心のワクチン!子犬の社会化で必ず知っておくべき「般化」とは【社会化を学ぶ Vol.4】
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。実はかなり多くのオーナーさんが勘違いをしている“社会化”について、正しい知識をシリーズでお伝えしています。ぜひVol.1から読んでみてくださいね。
目次
社会化はやり方を間違うと子犬の心や体を傷つける

Joli L/Shutterstock
子犬にとって本当に役に立つ社会化を学ぶためにお送りしてきたコラムも、今回で4回目。
今回は前回に引き続き“やりがちだけど間違った社会化”と、“本当に愛ブヒの役に立つ社会化”の方法をそれぞれ紹介していきます。
前回が未読の方はぜひ、「やりがちだけどNG!愛ブヒをダメにする『やってはいけない社会化』4パターン【社会化を学ぶ Vol.3】」から読んでくださいね。
まず始めに、これは超、超大切なことなので、前回のコラムと同じ内容を再度書かせていただきます。
子犬の社会化は、“心のワクチン”などと表現されるように、子犬の一生に関わるとても大切な時間。
家に子犬を迎えたら、少しでも多くの時間を子犬と社会化をすることに費やしましょう。それが皆さんと子犬の未来を守る糧となります。
そして社会化と言う名の「心のワクチン」を子犬に接種するのは、獣医さんではなくオーナーさん自身。
そのため、オーナーさんが正しい知識を持つことが重要です。
やり方を間違うと、子犬の心や体を傷つけてしまうので、ここで正しい知識を学びましょう。
前回の記事では「こんな社会化はダメ!その4」まで紹介したので、今回は「その5」からになります。
こんな社会化はダメ!その5「子犬を“多様なものに”社会化させない」

Amornpant Kookaki/Shutterstock
◼NG例1
・家に同居犬・同居猫がいるから、よその犬や猫にも慣れているだろうと思い、他犬・他猫への社会化をしていない。
・家のドライヤーには慣れているようなので、他のドライヤーには社会化をしていない。
◼NGな理由
ちょっと説明が長くなりますが、ブヒたちを理解するためには超重要な話なのでぜひ聞いてください。
子犬を1つのものだけに社会化したとしても、他のものにまで社会化が出来るわけではありません。
子犬が同居犬や猫に慣れていたとしても、他の犬や猫は全くの別物。
ドライヤーも同様です。見た目も音も、100%同じ物ではありませんよね?
そのため、子犬ははじめ「これらは同じドライヤーというものだ」という認識が出来ないのです。
この話をもう少し深堀りして考えてみましょう。
子犬には「般化」のための機会がたくさん必要

immstudio/Shutterstock
人間は似たような物・状況を、同じカテゴリーとして考える“般化(Generalization)”が得意です。
そのため、つい「家のドライヤーには慣れたのだから、他のドライヤーも大丈夫だろう。だって同じドライヤーなんだから!」と思ってしまいます。
しかし、犬は般化が苦手。
そのため、特定のドライヤーだけで社会化を繰り返しても、他のドライヤーが出てきた途端に「これはなんですか!?」となるのです。
そのため、社会化を進めるには、いろいろなドライヤーと接する機会を持つ必要があるのです。
犬や猫も同じ。たくさんたくさん、社会のものと触れ合う経験を繰り返す中で、子犬が般化をしていくのです。
物だけでなく行動にも般化は大切

Andrew Sotnikow/Shutterstock
もう1つ、般化について大事な話を紹介します。
般化は、物だけでなく“行動”にも必要です。
例えば、家では「お座り!」といえば出来るのに、公園で「お座り」と言ってもできないブヒ、いませんか? それはなぜでしょうか?
