2020年5月1日6,737 View

フレブル専門誌『BUHI』編集長が、最愛の娘にしてきたこと。「いいあんばい」を探りながら15歳に。#18時雨

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。

今回はなんと、フレンチブルドッグ専門誌『BUHI』の編集長である小西秀司の愛ブヒ・時雨(しぐれ)ちゃんが登場します。

御年、15歳とは思えないほどの美魔女! その長寿の秘密を、編集長自ら考察してくれました。

時雨のプロフィール

French Bulldog

年齢&性別

15歳の女の子

体重

10kg

大好きなこと

以前は大変なボールジャンキーでしたが、いまはすやすや眠ることが至上。

既往歴

数々のアレルギー、椎間板ヘルニア、急性膵炎、てんかんなどを繰り返し、死にそうになったこともありますが、復活につぐ復活。

 

現在は皮膚トラブルが少々。

 

『BUHI』とともに生き抜いてきた15歳

French Bulldog

うちの時雨は15歳。今年の9月で16歳になります。

 

よくがんばって生きてくれたなあ、と素直に感じますが、フレンチブルドッグ専門誌『BUHI』とともに時間を過ごしてきたことを思うと、さらに感慨深いものがあります。

 

BUHIの最終ページに書いてある「いつも足元にいた愛ブヒ」が時雨です。

 

時雨がやってきたのは2004年で、BUHIの創刊号が2006年発行ですから、ほぼ“きょうだい”のようなものですね。

 

性格は15歳のいまでも…

French Bulldog

 

時雨の性格といえば、“気が強い”一択です。

 

それはパピーのころから変わっていません。

 

フレンチブルドッグとしてはよくある話かもしれませんが、人が好き、犬は嫌い。

 

現在でも若い犬が近づいてくると、ガッ!と一喝。

 

先手必勝、ビビらせてなんぼと考えているコワい女です。

 

「気やすく近づくんじゃないわよ、ぼうや」と。

 

まあ、でもそれで困ったことはあまりないので、よいのです。

 

ほかの犬に近づけなければいいことだし、実際に危害を加えたことは一度もないし。

 

パピー時代にドッグトレーナーとマンツーマンでひととおりのトレーニングを経たせいか、こちらの言うこともきちんと聞きます。

 

きちんと伝える、という姿勢が必要ですが。

 

そこでふと思ったのですが、長寿の秘訣というか秘密、これ、この性格もあるのかもしれません。

 

時雨は生まれつき胆嚢がなくて、消化器系がちょっと弱く、よく下痢をしていました。

 

ふつうお腹が痛いのならうずくまって耐えたりするものですが、彼女の場合、全力で走り回る。吠える。イライラする。

 

あげくの果てにぬいぐるみを咥えてぶんぶん振り回す。

 

薬を飲ませて少し落ち着いてきたときに「おいで」と呼んでも来ない。時雨なんて呼んでも来ない。

 

甘えさせてやろうと手をのばすと「やめれ」といった顔でこちらを見る。

 

French Bulldog

「そんなつもりはないの」 …まるで男を操る悪女のような態度です。まあ可愛いけどさ。

 

13歳のころでしょうか、MRI検査のために全身麻酔をして、目覚めたときも「負けたくない」オーラが時雨には漂っていました。

 

これか、この性格が時雨を生かしているのか、と。

 

ひとことで言えば“根性”がある。

 

でもこれってきっと時雨だけじゃなくて、ほかのフレンチブルドッグにも多いんじゃないかな。

 

なんといっても、フレンチブルドッグだもの。

 

手作り食を楽しんで

French Bulldog

 

食事についてはいろいろ悩んできました。

 

消化器系が弱いので、合わないフードは数知れず。

 

けっきょくは融通のきく手作り食がいちばん合っていたようです。

 

お肉はアレルギーのない鶏肉、豚肉、馬肉、鹿肉、ラム肉。たまにお魚。イワシのすり身など。

 

下記のお店『さかい企画』のお肉はとても質が高くて、使いやすいので利用していました。

 

ミンチなので、加熱してからつぶすだけ。

 

 

こちらの『健康一番』というオートミールも加え、オイルを少々、消化酵素をふりかけて完成。

 

ただ、現在はあまり手間のかからない『CoCo Gourmet(ココグルメ)』を利用しています。

 

