもしれない人も、出会って良かったと思う日が来るんです。
何しろ彼らフレブルはほら、誰かと誰かを繋ぐ天才だから。
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