フレブル専門誌『BUHI』編集長が、最愛の娘にしてきたこと。「いいあんばい」を探りながら15歳に。#18時雨
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回はなんと、フレンチブルドッグ専門誌『BUHI』の編集長である小西秀司の愛ブヒ・時雨(しぐれ)ちゃんが登場します。
御年、15歳とは思えないほどの美魔女! その長寿の秘密を、編集長自ら考察してくれました。
時雨のプロフィール
年齢&性別
15歳の女の子
体重
10kg
大好きなこと
以前は大変なボールジャンキーでしたが、いまはすやすや眠ることが至上。
既往歴
数々のアレルギー、椎間板ヘルニア、急性膵炎、てんかんなどを繰り返し、死にそうになったこともありますが、復活につぐ復活。
現在は皮膚トラブルが少々。
『BUHI』とともに生き抜いてきた15歳
うちの時雨は15歳。今年の9月で16歳になります。
よくがんばって生きてくれたなあ、と素直に感じますが、フレンチブルドッグ専門誌『BUHI』とともに時間を過ごしてきたことを思うと、さらに感慨深いものがあります。
BUHIの最終ページに書いてある「いつも足元にいた愛ブヒ」が時雨です。
時雨がやってきたのは2004年で、BUHIの創刊号が2006年発行ですから、ほぼ“きょうだい”のようなものですね。
性格は15歳のいまでも…
時雨の性格といえば、“気が強い”一択です。
それはパピーのころから変わっていません。
フレンチブルドッグとしてはよくある話かもしれませんが、人が好き、犬は嫌い。
現在でも若い犬が近づいてくると、ガッ!と一喝。
先手必勝、ビビらせてなんぼと考えているコワい女です。
「気やすく近づくんじゃないわよ、ぼうや」と。
まあ、でもそれで困ったことはあまりないので、よいのです。
ほかの犬に近づけなければいいことだし、実際に危害を加えたことは一度もないし。
パピー時代にドッグトレーナーとマンツーマンでひととおりのトレーニングを経たせいか、こちらの言うこともきちんと聞きます。
きちんと伝える、という姿勢が必要ですが。
そこでふと思ったのですが、長寿の秘訣というか秘密、これ、この性格もあるのかもしれません。
時雨は生まれつき胆嚢がなくて、消化器系がちょっと弱く、よく下痢をしていました。
ふつうお腹が痛いのならうずくまって耐えたりするものですが、彼女の場合、全力で走り回る。吠える。イライラする。
あげくの果てにぬいぐるみを咥えてぶんぶん振り回す。
薬を飲ませて少し落ち着いてきたときに「おいで」と呼んでも来ない。時雨なんて呼んでも来ない。
甘えさせてやろうと手をのばすと「やめれ」といった顔でこちらを見る。
13歳のころでしょうか、MRI検査のために全身麻酔をして、目覚めたときも「負けたくない」オーラが時雨には漂っていました。
これか、この性格が時雨を生かしているのか、と。
ひとことで言えば“根性”がある。
でもこれってきっと時雨だけじゃなくて、ほかのフレンチブルドッグにも多いんじゃないかな。
なんといっても、フレンチブルドッグだもの。
手作り食を楽しんで
食事についてはいろいろ悩んできました。
消化器系が弱いので、合わないフードは数知れず。
けっきょくは融通のきく手作り食がいちばん合っていたようです。
お肉はアレルギーのない鶏肉、豚肉、馬肉、鹿肉、ラム肉。たまにお魚。イワシのすり身など。
下記のお店『さかい企画』のお肉はとても質が高くて、使いやすいので利用していました。
ミンチなので、加熱してからつぶすだけ。
低脂肪・低カロリー・高タンパクの北海道の野生の鹿。
こちらの『健康一番』というオートミールも加え、オイルを少々、消化酵素をふりかけて完成。
ただ、現在はあまり手間のかからない『CoCo Gourmet(ココグルメ)』を利用しています。
これは手作り食がそのまま冷凍されていて、ミンチ状になっているのでとても使い勝手がよいです。
お肉は鶏と豚。ビタミンAと鉄分が豊富なレバー入り。
