【取材】小さな変化も見逃さない。愛情あふれる眼差しに見守られて15歳に。#27ジーナ
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回は、体重5.4kg! 体重も顔つきもまるでパピーみたいな美魔女、ジーナちゃんが登場です。たくさんの病気を乗り越え、15歳になったいまも元気いっぱいな秘訣は、毎日のあるルーティンにありました。
ジーナちゃんプロフィール
年齢&性別
15歳の女の子
体重
5.4kg
大好きなこと
食べること、寝ること
既往歴
・仔犬の頃から皮膚炎を繰り返していたが、ここ数年は発症せず。
・9歳でお尻に腫瘍ができ、摘出手術。病理検査結果は良性で、診断は毛包母斑(母斑⋯皮膚の奇形やアザのこと)。
・10歳で歯茎に腫瘍ができ、歯茎を削る手術。病理検査結果は良性で、診断は線維性エプーリス(歯肉にできる腫瘤、しこり)。
・10歳で卵巣腫瘍摘出手術。病理検査結果は良性。
・13歳でてんかん発作が起き、抗てんかん薬を服用。MRIに踏み切れず、原因は不明。
現在まで薬は続けており、この時以降発作は起きていない。
・14歳で乳腺腫瘍の摘出手術。病理検査結果は良性。
・14歳で急性膵炎になり入院。その後慢性膵炎に移行してしまう。現在も消化酵素服用中。
・14歳で内耳炎と特発性前庭疾患にかかるが、投薬で完治。
マイペースで人が好き
今はとっても穏やかだけど、若い頃は気が強い面もあったジーナちゃん。
変わらないのはとにかく食欲旺盛でマイペース、そして犬よりも人が好きなところ。
そんなジーナちゃんとの15年について、オーナーさんに伺いました。
「マイペースで手の掛からない子でしたね。
ジーナを家に迎えた時、我が家にはもう一頭、パグの“こたろう”がいたんですが、こたろうは留守番をさせると暴れて何かを壊したりすることもありました。
でもジーナは一つの部屋でじっとお利口に待っている、そんな子でした。
ただ気の強い面もあって、2頭はとても仲が良かったのですが、散歩中にこたろうがゆっくりオシッコをしていると、ジーナは早く行きたくて、イライラと貧乏ゆすりしてましたね(笑)。
こたろうは残念ながらジーナが来た翌年に事故で亡くなってしまったのですが、マイペースで何事もあまり気にしないジーナも、そのときはすごく落ち込んでいました」
犬より人が好きだったジーナちゃんも、家族になったこたろうくんには、きっと深い愛情を感じていたんですね。
その後、オーナーさんが息子さんを授かると、ジーナちゃんはまた違った反応を見せます。
「自分だけに注がれていた愛情を奪われたと感じたのか、最初はすごくストレスを感じていたみたいです。
気を引くために、ウンチを撒き散らしたこともあったんですよ(笑)。
私も息子のことで手一杯になっていたので、中々構ってあげられなくて。
15年間でこの時だけですが、“あっちに行ってて!”と大きな声を出したこともありました。今となっては後悔しています」
そんな大変な時期も数カ月で終わり、その後は息子さんに寄り添うように仲良く暮らしてきたジーナちゃん。
たった数カ月で、家族、そして守るべき相手として受け入れるなんて、人間よりお利口かもしれませんね。
何でも食べたい!
とっても食欲旺盛なジーナちゃん。本当に何でも食べたがり、なんと薬すら拒んだことがないそうです。
どんなものをモリモリ食べて育ってきたのでしょうか。
「仔犬の頃、数カ月はドライフードをあげていたんですが、色んなところに蕁麻疹が出たので、その後はずっと手作り食をあげてきました。
膵炎になってからは、『ロイヤルカナン 消化器サポート』のウェットをあげていますが、長年の習慣で(笑)、手作り食も足しています」
手作り食は、ササミや魚、白米、野菜、キノコなどを茹でて混ぜた離乳食のようなもので、週1回、1週間分を作って冷凍保存されています。
そこに、納豆と手作りヨーグルトも加わるのですが、膵炎になってからは、ヨーグルトは低脂肪乳で作られているそうです。
それから、塩分や添加物にも気を付けられています。
「ナトリウムとクロールが不足したときは、お医者さんのアドバイスで、ご飯に少し塩分を加えたりもしていました。
また、添加物が入っているものはできるだけあげないようにしています。
家に来るお客さんが犬用のおやつをくれることもあるんですが、成分表示はしっかり確認します(笑)。
おやつには、大好きなフルーツや、オカラ・カツオブシ・卵を入れて焼いたクッキーのようなものを作ってあげたりもしていました」
お医者さんからのアドバイスがあるのは心強いですね。
仔犬の頃から診てもらっている、信頼のおける個人病院だそうです。
『オメガサンシャイン』や『アンチノール』といった、関節に良い脂肪酸サプリもここで購入されているとのこと。
手作りのご飯やおやつに、医療的なアプローチもプラスして、ジーナちゃんの健康な体が作られてきたんですね。
こんなことに気を付けてきました
食事以外では、どんなことに気を付けてこられたのでしょう。
「とにかくストレスが少なくなるよう心がけてきました。
できるだけ留守番の時間は短めにして、どうしても長く留守にするときは実家に預けたり。