これは手作り食がそのまま冷凍されていて、ミンチ状になっているのでとても使い勝手がよいです。

 

お肉は鶏と豚。ビタミンAと鉄分が豊富なレバー入り。

 

野菜はかぼちゃやにんじん、ブロッコリー、小松菜、さつまいもなどがマッシュされています。

 

さらに良い点は、時雨の体重なら1パッケージ=1食ぶん。なにも考えずにささっと用意できます。

 

手作り食って、実は作る側も楽しめるものなんです。

 

「おっ食べた食べた…しめしめ」みたいにね。

 

食べてくれるのがうれしい。

 

時雨の場合、とても食べムラがあったので、とにかく栄養バランスがよいもの前提で、“おいしい”ものをと考えていました。

 

「あんばい」の大切さと「過剰な状態」を避けるということ

French Bulldog

 

フレンチブルドッグは確かに病気がちな犬種ではあると思います。

 

それはこの15年間で身に染みていますが、染みつつも、予防策となるとやはり“あんばい”が大切だなと感じます。

 

たとえば、たんぱく質多めのもの。

 

うちでは“キシキシしている食べもの”と呼んでいますが、鶏のササミやモッツァレラチーズをたくさん食べると、時雨はお腹を壊します。

 

でも時雨はこれらのものが大好きなんですよね。

 

だから、量を抑えること。

 

この“あんばい”がだんだんわかってくるわけです。

 

もちろん食ばかりではありません。

 

お散歩だっていちばん良いパターンがだんだんわかってくる。

 

こちらの道を通って帰ると、オーバーワークになってしまう。そんなことが肌感覚でわかるようになるのですね。

 

運動もそうです。これ以上やると疲れ過ぎて具合を悪くしたり、下手をすると事故が起きるのでその手前で確実にやめる、ということ。

 

犬は加減を知りません。

 

これは時雨だろうが別のフレンチブルドッグだろうが、他の犬種だろうが同じことです。

 

飼い主がコントロールしてあげないといけない。“過剰な状態”はいちばん良くない気がします。

 

すべてにおいてやりすぎないこと。

 

過剰さを避けるだけでも、長寿に寄与するのではないでしょうか。

 

その子こそが「答え」

French Bulldog

 

犬と暮らしていると、考えることはたくさんあります。

 

健康診断も欠かせない、良いとされているものを与え、食にはこだわり、気分転換に散歩に連れ出し、相応の運動をさせ、じゅうぶんな休息をとらせて、いついかなる時も可愛がってあげる。

 

長生きしてほしいのは家族全員の願いだし、そこに向かって努力する。

 

ここでふと気づくわけですが、つまりぼくらは、逆に言えばそれくらいしかできない。

 

お金と手間をかけて最大限がんばっても、その程度しかできない。

 

つまりそれはある意味で“答え”だと思うのです。

 

もっと言えば、いま目の前にいるその子が答え、だということです。

 

どんなに病気がちで、明日をも知れぬ運命が待ちかまえているのだとしても、うちの子そのものが答えなのです。

 

であれば、病気などはただ生命に付随しているだけであって、それ以上ではない。

 

寿命というものでさえ、うちの子(=答え)の存在と比べたら、些細なことかもしれない。

 

答えというものは覆しようがない。

 

もしひっくり返るのだとしたら、前提の問い自体が間違っているのです。

 

だから、長寿はすばらしいことだけど、そうじゃない子も、すばらしいのです。

 

だってその子が答えなのだから。

 

そしてかけた愛情においては、なんら差はないのだから。

 

そう考えれば、楽しんでいっしょに暮らせる気がします。

 

死ぬまで楽しく過ごせばいい。

 

そして、この手触りとぬくもり、においを覚えておけばいい。

 

これだけは絶対に忘れないようにしよう。

 

そんなふうに思っています。

 

こんな気持ちを

French Bulldog

 

『BUHI』2020年春号で、ぼくはこんな言葉を綴りました。

 

ほんとうは、願いはひとつ。

きみが長生きで表彰されるよりも、

誰かに誉められるよりも。

姿かたちがなくなったとしても

そばにいてほしいだけ。

 

実はこれが偽らざる心情です。

 

こんな気持ちを抱きしめながら、残された日々をたのしく、ゆかいに過ごします。

 

みなさんもどうか、愛ブヒとすてきな生活を。

 

photo/SUMiCO

 

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