2020年5月9日3,179 View

ココロはいまだに成長中!ミドルシニア期の“新たなる挑戦”は財産になる! [特集:ミドルシニアLIFE]

年齢を重ねるとともに体力が衰えていく一方で、精神面は旅立つその日まで成長し続け、どんどんオーナーとの距離が縮まっていくということは以前にも書いたように思います。これはフレンチブルドッグに限らず人も含む多くの生き物に対して言えることだけれど、筆者は実際に相棒であるフレブルの成長をつい最近目の当たりにしたところです。我が相棒はミドルシニア真っ盛りの5歳のフレブル男子(大福)ですが、数日前まで同じく5歳のポメラニアン女子(メーさん)を預かることになり、突然5年に及ぶひとりっ子生活から異犬種とのふたりっ子ライフが始まりました。大福は5歳にして初めて同居犬がいる生活に挑戦せざるを得ない状況に…。そこで今回は、人一倍ならぬ犬一倍甘えん坊な大福が、この突然の「ふたりっ子ミッション」でどのように成長したのかをレポートするとともに、ミドルシニアと呼ばれる年齢になってからでも新たなチャレンジというものがどれほどフレブルの成長に有益なのかをお伝えしたいと思います。

フレンチブルドッグ,ミドルシニア

ワガママ女子が現れた!(ドラクエ風に)→たたかう→スルーする

今回預かることになったポメラニアンのメーさんは義母の愛犬で、実際のお預かり期間は丸ひと月と数日と結構長め。

 
 
 
 
 
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メーさんを迎えてのドタバタはこちらの記事に詳しく書いてあるのですが、同い年で顔見知りとはいえ大福とメーさんは年に数度だけ会ういとこのような関係。

 

喧嘩もしないかわりに絡みもしないという至ってドライな間柄で、しかもメーさんはジィジ&バァバの愛玩犬としてひたすら甘やかされて育ってきたために、まるで躾ができていない状態…。

 

我が家でも女王のごとく我が物顔で過ごしていたのですが、そんな彼女に対峙する大福の姿には驚いたり笑ってしまったりすることが多々ありました。

 
 
 
 
 
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まず、大福がメーさんの存在を受け入れ始めたのが我が家に来て4日目くらいだったでしょうか。

 

当初は「遊びに来たのかしら」程度の認識でひたすらスルーしていましたが、2日目、3日目と朝が来るたびに「…まだいるね」とやや困惑顔に。

 

新たな犬を迎えるオーナーのお約束として、ご飯、おやつ、散歩と全てを先住犬である大福ファーストにしていました。

 

そしてメーさんは一応大福に気を使いつつも、自分のご飯が終われば大福がまだ食べているフードボウルに顔を突っ込み、おやつの時は興奮しておすわり状態で待つ我が子の背中を踏み台にしてジャンプし横取りしようとする始末。

 
 
 
 
 
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その度に怒るでもなく切なげな瞳で私とメーさんを交互に見る大福に、「そういう時は怒らんかい!」と血の気多めの飼い主は愛ブヒに代わってメーさんを叱り飛ばす日々。

 

ええ、そうです、大福はボンヤリ男子なのです。おっとりといえば聞こえが良いけれど、ここまで来ると温厚と言うよりむしろボンヤリ…。

 

そして日にちが経つほどにますます我が家に慣れ女王ぶりを発揮しまくるメーさん。

 
 
 
 
 
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ということで叱ることも増えていくのですが、次第に私や夫がメーさんを怒っているとさり気なくメーさんと私たちの間に入って庇うような仕草を見せ始め、お散歩中にだって、他の犬に吠えられたメーさんを庇って前に立ちはだかるなど、こちらが戸惑うほどの男気をチラ見せするようになったのです。

 

ボンヤリ甘えた男子が見せたまさかの男気

 
 
 
 
 
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君の男気はママンのお腹の中に忘れてきたのかとさえ思っていたのに!

