ポイントはこれ!フレブルのクレートトレーニングの方法【前編】
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、クレートトレーニングについて。トレーニングのゴールやステップについて、ひとつひとつ学んでいきましょう!
クレートは必要?

Robyn-May/shutterstock
みなさんのおうちにクレート(ハウス)はありますか?
クレートとは、愛犬を中に入れて持ち運び出来る箱のこと。
1頭につき1つ以上は必要だと言われています。
前回までのコラムでは、クレートがなぜ必要なのか、どんな場面で役立つのかをご紹介しました。
また、クレートがなぜ必要なのか、どんな場面で役立つのかについても別記事でお話ししています。
クレートの必要性もわかった!
愛犬に合うクレートも用意できた!
ということで、次にやることは「クレートトレーニング」です。
このコラムでトレーニングの進め方を知り、愛犬と楽しく練習をしていきましょう!
クレートトレーニングのゴールとは?

Natalie Shuttleworth/shutterstock
まず、クレートトレーニングのゴールを考えてみましょう。
クレートトレーニングに限りませんが、犬の訓練競技会に出るわけでもなければ、他人からゴールを決められることなんてありません。
すべて自由です。
そのお家ごとに、生活に必要な範囲をゴールに決めるわけです。

Bussakorn Ewesakul/Shutterstock
例えば、「実家まで新幹線移動だから、2時間はクレートに入ってほしい」とか、「宅急便屋さんが来たときだけ入ってくれればいいから、5分で十分よ」、「水害が多くて避難生活も想定される地域だから、家族以外の人ともクレート待機が出来るようにしたいな」など、各家庭でゴールは異なるでしょう。
とはいえ、目標が漠然としていると練習しづらいですから、このコラムでは勝手にゴール設定を「どんな場所でも、ブヒが自分でクレートに入り、その中で1時間以上リラックスして過ごせる」にしてみました。
クレートトレーニングのステップ

Mikhail Varushichev/shutterstock
クレートトレーニングの前に、知っておいてほしいポイントは以下の通り。
<トレーニングのポイント>
・ご褒美を忘れない、ケチらない。「声でほめれば、食べ物無しでOK」なんて考えると失敗します。
・ご褒美を忘れない、ケチらない。「声で褒めれば食べものは不要」という考えでは失敗する。
・出来るようになるまで、半年以上かかっても良いという気長さでいること。 ・できるようになるまでの期間は半年以上〜という心構えでいること。
・1回の練習は10分以内で切り上げる(ステップ6を除く)。その日のご褒美が終われば練習終了。
・1回の練習は10分以内で切り上げる(ステップ6を除く)。その日のご褒美が終わったら練習は終了。
・うまくいったら次のステップに進み、1度でも失敗したなら前のステップに戻る。無理に進めるのはダメ、絶対。 ・成功したら次のステップに進み、1度でも失敗したら前のステップに戻る。無理に進めないこと。
・しからない、おこらない、あせらない、イライラしない。笑顔で、お互いが楽しくやれる心と時間の余裕があるときにやりましょう。
これらのポイントを踏まえたうえで、クレートトレーニングを進めていきます。
1ステップにつき数日〜数週間以上かかっても大丈夫です。

Christopher A. Salerno/shutterstock
<クレートトレーニングのステップ>
準備:ご褒美を用意する。
1食分のドッグフード、大好きなおやつ(愛犬の爪ほどの大きさにしたもの)や手作りごはんなど。
日常の食事や適量のおやつをトレーニング用に使います。
普段のごはんを食べた上で、さらにトレーニング用に別でご褒美をあげてしまうと、肥満まっしぐら。
そもそも、毎日お皿でご飯をあげるなんてもったいない! 普段の食事をご褒美として使うことで、脳トレにもなり、練習もできて、最高です。

Amornpant Kookaki/shutterstock
ステップ1:クレートに近づく
クレートの周囲や入口付近、上部にご褒美をまく。そのすべてを愛犬が食べられたら次のステップへ。
※手作り食でベチョベチョになってしまうなら、6皿以上の小皿に分けて、クレート周囲に分散して置くと良い。以下のステップも同様に、小皿を使ってOK。
クレートの内部にご褒美を入れるのはステップ2から。
ステップ2:クレートに上半身を入れられるようになる
扉を開けた状態(扉を外しておけると更に良い)のクレート内の床部分に、ご褒美を20粒以上ばらまいて入れておく。
決して扉は閉めずに、自分からクレートに入るのを見守る。
開始数日は、前のめりで頭だけを入れる状態が続きますが、はじめはみんなそんな感じ。安心して続けましょう。
クレート内のご褒美を食べ切れるようになれたら次のステップ。
おそらく数日は頭だけを入れる状態が続きますが、初めはみんな同じです。安心して続けましょう。
クレート内のご褒美を食べ切れるようになったら次のステップへ。

