2021年7月17日4,285 View

熱中症・やけどから愛ブヒを守る!「夏のお散歩」の注意点&もしものときの対処法【全フレブルオーナー必読!】

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、新人オーナーさんはもちろんベテランオーナーさんにも今一度しっかり頭に入れておいてほしい、愛ブヒを危険にさらさないための“夏場のお散歩”のやり方についてお伝えします。

 

 

フレンチブルドッグ,しつけ

熱中症に火傷…夏のお散歩は危険がいっぱい!

フレンチブルドッグ

Syda Productions/shutterstock

 

短頭種のブヒにとって、命がけとも言える夏場のお散歩。

 

愛するブヒを守るために、初心者ブヒオーナーさんもベテランブヒオーナーさんも、今一度しっかりと夏場のお散歩について学んでいきましょう! 

 

まず最初に、世間に広がっているやっかいな都市伝説について触れておきます。

 

「犬の足の裏は熱に強い」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これはもちろん真っ赤なウソ。

 

犬は言葉を話せないので「足が熱いよ!」って言えないだけ。

 

夏場のアスファルトは、まるで熱せられた熱々の鉄板状態。

 

裸足で歩けばやけどをして肉球がめくれてしまうことも(傷ついた肉球は二度と再生しません!)。

 

やけどで肉球がじわじわ痛み、舐め壊してしまったブヒだっています。さぞ痛かったことでしょうし、なんて悲しいことでしょう。

 

夏場の散歩は、外に出たらまずは必ず皆さんの『手の甲』を地面につけ、“5秒キープできる温度かどうか”を確かめてください。

 

甲が熱くない温度の時間であれば、愛ブヒとお散歩に行きましょう。

 

愛ブヒの体感温度は人間の「+5℃」と考えて

フレンチブルドッグ

Patryk Kosmider/shutterstock

 

ブヒたちのいる高さは地面に近く、人間よりずっと低い位置。そのため地面の照り返しや輻射熱をもろに浴びてしまいます。

 

このせいでブヒたちは人間の体感より5℃以上の暑さで過ごしているんです。

 

だから人が半袖になりたくなったならブヒたちにとっては猛暑だと思ってください。

 

また気温だけでなく、湿度に気を配ることも大切です。

 

暑くなるとブヒたちは、舌を出しハァハァして(パンティングをして)体温を下げますが、湿度が高いとどれだけハァハァしても熱が逃げず、身体に熱がこもってしまいます。

 

そのため、気温がそこまで高くない5月や6月でも熱中症が多発するのです。

 

気温がそこまで高くない日でも湿度が高ければ、くれぐれも熱中症には注意しましょう。

 

危険! 夏場はこんな場所には行かないで

フレンチブルドッグ

Jsnow my wolrd/shutterstock

 

普段は楽しいお散歩コースでも、夏場では避けるべき場所をいくつか紹介します。

 

・延々とアスファルト&ひなたの散歩道

・日陰のないドッグラン(涼むための逃げ場がない)

・お昼時のアスファルトや砂浜(足の火傷が多発します)

・丸一日の屋外でのドッグイベント(楽しいからとつい無理をして熱中症が増えます)

・車の中での留守番(絶対にダメ! ほんの3分でも命取りです

 

要するに、人間の3才児がダメなところはブヒもダメだと考えましょう。

 

そうはいっても、暑い場所でわざわざ愛ブヒを苦しめたいオーナーさんなんていませんよね。

 

では実際の事故はどんな場所で起きていると思いますか?

 

多いのがドッグイベントや、他の人と遊んでいるとき。つまり“うっかり”が多いのです。

 

オーナーさんの注意が散漫になり、愛ブヒへのケアが不十分になってしまうような状況が想定されるなら、事前に休憩時間を決めておくなど、愛ブヒと自分を守る準備をしておきましょう。

 

他のワンちゃんたちが元気に過ごしているからと言って、愛ブヒも同じという保証はありません。

 

気道の狭いブヒたちは、呼吸で体内の熱をコントロールすることが不得意です。パピーやシニアはさらに体温調節が不得意。

 

だから、他の犬種の100倍気をつけてあげたいですね。

 

熱中症はオーナーさんの心がけ次第でいくらでも避けることのできる、数少ない事故です! 