 

これが大福に感じた最初の成長でした。

 

譲れるものと譲れないもの。

メーさんを預かって最初の数日は「赤ちゃん返り」とも取れるような甘えん坊ぶりを連発していたものの、1週間程度で秘めていた男気をチラ見せするほどに成長した大福。

 

その後も大福ハウスに勝手に侵入しオモチャ箱の中からお気に召した品々を自分の寝床へとせっせと運ぶ(俗に言う強奪)メーさん。

 
 
 
 
 
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しかし大福は怒りもせず、ついにはメーさんが大福ハウス内のベッドで横たわる姿を目撃…。

 

さすがにこれには怒るだろうと少しハラハラしながら大福の様子を見守っていたのですが、その時、まさかの展開が…。

 

自分の寝床に入ろうとして狼藉者(メーさん)が勝手にマイベッドでぬくぬく寝ているのを見つけた彼は、しばらくその様子を眺めてから、大福には明らかに小さいメーさんのベッドへ向かい、みちみちにはみ出しながらその上で丸くなる始末。

 
 
 
 
 
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「アンタはそれでええんかいっ!」と全力で突っ込んだ飼い主の声が届いたのかは定かではありませんが、結構な部分まで譲れる子なんだなあという新たな発見もありました。

 

オモチャにマイハウス、さらにはマイベッドと、もう持っているほとんど全てのものをメーさんに明け渡した大福。

 

今まではひとりっ子で甘えん坊だからやはりワガママな部分も多々あるだろうと思っていた愛ブヒの、また違った一面を見つけた気がします。

 

しかし、そんな大福が最初から最後まで唯一メーさんに譲らなかったものがあり、それがとーちゃん&かーちゃんの膝の上でした。

 
 
 
 
 
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例えばくつろいでいる時に、メーさんが撫でてくれと言わんばかりにどちらかの膝に飛び乗った瞬間、今まで眠っていたはずの大福がスッと起き上がってまあるいお尻でメーさんを押し退けお膝をキープ。

 

じゃあ空いてる方の膝に行くわとメーさんが動けば、再びその動きを封じるかのごとく椅子取りゲーム並の素早さでお膝にどっかり。

 

そうです、「物」は快く譲ってあげた大福が頑として譲らなかった唯一のものは、「自分のオーナーからの愛情」でした。

 
 
 
 
 
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「それだけは譲ってあげない」とばかりにメーさんの行く手を阻むその姿はなんとも可笑しいと同時に愛おしく、メーさんには気の毒だけれど、飼い主冥利に尽きる行動でした。

 

流石にこんな攻防を毎夜繰り広げていたので、ワガママ女王のメーさんも膝の上だけは自分のものにはならないと諦めたようです。

 

体格差を理解している可能性。

フレンチブルドッグや大型犬のお友達と会うと、いわゆるブヒレスや相撲を取っているかのようなスタイルで遊ぶことが大好きな大福。

 

14kgとブヒの中でも大きめな分パワーも並々ならぬものがあります。一方でメーさんはポメラニアンの中でも小さく体重は4kg足らず。

 
 
 
 
 
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見るからに凸凹コンビなふたりですが、テンションが上がって大福の背中に飛び乗ったり踏み台にするメーさんに吠えたり手を出すことは一度もなく、お膝争奪戦の時もお尻を使って横から押し出しいう手法を取った彼。

 

これは飼い主の親バカ思考なのかもしれませんが、ちゃんと相手との体格やパワーの差を理解して接しているように思えて仕方がありませんでした。

 

「踏んづけたら怪我させちゃう~」そんな感じで色々と力をセーブしているようにも見え、人間が考える以上に繊細な気遣いを犬同士の間ではしていたのかも知れません。

 
 
 
 
 
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また、“人のふり見て我がふり直せ”ではないけれど、メーさんが怒られている内容を聞いていたのか、もしくは自ら手本を見せねばと頑張ったのか、大福自身が怒られることをする回数が格段に減った気がします。

 

これには、お互い競っているわけではないだろうけれど、やはりライバルと言える存在が身近にいることで、伸びる部分もあるのだなとつくづく感じ入ったのです。

 

さらば、のその後。

平凡に暮らしていた大福一家に嵐を巻き起こしたメーさんはようやく自分の城へと帰って行き、我が家にも再び平穏が訪れました。

 

