2020年9月24日2,929 View

【取材】2度の奇跡を起こした15歳!「愛と野生」の両輪が回し続ける命 #30大吉

10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。

今回お話を伺ったのは、15歳4ヶ月(取材時)になるパイドの大吉くん。大吉くんそっくり(!)なパパさんと優しいママさんと暮らす彼は、一見とっても穏やかでおっとり。が、実はとっても野性的なワイルドレジェンドだったのです。彼が二度も起こした奇跡に、あなたもきっと驚くはず!

 

大吉くんのプロフィール

フレンチブルドッグ

年齢&性別

15歳4ヶ月の男の子

体重 

11kg(もともと骨格が大きい子で、若いころは16kg!)

大好きなこと 

食べること。ご家族が台所に立つと常に足元をキープし、おやつは3年くらい焼き芋というお芋好き男子。

フレンチブルドッグと赤ちゃん

お孫さんのおやつを羨ましそうに見つめる大吉くん。大吉くん7歳のころ。

既往歴

・生後4ヶ月のころ左目がチェリーアイに。6ヶ月で手術。その後2ヶ月後に右目もチェリーアイにかかり、再度手術。

 

・7歳で去勢手術。今まで全身麻酔経験は3回。

 

・12歳のころ原因不明の危篤状態に。奇跡的に1週間で回復。それ以降、心臓の薬を日に1錠飲むように。

 

今年に入ってから視力や聴力、後ろ足の衰えが顕著になるも、自分で立って歩く頑張り屋さん。

 

運命の出会いは一目惚れ! しかし生後4ヶ月でチェリーアイに…

フレンチブルドッグ

パピーのころ。フレンチブルドッグはチェリーアイになりやすい犬種のひとつです。

 

大吉くんを迎えたきっかけは、偶然目に止まった「フレブルが生まれました」というブリーダーさんの新聞広告。

 

以前からフレブルが飼いたいと希望していたお嬢さんを連れてブリーダーさんの元へ出向き、一目で「この子だ!」と決めて生後2ヶ月の大吉くんを連れ帰ったそう。

 

もともと骨格の大きな子ですくすくと育ってくれていましたが、月齢4ヶ月のある日、大吉くんの目に異変を感じます。

 

「チェリーアイと診断されましたが、まだ小さすぎて手術ができないと言われて。

 

しばらく待ち、6ヶ月の時に手術をして安心したものの、今度は8ヶ月の時に右目にもチェリーアイに。

 

その後7歳で去勢手術をしているので、今までに全身麻酔を伴う手術を3回経験しています。

 

ですが、チェリーアイのほかは何度か軽度のヘルニアの疑いがあったくらいで、10歳を過ぎるまで大きな病気はなく、本当に丈夫な子だと感心するほどでした」(ママさん)。

フレンチブルドッグ

 

健康面では手がかからなかった大吉くんですが、性格は一筋縄ではいかなかったそう。

 

一言で言えば「とにかく野生!」(ママさん)。

 

甘えん坊が多いと言われるフレブルですが、大吉くんは正反対。他の犬も知らない人も苦手で、パパさんやママさんでさえ、時に咬まれることがあるそう。

 

「それについては子犬の頃にしつけがちゃんとできなかったと悔やんでいたんです。

 

ですが、動物病院の先生が“この子の性格だから気にすることはない”と言ってくださり、それでようやく安心しました。

 

持って生まれた性格なら無理に矯正させず、彼の嫌いなことを避けて、そのままの性格でいさせること。

 

“これが大吉らしさなんだ”と、受け入れる育て方を選んだんです」(パパさん)

フレンチブルドッグ

若い頃の大吉くん

 

そう話してくれた中野さんご夫妻ですが、咬むことについては困り果てることもあるそう。

 

そんな大吉くんのために、かかりつけの病院では“あるもの”を使ってくれるのだとか。

 

「我が家は長年、フレブルに強いことで知られている大阪・堺の『しもむら動物病院』にお世話になっています。

 

院長先生も大吉が咬むことを身をもって知ってらっしゃるので、治療中は口部分が少しだけ開いた“犬用の目隠しマスク”を着用して診察するんですよ。

 

そのくらい咬む子なので、犬の友達もいないけれど、大吉はそれで満足みたい。

 

言い換えれば、とても怖がりだから“やられる前に”と、攻撃に出るのでしょうね。

 

パピーの頃はそれでもドッグランなどへ連れて行ったけれど、逆に大吉にはストレスだと感じました。

 

ですので、お散歩中に撫でさせてくださいと寄ってきてくれる人にも、“この子は咬んじゃうんで、ごめんなさいね”とお話しして断っています。

 

特に最近は目や耳、鼻もきかなくなりつつあるので、より神経が敏感になり、カートに乗せようと抱えあげるときに咬まれることも。

 

そのため今はいかに咬まれないように工夫するかを模索中なんです(笑)」(ママさん)

フレンチブルドッグとそのオーナー

13歳のころ。大吉くんとママさん、どちらも写真嫌いのため、貴重なツーショット!

