2023年10月1日1,490 View

犬の性格は生まれつき?どんな気質なら「いい子」なの?【後編】

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、子犬の性格の見分け方についての後編。果たしておとなしい犬が「いい子」なのか。一緒に考えてみましょう!

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甘い誘惑に騙されない!

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Joanna Guz/shutterstock

 

子犬を選ぶときには、どんな子を迎えようかと楽しい未来にワクワクしつつも、「ちゃんと仲良くなれるかな?」、「吠えまくったりしないかな…」など、心配になる気持ちもあるのは当然です。

 

そんなときに、口先だけの甘い誘惑には騙されないようにしましょう。

 

たとえば子犬を売りたい人の中には、「おとなしい子ですよ〜」とか、「散歩はいりません」なんて、今月の売上のためだけの営業トークを繰り広げる人もいます。

 

「抱っこ商法」とはよく言ったものですが、フワフワで可愛い子犬を抱っこさえさえてしまえば、フォーリンラブしてお買い上げ…なんて流れが簡単にできます。

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Irina007/shutterstock

 

そもそもその子犬が、本当に「おとなしい性格」かどうかなんて、誰にもわかりません。

子犬の性格については前編をご覧ください。

 

もしおとなしいように見えても、それはおとなしい性格なのではなく、ただただ子犬が疲れているだけかもしれません。

 

母犬から離された不慣れな環境で、色んな人に触られまくったら、疲れて当然です。そもそも、体調に問題があるのかも。

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Monkey Business Images/Shutterstock

 

お金目当ての人の甘い誘惑に騙されないのは、犬選びに限らず、すべての商売で騙されないための秘訣ですよね。

 

「初心者でも乗りやすいですよ〜」なんて言われて、大型トラックを買っちゃう人にはならないようにしましょう。

 

おとなしい犬がいい子なの?

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panco971/Shutterstock

 

ちょっと蛇足になりますが、そもそも子犬の性格で「おとなしい=いい子」のように言われることが多いような気がしますが、それってどうなのでしょうか? 

 

苦しいときも、嫌なときでも、ただおとなしく従う犬と暮らすのは、「楽」かもしれませんが、「幸せ」なのでしょうか? 

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Tienuskin/shutterstock

 

本当の落ち着いた犬とは、“一緒に暮らす中で、人間社会でどう振る舞えば、お互いが快適に過ごせるのかを理解し「おとなしくすべき場面で、落ち着いていられる犬」” なのであって、ただただ喜怒哀楽が出せない、体力がない、体調の悪い、活発じゃない犬を指し示す言葉ではないはずです。

 

そんな落ち着いた犬になるためには、日頃のオーナーさんの接し方やトレーニングが積み重なってこそ。

 

そしてそのような落ち着いた犬になるためには、日頃のオーナーさんの接し方や、トレーニングが積み重なってこそ。人間社会のルールが分からない子犬に、長い時間かけて、繰り返し学んでいってもらってこそ、その家族に合う子犬に育つのです。

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Tienuskin/shutterstock

 

更に蛇足ですが、どんなにおとなしそうに見える、落ち着いた犬でも、公園やドッグランや家の中で、ハチャメチャに大はしゃぎする場面はあるはずです。

 

ずーーーっと静かなだけの犬なんていません。

 

ましてや、もっとおとなしくなって欲しいなんて願いは、シニアになったら自然に叶います(そしてそのときには、お願いだからもっと元気でいてと思ってしまうわけですが…)から、どうか今の愛犬の大ハッスルを楽しんでください。

 

海外で行われている、子犬の気質テスト

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Tienuskin/Shutterstock

 

子犬の性格を知るための「犬の気質テスト」の話をさせてください。

 

私はニュージーランドや、スウェーデンなど諸外国で「犬の気質テスト」を見てきました。しかしこれは、どの子犬を迎えるかを検討するためのテストではありませんでした。

 

テストの目的は、「すでに一緒に暮らしている自分の犬が、どのような気質の犬なのか(大きな音に対してどれくらい驚くのか、見たことのない物にガンガン近づくのか避けるのか…など)を知ることで、よりお互いが快適に暮らすためのヒントにするようなテスト」だったのです。

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Welshea/shutterstock

 

すでにオーナーさんと一緒に暮らして数ヶ月経った子犬に行うので、どの子犬を迎えるかの選抜には使えません。こういうテストも、いいなって思いませんか? 

 

そしてそのテストでは必ず、「テストの結果は、犬の優劣を決めるものではない。ただ、その傾向があるということを知るための情報である」という説明がくわえられます。

 

大きな音にびっくりするから悪い犬だとか、見知らぬ人にほいほい近づくから良い犬だとかをジャッジするものではないと念を押されるのです。

 

どんな犬が良いという定義はありません。みんな違って、みんな良いのですから。

 

テストは、ただただ「この犬はそういう傾向があるんだな、じゃあ、日々こういったことに気をつけてあげたら暮らしやすいかな」という暮らしに役立つ情報にするためのものなのです。

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Viorel Sima/shutterstock

 

会社とかでもよくある、自己分析テストのようなものでしょうか。

 

命の選抜に使うようなテストではなく、こういうお互いが幸せになるために役立つテストって、良いなって思いませんか? 

 

思っていたのと違うから面白い

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Natalie Shuttleworth/shutterstock

 

子犬を迎えて多くの人が、「思っていたのと違う」と口にします。

 

結婚だって、子育てだって、きっと同じようなものでしょう。

相手は自分ではない、別の個体です。なかなか理想通りにはいきません。

 

だからこそ、予想外のことが起きたり、新たな楽しみに気づけたりするわけです。

 

100%自分の思い通りに暮らしたい人が、人間だろうが、犬だろうが、家族として家に入れてしまったら、そりゃもうストレスの日々でしょう。

 

こんなときは、専門家に相談

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Happy Moments/shutterstock

 

犬という新しい家族が増えるときには、新しい楽しみも、苦労も、みーんなひっくるめて笑っちゃえるような余裕が必要です。

 

どうか、時間、お金、ココロ、環境に余裕がある状態で犬を迎えるようにしましょう。

 

また、どんな犬を迎えたら良いのか迷うときには、ドッグトレーナーなど専門家に相談をしてみましょう。

 

ドッグトレーナーは、問題行動に対処するだけでなく、どんなワンちゃんを迎えるのかの相談にも乗っています。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合は複数人と面談するようにしましょう。

 

そしてそのトレーナーが、家庭犬に関しての知識と豊富な経験を持っているか。

学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をしてくださいね。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

 

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

 

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