野菜はかぼちゃやにんじん、ブロッコリー、小松菜、さつまいもなどがマッシュされています。
さらに良い点は、時雨の体重なら1パッケージ=1食ぶん。なにも考えずにささっと用意できます。
動物栄養学を専門とする獣医師が監修。
手作り食って、実は作る側も楽しめるものなんです。
「おっ食べた食べた…しめしめ」みたいにね。
食べてくれるのがうれしい。
時雨の場合、とても食べムラがあったので、とにかく栄養バランスがよいもの前提で、“おいしい”ものをと考えていました。
「あんばい」の大切さと「過剰な状態」を避けるということ
フレンチブルドッグは確かに病気がちな犬種ではあると思います。
それはこの15年間で身に染みていますが、染みつつも、予防策となるとやはり“あんばい”が大切だなと感じます。
たとえば、たんぱく質多めのもの。
うちでは“キシキシしている食べもの”と呼んでいますが、鶏のササミやモッツァレラチーズをたくさん食べると、時雨はお腹を壊します。
でも時雨はこれらのものが大好きなんですよね。
だから、量を抑えること。
この“あんばい”がだんだんわかってくるわけです。
もちろん食ばかりではありません。
お散歩だっていちばん良いパターンがだんだんわかってくる。
こちらの道を通って帰ると、オーバーワークになってしまう。そんなことが肌感覚でわかるようになるのですね。
運動もそうです。これ以上やると疲れ過ぎて具合を悪くしたり、下手をすると事故が起きるのでその手前で確実にやめる、ということ。
犬は加減を知りません。
これは時雨だろうが別のフレンチブルドッグだろうが、他の犬種だろうが同じことです。
飼い主がコントロールしてあげないといけない。“過剰な状態”はいちばん良くない気がします。
すべてにおいてやりすぎないこと。
過剰さを避けるだけでも、長寿に寄与するのではないでしょうか。
その子こそが「答え」
犬と暮らしていると、考えることはたくさんあります。
健康診断も欠かせない、良いとされているものを与え、食にはこだわり、気分転換に散歩に連れ出し、相応の運動をさせ、じゅうぶんな休息をとらせて、いついかなる時も可愛がってあげる。
長生きしてほしいのは家族全員の願いだし、そこに向かって努力する。
ここでふと気づくわけですが、つまりぼくらは、逆に言えばそれくらいしかできない。
お金と手間をかけて最大限がんばっても、その程度しかできない。
つまりそれはある意味で“答え”だと思うのです。
もっと言えば、いま目の前にいるその子が答え、だということです。
どんなに病気がちで、明日をも知れぬ運命が待ちかまえているのだとしても、うちの子そのものが答えなのです。
であれば、病気などはただ生命に付随しているだけであって、それ以上ではない。
寿命というものでさえ、うちの子(=答え)の存在と比べたら、些細なことかもしれない。
答えというものは覆しようがない。
もしひっくり返るのだとしたら、前提の問い自体が間違っているのです。
だから、長寿はすばらしいことだけど、そうじゃない子も、すばらしいのです。
だってその子が答えなのだから。
そしてかけた愛情においては、なんら差はないのだから。
そう考えれば、楽しんでいっしょに暮らせる気がします。
死ぬまで楽しく過ごせばいい。
そして、この手触りとぬくもり、においを覚えておけばいい。
これだけは絶対に忘れないようにしよう。
そんなふうに思っています。
こんな気持ちを
『BUHI』2020年春号で、ぼくはこんな言葉を綴りました。
ほんとうは、願いはひとつ。
きみが長生きで表彰されるよりも、
誰かに誉められるよりも。
姿かたちがなくなったとしても
そばにいてほしいだけ。
実はこれが偽らざる心情です。
こんな気持ちを抱きしめながら、残された日々をたのしく、ゆかいに過ごします。
みなさんもどうか、愛ブヒとすてきな生活を。
photo/SUMiCO
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