ここでもし「上下関係が出来ていないから」とか「飼い主をなめているから」という日本の古き悪しきデマを口に出してしまったオーナーさん、ドッグトレーナーさんへ。
その考えは大間違いですので、過去のコラム「【全オーナー必読!】犬に絶対やってはいけないことって?愛ブヒを幸せにするために今日からできる心構え」を読んで、今の時代の世界基準を把握してくださいね。
場所が変わるとコマンドが入らない理由の1つとして、愛ブヒがお座りを般化出来ていない可能性があります。
愛ブヒからすると、“家+お座り”で覚えているため、“公園+お座り”となると、同じ指示だとは考えられないのです。
「は?」と固まってしまった方や、「ちょっと何言っているかわからないんですけど?」という方もいるかもしれませんね。
人間脳で考えると「いやいや、多少状況が違ったって、お座りって言ってるんだから、お座りすればいいじゃーん!」とツッコみたくなるでしょう。
でも、この“多少状況は違ったって”が、犬にとっては多少ではなく大きな問題。
犬の脳からしたら「家と外だと全然違うじゃーん! これを“多少”って言ってくる人間、なんなの!」なのです。
犬と人間は心が通じ合い家族になれますが、生物的にはまったく違います。
思考も感覚も違って当然。“般化が得意な人間脳”の思考回路を、愛ブヒに押し付けてはいけません。
そのため、お座りの練習をするときには、あらゆる場所、あらゆる状況で練習をさせ
「どんな場所でも“お座り”と言われたら、お尻を地面につけるんだな! ちょっとずつ、わかってきたぞ」と愛ブヒに学習してもらうのです。
子犬の社会化には時間がかかるもの

Spiky and I/Shutterstock
物であれ行動であれ、社会化で重要なのは「いろいろなものに般化させていくこと」です。
人間側の「もう十分、社会化できただろ」は、ほとんどが不十分。人間が思う以上に、ブヒたちは物事の違いを繊細に区別しています。
(だからこそ、オーナーさんが悲しいとき、誰よりもそれを察して優しく寄り添ってくれるわけです。
オーナーさんがどんなに上手に笑顔を作ったつもりでも、細かいことを察知できる犬たちには、その笑顔の裏の悲しみがわかります。それはときに人間以上に…)。
社会化は、パッとやって終わりに出来るものではありません。多くの時間と手間をかけることが必要です。
そのために、出来る限り同じものでもたくさんの種類・状況を経験することが重要。
繰り返しますが、人間からすれば「犬って応用が効かないなあ。大体でさ、空気とか雰囲気で察しろよ」なんて思ってはダメ。
それだと犬たちからは「人間って、細かい違いにまったく気付かない鈍感な生き物だなぁ」と思われているかもしれませんよ。
人間脳とブヒ脳は違う! 人と犬を同一視しないことが大切

gemadrun/Shutterstock
社会化の中でも、“般化”にのみ焦点を当ててお話をさせていただいたにもかかわらず、結構なボリュームになってしまいました。
しかし、読んでくださったみなさん、きっとその甲斐はあるはずです。
なぜなら日本では、犬を人間扱いするような情報が多く、“犬は般化が苦手”という特徴をおろそかにしたまま、犬のしつけの話が進んでいきます。
だからこそ「なんで愛ブヒは、わかってくれないの?」という疑問や不満につながるのです。
わかってくれなくて当たり前。だって人間脳とブヒ脳は違うのですから。
何度も繰り返しますが犬は般化が苦手です。しかしその代わり、犬は弁別(見分けること、区別すること)が得意な動物。
私たちより細かな違いに気付けるブヒたちの特性を理解し、その上で彼らと暮らすことができれば、今以上に愛ブヒと幸せに暮らせるはずです。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
おすすめ記事
-
皮膚にお悩みのフレブルが体験した奇跡を、どうしてもお伝えしたくて。
フレンチブルドッグにどうしてもつきまとう、健康上のアクシデント。
それはなんといっても「皮膚疾患」です。痒そうにしている愛ブヒを見るのはなかなかつらいものですよね。
皮膚疾患が強く出れば、もちろん動物病院での治療が必要になってくるわけですが、それ以降についてはどうやって良好な状態をキープすればいいのか。ぶり返してしまったら、また負のループに陥ってしまう。
今回はわたしたちがつくったコラーゲンサプリメント『Ta-Ta(タータ)』にまつわる、あるフレブルのお話をお伝えしましょう。
愛ブヒの皮膚にお悩みの方は、必読です。※この記事は個人の感想であり、効果・効能を示すものではありません
エッセイ -
【会員数No.1の圧倒的王者】18歳の愛犬が食欲を取りもどした「ココグルメ」の力 。「333円」キャンペーン実施中!