 

笑顔で咬みつきエピソードを教えてくれたママさんですが、もちろん若い頃は怒って咬み癖を直そうと頑張ったそう。

 

しかし、恐怖から咬むのだと気付いてからは、大吉くんを怖がらせるような状況にしない方向にシフトチェンジしたのです。

 

怖がるのは性格だから仕方がない、ならば恐怖の対象を遠ざけようという考え方に、大吉くんファーストの愛情を感じますね。

 

12歳で7日間も危篤状態に! 覚悟したその時に舞い降りた奇跡

フレンチブルドッグ

 

丈夫だった大吉くんにも、10歳を超えた頃から少しずつシニア特有の衰えが出始めます。

 

そのころ、肝臓と心臓の数値があまり良くないと判明。しかしそれは老衰の一部だから仕方がない、と思っていた矢先、それは起こりました。

 

「12歳の時、1週間危篤状態に陥ったんです。

 

このとき夫は病院で、“俺の命はもういいから、代わりに大吉を助けてやってください”と先生に嘆願してました。

 

原因はきっと、数値が良くなかった心臓や肝臓だと思うのですが、先生からは、“全身麻酔が必要な検査は、年齢を考えると負担が大きいのでやめてましょう”と。

 

このときは、家族全員が大吉の死を覚悟しましたね。

 

今日か、明日かと生きた心地がしないまま過ごしていたら、突然、大吉が立ち上がって水を飲み始めたんです!

 

先生には奇跡だと言われ、“奇跡の大吉”と命名してくださいました。

 

それ以降、心臓の薬を毎日飲ませるようになりましたが、お薬は今もこれだけ。

 

ただ、長い大吉との生活の中で、この時のことは強烈に覚えています。

 

今は朝起きて大吉が生きていることを確認するのが日課に。

 

15歳だから、いつお迎えが来ても仕方ないと思っていますが、死を意識すると涙が出ちゃいますね」(ママさん)

フレンチブルドッグ

危篤になったときの大吉くん。ここから不死鳥のように復活!

 

奇跡を起こせた理由に心当たりはあるのでしょうか。

 

「やっぱり元々の体力でしょうか。

 

大吉は今でも食欲旺盛で、朝起きるなり台所に直行します。

 

最近こそ、年齢とともに痩せてきましたが、以前は先生にも少し痩せた方が良いと言われるくらいの大型ブヒ。

 

食べる=命をつなぐことなので、食べてくれるうちは安心しています。

 

今もご飯は朝晩の2回、水でドライフードをふやかして、そこに鶏のささみや胸肉をトッピング。

 

朝は好物の犬用チュールを1本あげています。15歳にもなると、好きなものを食べられる時に食べさせてあげたいと思いますね」(パパさん)

 

命の恩人はパパさん! とっさの判断で大吉くんの危機を救う

フレンチブルドッグ

 

獣医師に“奇跡”とまで言わしめた大吉くんですが、実は最近再び奇跡が起きたのだそう。

 

しかもその奇跡を起こしたのは、大吉くんを誰よりも愛するパパさんでした。

 

「水が苦手な大吉はお風呂が大嫌い。とはいえ洗わないわけにもいきません。

 

我が家はホームセンターのペット用セルフシャワーを利用しているのですが、2ヶ月ほど前にそこで大吉を洗っているとき、顔を洗おうと顔に水をかけた瞬間、大吉が驚いて呼吸困難になり、その場で気絶してしまったんです。

 

慌てた夫が、すぐに人工呼吸や蘇生マッサージをしたら、息を吹き返してくれて。

 

その後すぐに病院へ連れていったんですが、主人が蘇生させたという事実に、先生がすごくびっくりされてましたね(笑)」(ママさん)

 

とっさに蘇生のための人工呼吸やマッサージをし、必死でその命を救ったパパさんの愛。

 

レジェンドになれた理由は、こんな家族の“最後まであきらめない気持ち”にもあるのでしょう。

 

「いまは、出来るだけこの子のそばにいて見守ってあげたい。

 

なのでここ数年は大吉を連れて行けない場所には行かず、お留守番もなし。

 

極力夫婦のどちらかが家にいるようにしています」(ママさん)

フレンチブルドッグ

 

そんな深い愛情で大吉くんを守るパパさんとママさんに、最後に「大吉くんの長寿の秘訣で、思い当たるものはありますか?」と聞いてみました。

 

「大吉が長生きしているのは、やはりこの子の持った寿命でしょうか。特別なことは何もしていませんので。

 

今はまずお正月を一緒に迎えることが目標で、その次はお花見。

 

こうして1日1日を積み重ねてそれが少しでも長く続くこと、それだけです」(ママさん)

フレンチブルドッグ

 

これからも大吉くんをしっかりお世話するために、私たちが元気でいなきゃと笑う中野さんご夫妻。

 

「その子の性格を理解し、自然に任せて育てるのが一番。

 

野生すぎて困ることもあるけれど、それでもごはんをあげる前のこれ以上ないってくらい可愛い顔を見るとメロメロです」と話すパパさんのそばには、大吉くんが「ボクの悪口言うんじゃないぞ」とばかりに目を光らせています。

 

立ち上がる時に少し手を貸すことが増えたものの、今も自分の足で歩く大吉くん。

 

2度の奇跡を経験した彼は、今日もマイペースにパパとママの愛に包まれているのです。

フレンチブルドッグ

 

 

取材・文/横田愛子

 

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