実に30数日以上ふたりっ子だったため、大福はもしかしたら寂しがるかも知れないなあとぼんやり思っていましたが、実際はメーさんを送り届ける車を見送った直後から爆睡。

 

さよならの日はご飯とお散歩以外はひたすら寝続けていた様子を見るにつけ、「大福はめっちゃ無理してたんとちゃうんかしら」と…。

 
 
 
 
 
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普段、朝と夕方のお散歩の間はゆっくり昼寝したりオモチャを気ままに齧っている大福にとって、止まったら死ぬんかと疑ってしまうほどに常時ガサガサと動き回るメーさんとの暮らしはかなり疲弊したはず。

 

その後も特にメーさんを探す様子もなく、男気を見せて庇ったりしていた割にはクールな態度で静かな日常を満喫しているようです。

 

また、疲れたのは大福だけでなく私たちオーナーも同じでした。異犬種でこんなにも違うのかと時々白目になりながら過ごした日々。

 
 
 
 
 
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しかし、もし兄弟や姉妹となる犬を迎え入れたら我が子はどんな対応をするのだろうという疑問や、今までは気づかなかった相棒の心の広さや優しさなど、他犬を預かったことで垣間見えたことは本当にたくさんあり、結果としては飼い主にも相棒にも良い経験になったことは間違いありません。

 

もしこういう機会がなければ、5歳から新たに何か挑戦して、その成長ぶりを見守れるなんて機会はそうそう訪れることもなかったでしょう。

 

おまけの話。

ところで話は少し逸れますが、他犬を預かったことで私が改めてその重要性を再認識し、それ以降頑張って取り組んでいることがひとつあります。

 

それはズバリ「歯磨き」。

 

メーさんは今まで歯磨きをしたことがなく、到着直後から口臭が気にはなっていました。

 
 
 
 
 
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これは確実に歯周病だなと確信してはいましたが、手入れをしようとすると本気で噛んでくるため歯磨きは断念。

 

そして悪い予感は的中し、お預かり中の約ひと月の間に、なんと歯が2本も抜け落ちたのです。

 

辛うじて犬歯はあるものの、上下の前歯が1本ずつ、掃除中に床に転がっているのを見つけました。

 

5歳…いくらミドルシニアといえどもまだ歯が抜ける年齢では到底ないはず。

 

歯が抜けたことで改めて口の中を観察してみると、ネットで調べたポメラニアンの歯並び画像と比較して明らかに少ない…。

 
 
 
 
 
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多分すでに数本は抜けてしまっていたのでしょう。

 

歯磨きをサボっているとどうなるのかを目の当たりにして震えました。ガクブルです。

 

フレブルオーナーさんは愛ブヒの歯磨きをしっかりされているかと思いますが、本当に歯磨きって大事、それを痛感した次第です。

フレンチブルドッグ,ミドルシニア

Peter Kniez/shutterstock

 

長いようで短かった…いや、やっぱ長かったメーさんがいたひと月ちょっと。

 

様々なシーンで愛ブヒの成長や思いがけない優しさを発見し、それは私にとっても相棒自身にとっても大きな財産となる経験でした。

 

今までは自分が唯一無二的に愛される存在だったところにライバルが現れ、きっとたくさんの我慢もしたはず。

 

メーさんが帰った後の大福はひとまわり大人になったように感じます。

 
 
 
 
 
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もしいつか憧れの多頭飼いをしたらどうなるんだろうというシミュレーションもでき、歯磨きやしつけの大事さをメーさんが身をもって教えてくれたため改めてケア全般を見直す機会にもなりました。

 

なかなかよそのワンコを長期間預かるという機会はなくとも、ミドルシニア年齢のフレブルと新たな挑戦をすることは誰にでも可能。

 

挑戦のたびに彼らのココロは成長し、年齢にかかわらず新たな何かを必ず吸収してくれます。

 

そしてこういった挑戦は、気持ちを若く保つためにも効果的。

 

ステイホームが叫ばれている昨今だけに、愛ブヒとお家でできる新たな何かへのチャレンジなんていかがでしょう。

 

 

文/横田愛子

 

 

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