実家には、預かってもらうとき以外にも連れて行って、よく懐いていたので、実家に預けてもストレスは感じていない様子でした」
もしものときのためにも、安心できる預け先があるのはとても良いことだと思います。
「それから、過保護にならないようにも気を付けていました。
例えば散歩なら、足が弱ってからも、時間は長く掛けますが同じコースを回る、という感じです。
あとは、よく観察して小さな変化に気付けるようにもしていました」
既往歴のとおり、多くの病気を乗り越えてきたジーナちゃんですが、幸い、どの病気も大事には至りませんでした。
恵まれた体や病院の対応など、理由はたくさんあると思いますが、やはり日頃の観察が早期発見・早期治療に繋がったことが大きかったのではないでしょうか。
徘徊や膵炎などの病気で闘う今の暮らしも、普通の積み重ね
健康で長生きのジーナちゃん。とはいえ、足腰の衰えや徘徊、膀胱炎に膵炎など、現在はお世話が大変なことも多いと思います。どんな日々を送っているのでしょうか。
「今一緒に暮らしていて思うのは、ただただ愛おしいということですね(笑)。
よく頑張ってるなとは思いますが、弱っちゃったから悲しいとか、そういう風には思いません。
大変なこともありません。足腰のためにマットを敷いたり、マッサージしたり、体調が悪くなれば病院に連れて行ったり、そういう普通のことをやっているだけです。
最近気を付けているという意味では、適度な刺激を与えるようにはしています。
マッサージを少し激しくしたり(笑)、子どもたちと遊ばせたり、芝生に連れて行って足触りを変えてみたり。
いい加減なオーナーだと怒られそうですが(笑)、本当に特別なことは何もしてないんですよ」
愛情を持って一緒に暮らしているオーナーさんには、どんなに手を掛けても普通のことに感じられるのだと思います。
ストレスに気を配り、手作りご飯で健康な体を作り、足腰のために散歩も欠かさない。
そして小さな変化も見逃さず、病気があれば治療に手を尽くし、回復後もケアを続ける⋯。
1回2回はできても、それを毎日、長年続けるのは本当に大変です。
そんな自然で尊い愛情の積み重ねが、ジーナちゃんにもオーナーさんにも、かけがえのない15年を与えてくれたのですね。
やっておいた良かったこと
やっておいて良かったこと、そして逆に、もっとやっておけば良かったことも伺いました。
「やっておいて良かったのは、まず保険ですね。
病院のお世話になることが多かったので、保険に入っていなかったら、経済的な負担は今より相当大きかったと思います。
それから、ジーナに負担のない預け先があること。
実家に預けられるので本当に助かっています。
細かいところでは歯磨きも。最低でも1日1回は磨いています。
病院の先生からタオルでいいと言われたので、ウチではガーゼで磨いています」
ケガや病気が少なくないフレブルは、他の犬種より保険が役立つ機会が多いかもしれません。
また口腔トラブルも多いので、口の中の様子が分かる歯磨きも、様々な病気の早期発見に繋がる大切なケアの一つと言われています。
「やっておけば良かったことですが、もっと呼び掛けたり、遊んだりしておけば良かったなと思います。
歳を取ってみて感じることですが、老化は本当に急に来るので。
あと、犬より人が好きで、犬の友だちが少ないから、もっと老犬仲間がいたり、老犬のコミュニティがあったら良かったかもしれません。
犬同士の刺激は、きっと良い影響を与えてくれますよね。
それから躾は、もっと少なくても良かったと思います。
最低限、3つくらい教えておけば十分だったかなと。他者を傷つけないことと、自分を守ることと、あとはトイレ(笑)。
たった15年くらいしか一緒にいられないので、無理にあれこれ覚えさせたりせず、のびのび自然に過ごしてくれれば、それで十分だと思います」
どの言葉にもジーナちゃんへの愛情が溢れていて、ジーナちゃんが本当に幸せな犬生を送ってきたことが伝わってきます。
レジェンドの秘訣は?
家族の愛情に恵まれた幸せな犬生。
これこそレジェンドの秘訣だと思いますが、改めて伺うと、2つのことを挙げてくださいました。
「そうですね、やっぱり、できるだけストレスを少なくすることと、小さな変化を見逃さないことが長生きに繋がっているのかなと思います」
この2つは、フレブルに限らず、ご長寿犬のオーナーさんが本当によく言われることです。
どちらも愛情がなせる業ですが、ストレスを減らすための努力や工夫を長年続けることは簡単ではありませんし、小さな変化に気づけても、その後のケアはもっと大変ですよね。
愛情に行動が伴ってこそ、レジェンドへの扉は開かれる。
今回お話を伺って、改めてそう思いました。
ジーナちゃんのオーナーさんも、多くは語られませんが、仕事に子育てに忙しい中、自分よりもジーナちゃんを優先して、最大限の努力を続けてこられたのだと思います。
その成果を物語る、仔犬のようにあどけないジーナちゃんの笑顔。少しでも長くオーナーさんに向けられることを願わずにいられません。
取材・文/橋本文平(メイドイン編集舎)
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