gyuchan/shutterstock
ステップ3:クレートに全身を入れる
クレート内にご褒美を入れ、上半身がスムーズに中に入れるようになったら、愛ブヒが上半身を入れたままの状態のクレートの中に、追加でご褒美を20粒以上入れる。
クレートの横の隙間などから、ご褒美をバラバラと落とし入れるイメージ。
後ろ足まで入れるようになったら次のステップへ。
ステップ4:クレート内に5秒以上いる
全身がクレートに入ったら、入り口やクレートの横の隙間などからどんどんご褒美を追加していく。ご褒美追加のペースは、1秒毎に3粒以上のハイペース。慣れてきたら3秒に1粒以上のスローペースで。
扉は開けたままでも、5秒以上〜中にいられるようになったら次のステップへ。

Carla Isabel A Nascimento/shutterstock
ステップ5:扉を開け閉めしても中にいる
ここで初めて扉を使います。ご褒美をクレートに入れて、クレートに愛ブヒが入ったら、扉を閉めてすぐ開ける(1秒)。
ご褒美を追加しながら扉の開け締めを繰り返す。扉の開け閉めを気にせず、食べ続けていられたら次のステップへ。
ステップ6:扉の閉まったクレートに居続けられる時間を伸ばしていく
愛犬がクレートにいる状態で扉を締め、横からまた追加でご褒美を足しながら、中にいる時間をのばしていく。はじめは数秒から。いずれは1時間ほどまで伸ばす。
愛ブヒがクレート内にいる状態で扉を締めたまま、クレートの横から追加でポロポロとご褒美を足しながら、中にいられる時間を伸ばしていく。
はじめは数秒から。いずれは1時間。
扉を閉めた状態で、1分を超えられるようになってきたら、コングなど知育トイにご褒美を入れたものを中に入れる。
知育トイは5個以上用意しておき、クレート内に3個以上入れる。3個をやりきってもまだ元気そうなら、さらに数個の知育トイを追加する。
知育トイで遊び、お腹も満たされ、頭も疲れて、なんとなくクレート内でまったり過ごせる…という様子が理想。リラックスして寝ちゃえたら最高。
このステップ6の練習は数ヶ月の期間は覚悟しましょう。年単位かもしれません。
クレートトレーニングと別で、日常的にひとり遊びのツールとして「知育トイ」を使って遊ぶ機会を作りましょう。
知育トイはドライフードだけでなく、ペースト状のもの(好きなものならなんでもOK。さつまいもやウェットフードなど)を入れるなどして、食べるのに時間がかかるように工夫を。

pritsana/shutterstock
※クレート内からオーナーさんが見えていると、興奮してしまったり、ご褒美を要求して騒いでしまう子もいます。
その場合は、目隠しでクレートを覆う布をかけると落ち着く場合も。布をクレート内に引き込んでの誤飲には注意!
ステップ6以降は、
・どんどん時間を伸ばす
・クレートに入る状況を変える(自宅以外のカフェや公園、車の中など)
・家族以外の人とも練習する
など、アレンジしながら、家族が望む状況でのトレーニングを繰り返し練習します。
ここまでくれば、目標の「どんな場所でも愛犬が自分でクレートに入り、1時間以上リラックスして過ごせる」はクリアできるはずです。
トレーニング成功の鍵は、後編へ

Tienuskin/shutterstock
さあ、ここまでトレーニングの進め方をご紹介してきました。
しかしこのステップは、あくまで基本のやり方です。
愛ブヒによって、オーナーさんによって、細かいやり方は違ってきて当然です。
もし、もっと良いと思われるアレンジがあればぜひ実践してみてください。
また、壁にぶつかるステップも家族によって変わります。
ご家族によって、どのトレーニングのステップで壁にぶつかるかも異なります。
このコラムの冒頭で掲げた「どんな場所でも、ブヒが自分でクレートに入り、その中で1時間以上リラックスして過ごせる」目標をクリアするためにも、もう少しクレートトレーニングのコツやポイントをご紹介させてください。
続きは後編に続きます。お楽しみに!
自己紹介
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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