手作り食の子は、従来のドッグフードを主食とする子よりも「平均寿命が3年長かった」という有名なデータがあります。
今回ご紹介するのはプロが作った手作り食が届く「ココグルメ」。近年人気のフレッシュフードといわれるジャンルの中で、会員数No.1[*]の圧倒的王者です。
なぜここまで信頼を得ているのか、なぜフレンチブルドッグにふさわしいのか。ペット栄養管理士の荒木幸子先生にお話しをうかがったところ、説得力の塊でした! そしてフレブルたちが、今こそ試すべき理由とは…!?
(sponsored by株式会社バイオフィリア)
PR -
【チンスリTシャツ爆誕!】フレブルラバーは絶対買うべきです!PEGION×French Bulldog Lifeコラボ第2弾
「PEGION×French Bulldog Life」のコラボプロダクト第1弾は、ウンチ中のフレブルが可愛いPOOPINGシリーズ。
今夏、ついに待望の第2弾が登場! 今回はフレブル特有の行動である「チンスリ」デザイン。ありそうでなかった憧れのチンスリデザインが、オーナー向けのTシャツと愛ブヒ用のタンクトップになりました!
ストア情報 -
【インタビュー】ロッチ中岡〜そのフレブル愛、ガチ中のガチ。隠れブヒラバーが語る、細かすぎる魅力とは〜【前編】
みなさんが愛犬家ならぬ“愛ブヒ家”として思い浮かぶ芸能人といえば、草彅剛さん、レディー・ガガさんなど、フレブルを飼っている方が多いと思います。が、ロッチ中岡さんも、じつは大のフレブルラバーだというのをご存知ですか? フレブルを飼っていないのにもかかわらず、中岡さんのインスタグラムを覗くと、たくさんのフレブルアカウントがフォローされていて、わが『FRENCH BULLDOG LIFE』モデルのnicoやトーラスも、その中の一頭。
そんな中岡さんに、フレブルの魅力を語っていただきました。そのブヒ愛っぷりは、思ってた以上! ガチ中のガチでした!?
取材 -
【中川大志インタビュー】エマは犬ではなく、大切な娘です。国宝級イケメンが愛犬のフレンチブルドッグと一緒に登場
『FRENCH BULLDOG LIFE』に国宝級イケメン登場! 俳優の中川大志さんが、愛犬であるフレンチブルドッグのエマちゃん(2歳の女の子)にメロメロとの情報を聞きつけ、中川さんを直撃。そのフレブル愛をたっぷり語っていただきました。他のフレブルオーナーさん同様、濃すぎる親バカエピソードが次から次へと飛び出しました。
取材 -
【なぜ日本製が良いのか】わたしたちが、Vague(ヴァーグ)をオススメしたい理由
一段と寒い日がつづき、フレブルたちにもお洋服が欠かせなくなりましたね。この時期は洋服の着用時間が長くなりがちなので、いつも以上に素材にこだわりたいところ。リーズナブルなお洋服は縫い目が荒く、脇やお腹がスレて肌荒れの原因になることも。
冬こそ、世界が認める「日本製(Made in Japan)」を選びましょう。そしてお肌に優しい日本製の犬服といえば、やっぱり…?
(sponsored by 株式会社Vague)
PR -
【TESの新デザイン&アイテムが登場!】愛ブヒの名前を入れられる、TESのカスタムオーダー
フレブルオーナーの間では、すっかりメジャーになったアパレルブランド「TES(The Endless Summer)」。とくに、愛ブヒの名前を入れられるカスタムオーダーは、“我が子愛”あふれるオーナーに大人気。
そんなTESファンのみなさまに朗報です! この度、新デザインのカスタムオーダーが誕生!
フレブルらしさがよりアップしたデザインと、今までになかったnewアイテム…これは、買うしかありません!