 

こうなったらすぐにお散歩は中断!「熱中症のサイン」とは

フレンチブルドッグ

praditkhorn somboonsa/shutterstock

 

熱中症の初期症状は気づき辛いのが問題です。人間でも「なんだか頭がくらくらする」なんて思っていたら、すでに熱中症が重篤化している場合も。

 

ブヒたちも見た目ではなかなか気づけません。だから熱中症は怖いのです。

 

その中でも、見るべき熱中症のサインを紹介します。

 

・口がネバネバして乾いている。または、よだれが大量に出ている

・内股を触るといつもより熱い

・目がうつろ

・パンティング(ハァハァ)が速い、激しい(大して動いていないのに遊んだときのような激しさ)

・背中の皮膚を指で摘んで、指を離しても皮膚が伸びたまま戻らなければ脱水状態(ブヒがそばにいたら今やってみてください。すっと戻るはずです)

 

いかがでしょう。なかなか判断が難しいのが実際のところです。

 

だから毎年、熱中症の犠牲になるブヒが少なくないのです。

 

見るべきポイントは、いつもの愛ブヒと違うかどうか。日頃の愛ブヒの状態を知っておくことが大切です。

 

もしおかしいなと思ったらすぐ家に帰りましょう。少々気にし過ぎなくらいでOKです。

 

なぜなら、体にこもった熱を下げるまでには時間がかかるから。

 

「多分大丈夫…」なんてそのまま散歩をしてさらに熱を身体に溜め込むより、一旦家で冷やし、またあとで散歩に行けばいいのです。

 

夏場の散歩は、小分けにして楽しむことも大切です。

 

熱中症の対処法と夏場のお散歩バッグに入れておくべきもの

フレンチブルドッグ

Andris Barbans/shutterstock

 

夏場のお散歩バッグには、以下のものを必ず入れておきましょう。

 

【熱中症を対処できる持ち物】

・ハンカチ

・水500ml以上

・うちわやハンディファン

・スマホ

・動物病院の連絡先

 

もし散歩中に熱中症かなと思ったら、すぐに日陰などの涼しい場所に移動します。

 

次にハンカチを一枚ブヒの体の上に乗せ、その上から水(常温でOK)をかけ、うちわで扇いでください。

 

道へ打ち水すると涼しくなるように、気化熱で体温を放出させることができます。

 

扇ぐと同時に動物病院に連絡をして、現在の状態を伝えながら獣医さんから指示を仰ぎましょう。

 

熱中症は緊急性が高く、1分1秒でも早く適切な対処をすることが大事です。

 

病院に直接向かうのではなくまず電話を一本入れることで、搬送中にやるべきことを教えてもらえます。また病院側でも搬送後の準備ができます。

 

病院が閉まっているなんて最悪なミスも防げます。

 

【こんな対処法は間違い!】

 

間違った対処として気をつけてほしいのが、氷水にブヒを浸けること。これは絶対にNGです。

 

血管が収縮して逆効果になることもあります(昔の本には、この間違った対処法が載っていることもあるので注意してください)。

 

また、意識がもうろうとしていたブヒが元気になったように見えても、大丈夫だとは思わないでください。

 

茹でた卵がもとに戻らないように、熱中症で受けたダメージは体に残っているかも知れません。悪化する前に必ず動物病院に行きましょう。

 

動物病院は大変なことになってから行くのではなく、「なんともないよ、大丈夫!」の安心をもらうために行くような気持ちで付き合ってください。

 

夏場のお散歩は小分けに安全に

フレンチブルドッグ

Borodin Alexey/shutterstock

 

夏場のお散歩は、愛ブヒにとっては命がけ。

 

とはいえお外で出会ういろいろな刺激は、日常生活を素敵に彩ってくれますよね。

 

短頭種の永遠のテーマでもある暑さとの付き合い方。

 

日々愛ブヒと相談しながら、快適にお散歩できるよう工夫していきましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 

SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

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