真面目に、フレンチブルドッグのために。 世界のフレブルニュースを紐解き、彼らを守るべき一歩としての“知識”を!
フレンチブルドッグの人気は日本だけのものではなく、世界中にファンがいる愛され犬種。もともとフレブルの故郷フランスでは、以前から人気犬種の上位に君臨していたけれど、世界がその愛らしさに気づいたのか、とにかく各国でも引く手数多な存在なのです。これはフレブル愛に満ち満ちた私たちフレブルオーナーにとっては嬉しい話題だけれど、一方で、以前当サイトでも記事にした“無理な繁殖”※が行われているのもまた、目をそらしてはいけない現実。でも、ペット先進国のひとつであるオランダではフレンチブルドッグを含む鼻ぺちゃ族、つまり短頭種の繁殖について、今年の初夏に彼らを守るための法律が制定されたのです。その内容を知り、“意識するための一歩”を進めてみませんか?
そもそもオランダは殺処分ゼロの国!
以前からヨーロッパ、特にオランダやドイツはペットに対する意識の高い国として知られています。
とりわけオランダは「動物たちが苦痛なく生きる権利を守る」という考え方がペットオーナーに根付いているペット先進国。
ペットショップでは生体販売をしておらず、警察の一部門として愛護団体と協力しながら動物保護を専門に行う『アニマルポリス』という動物警察があり、ペットの殺処分もゼロという徹底してペットに優しい国。
ところで、アニマルポリスはイギリスやアメリカ、そして実は日本にもあるってご存知でしたか?
ちなみに日本のアニマルポリスは主に民間のもので、千葉県や大阪市など都道府県や自治体単位で発足し活動していますが、平成26年には兵庫県警内にアニマルポリス・ホットラインが開設されています。
こうして日本でも少しずつ動物愛護の取り組みがカタチになってきてはいますが、やはり殺処分件数ゼロの道のりは程遠く、欧州と比較するとまだペット先進国とは言えないのが現状です。
さて、そのオランダですが、例えば動物虐待を犯したものは今後全ての動物の飼育を禁じられます。
世話をしなかったり餌を与えない、暴力行為があった場合は最高で3年以下の拘留か禁固、懲役、もしくは日本円にして約210万円の罰金が科されるのです。
このように動物に対して悪事を働けばしっかりと法によって取り締まれるシステム作りは、今後日本の動物愛護法にもきっと良い影響を与えてくれるはず。
画期的とも言える『短頭種に対する』新法律。
ぺたんこフェイスに大きな頭、がっちりとした体格と、あまりに個性が過ぎるそのルックスゆえに先天的疾患が多と言われるフレンチブルドッグ。
その個性こそ愛らしさの源なのだけれど、これは人間が人為的に作り出したもの。
中でもドッグショーに出品される純血種(フレブルもその一員)は、よりその犬らしい特徴を強調するためのブリーディングが行われることも少なくはありません。
遺伝子疾患に代表される無理なブリーディングの弊害は世界中で起きているのです。
こうしたブリーディングで辛い思いをするのは誰か。それは、誰でもない犬自身。
ただ愛されるために生まれてきたはずなのに、気付けば人間の商売道具にされてしまっている場合もあり、無理な繁殖で短命や病気のリスクにその身を晒されるのはいつだって犬たちなのです。
こういった事実を受けたオランダ政府はその後長い時間をかけ、ユトレヒト大学に科学的かつ獣医学的検討を依頼するなどしてきました。
そしてついに、2020年5月18日より短頭犬種について一定の条件をクリアしない犬を繁殖に使うことを法律で禁止したのです。
対象となった犬種はフレンチブルドッグやイングリッシュブルドッグ、パグ、ボストンテリアやペキニーズといった20犬種。
ではその「交配しても良い基準」というのを見ていきましょう。
厳しい基準は、犬を愛するがゆえ。
オランダの農業相が発表した指定20種の短頭種犬のブリーディングに対する基準は全部で6項目。
・安静時に異常ないびきなど通常ではない呼吸音がしないこと
・鼻の穴がしっかりと開いていること
・マズルの長さと頭の長さの比率が0.5以上あること
・鼻の上のシワがないか、シワが目に触れないこと
・目を閉じた際に瞼が完全に閉じること
・真正面から犬に正対した時に眼窩の浅さに起因する白目の露出がない、もしくは1/4以下であること
この上記の6項目をクリアしなければブリーディングに使えないことが明示され(当面の間は妥協案あり)、オランダ・ケンネル・クラブも積極的に協力をしているそう。
この項目だけ見ると少し厳しすぎるのでは? なんて思わないこともないけれど、確かにフレンチブルドッグら鼻ぺちゃ族の健康を考えればどれも欠かせない要素。
この法律は非常に画期的だと欧州を中心に好意的に受け入れられ、これによって無理なブリーディングは必ず減少するはず。
ただ、いちフレブルオーナーからすると、正直この6項目をクリアするのはかなりの難易度かもしれない…とも思うような。
しかし、国を挙げてこういう細かな基準を法律で定めたその本懐は、「愛すべき犬種の健康と幸せな一生を守るため」ということに他なりません。
大切だから、守るべき存在だから、人間の手による無茶な繁殖で苦しむ子を減らしたいから『あえて、法律で定める』。
これって、ものすごい愛なのではないかしら。
“可愛いのその先”へと目を向けるこのような判断が、結果的には犬種の特徴を維持し、その犬種らしい真っ当な命を全うできる近道だと思うのです。
最後に
オランダの法律のお話、いかがでしたか? 実際にフレブルと暮らす私たちにとって、このニュースは決して遠い外国のお話ではありません。
愛ってなんだろうと考えたなら、愛とは「その対象を守りたい、幸せにしたい」と思うこと。
それを根っこから揺るがすような繁殖に対してNOを突きつける。
そして結果的に健やかで丈夫な子を増やしていくという取り組み、とても素敵だと思うのです。
日本がペット先進国に肩を並べるようになるにはもう少し時間がかかるかもしれませんが、すでにこうして動いている国があることに、とても励まされ頼もしく思うのです。
こちらの記事も合わせてチェックしてみてくださいね。
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