ストア情報 -
【大切なこと】近年若くして旅立つフレブルが増えている現実と向き合う〜交配や体格について〜
実は昨今、わずか3歳や4歳という若さで突然虹の橋を渡ってしまうフレンチブルドッグが増えています。よちよちのパピー期を過ぎてオーナーさんとのコミュニケーションも覚え、さあこれから! という時に突如として失われた命。どうして、なんで? と涙に暮れるけれど、そのことについてFrench Bulldog Lifeなりに調査し、考えられる理由をまとめてみました。是非ともフレブルラバーである皆様にお伝えすべきだと思ったのです。
読みもの -
【取材】9歳で脳腫瘍を発症し「4年7ヶ月間」生存。フレンチブルドッグ・桃太郎の奇跡と軌跡
愛犬が「脳腫瘍」と診断されたとき、言葉にできない絶望感を味わうことと思います。筆者も脳腫瘍で愛犬が旅立ったひとり。だからこそ、どれほど厄介で困難な病気かを理解をしているつもりです。「発症から1年生存すれば素晴らしい」とされるこの病気。
ところが、フレンチブルドッグの桃太郎は9歳で脳腫瘍を発症し、なんと4年7ヶ月間も生き抜いたのです。旅立ったときの年齢は13歳と11ヶ月、レジェンド級のレジェンドでした。さらには、治療後3年間は一度も発作が起きなかったといいます。
この事実はフレンチブルドッグだけでなく、脳腫瘍と闘う多くの犬たちに勇気と希望を与えるに違いありません。桃太郎のオーナーである佐藤さんご夫婦に、治療の選択やケアについて詳しくお話しをうかがいました。
取材 -
【編集Yの太鼓判はコレ!】留守番中も爆睡!究極の癒しベッドー編集部厳選!本当に使えるドッグギア #44
全員フレブルオーナーである『FRENCH BULLDOG LIFE』の編集部員たちが、自分たちで愛用している「本当に買ってよかった!」ものだけを紹介するこの連載。
今回は編集Yが、すべてのフレブルが大好きだと確信する極上のドッグベッドをご紹介! 留守番中もぐっすり、埋もれる姿は激カワ、さらに高確率で「へそ天」が見られます!
特集 -
【イベントレポート】フレブルLIVE in FB愛!およそ1,000頭のフレブルが大集結(泣けたぜ、リアルに。)
本日3月20日(日)に開催された「French Bulldog LIVE」in FB愛。無事大成功で幕を閉じました!
イベント主催者のFB愛スタッフのみなさま、そしてご来場いただいたフレブルファミリーのみなさまには心より感謝いたします!
リアルイベントの参加はおよそ2年半ぶりでしたが、たくさんのフレンチブルドッグとオーナーさんに会えたことが一番の喜びでした。
さてさて、興奮冷めやらぬうちにイベントレポートを大公開です!
イベントレポート
特集
-
フレンチブルドッグの性格/基本情報
からだの特徴や性格、歴史など基本的なフレブル情報をご紹介!
-
子犬/はじめてのフレンチブルドッグ
フレブルビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
フレブル病気辞典
獣医師監修のFrenchBulldogLifeオリジナル病気辞典。愛ブヒを守るための情報満載
-
フレブルライフ ストア
本当にいいものだけを、厳選紹介。FBLの公式オンラインストアです
-
【特集】レジェンドブヒの肖像ー10歳を超えて
10歳オーバーの元気なブヒを取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】5歳からのミドルシニアLIFE
ご長寿ブヒをめざすヒントがここに!
-
【特集】短命拒否権ーフレンチブルドッグは、もっと生きる
この特集は、『短命』のレッテルを返上するための、有益なフレブル生活記録簿です。
-
【特集】新・家術〜進化型家電と、新しい愛情物語
愛犬たちとのかけがえのない生活をもっと楽しく快適に暮らすために。
-
【特集】編集部厳選!本当に使えるドッグギア
フレブルと暮らす編集部が、自信をもって紹介したいアイテムとは!?
-
【特集】わたしは、愛ブヒのリーダーになるのダ。
プロドッグトレーナーが、リーダーになるための秘訣を解説!
-
【特集】もしものときの名医名鑑
ヘルニアやガンなど、その道の名医たちを独占取材!
-
虹の橋
愛ブヒが虹の橋へ向かう準備をするための場所
-
フレブルペット保険ガイド
あなたと、あなたの隣にいるフレンチブルドッグがより安心して暮らしていけるように
-
フレブル里親/保護犬情報
French Bulldog Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。
-
迷子犬情報
French Bulldog Lifeは、迷子犬を家族の元へかえすための活動をしています。
-
French Bulldog LIVE⚡️2022 -秋- (フレブルLIVE)
イベント「French Bulldog LIVE」にまつわる情報をお届け。