2021年8月24日1,249 View

心のワクチン!子犬の社会化で必ず知っておくべき「般化」とは【社会化を学ぶ Vol.4】

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。実はかなり多くのオーナーさんが勘違いをしている“社会化”について、正しい知識をシリーズでお伝えしています。ぜひVol.1から読んでみてくださいね。

フレンチブルドッグ,しつけ

社会化はやり方を間違うと子犬の心や体を傷つける

フレンチブルドッグ

Joli L/Shutterstock

 

子犬にとって本当に役に立つ社会化を学ぶためにお送りしてきたコラムも、今回で4回目。

 

今回は前回に引き続き“やりがちだけど間違った社会化”と、“本当に愛ブヒの役に立つ社会化”の方法をそれぞれ紹介していきます。

 

前回が未読の方はぜひ、「やりがちだけどNG!愛ブヒをダメにする『やってはいけない社会化』4パターン【社会化を学ぶ Vol.3】」から読んでくださいね。

 

まず始めに、これは超、超大切なことなので、前回のコラムと同じ内容を再度書かせていただきます。

 

子犬の社会化は、“心のワクチン”などと表現されるように、子犬の一生に関わるとても大切な時間。

 

家に子犬を迎えたら、少しでも多くの時間を子犬と社会化をすることに費やしましょう。それが皆さんと子犬の未来を守る糧となります。

 

そして社会化と言う名の「心のワクチン」を子犬に接種するのは、獣医さんではなくオーナーさん自身。

 

そのため、オーナーさんが正しい知識を持つことが重要です。

 

やり方を間違うと、子犬の心や体を傷つけてしまうので、ここで正しい知識を学びましょう。

 

前回の記事では「こんな社会化はダメ!その4」まで紹介したので、今回は「その5」からになります。

 

こんな社会化はダメ!その5「子犬を“多様なものに”社会化させない」

フレンチブルドッグ

Amornpant Kookaki/Shutterstock

 

◼NG例1  

・家に同居犬・同居猫がいるから、よその犬や猫にも慣れているだろうと思い、他犬・他猫への社会化をしていない。

・家のドライヤーには慣れているようなので、他のドライヤーには社会化をしていない。

 

◼NGな理由

ちょっと説明が長くなりますが、ブヒたちを理解するためには超重要な話なのでぜひ聞いてください。

 

子犬を1つのものだけに社会化したとしても、他のものにまで社会化が出来るわけではありません。

 

子犬が同居犬や猫に慣れていたとしても、他の犬や猫は全くの別物。

ドライヤーも同様です。見た目も音も、100%同じ物ではありませんよね? 

 

そのため、子犬ははじめ「これらは同じドライヤーというものだ」という認識が出来ないのです。

 

この話をもう少し深堀りして考えてみましょう。

 

子犬には「般化」のための機会がたくさん必要

フレンチブルドッグ

immstudio/Shutterstock

 

人間は似たような物・状況を、同じカテゴリーとして考える“般化(Generalization)”が得意です。

 

そのため、つい「家のドライヤーには慣れたのだから、他のドライヤーも大丈夫だろう。だって同じドライヤーなんだから!」と思ってしまいます。

 

しかし、犬は般化が苦手。

 

そのため、特定のドライヤーだけで社会化を繰り返しても、他のドライヤーが出てきた途端に「これはなんですか!?」となるのです。

 

そのため、社会化を進めるには、いろいろなドライヤーと接する機会を持つ必要があるのです。

 

犬や猫も同じ。たくさんたくさん、社会のものと触れ合う経験を繰り返す中で、子犬が般化をしていくのです。

 

物だけでなく行動にも般化は大切

フレンチブルドッグ

Andrew Sotnikow/Shutterstock

 

もう1つ、般化について大事な話を紹介します。

 

般化は、物だけでなく“行動”にも必要です。

 

例えば、家では「お座り!」といえば出来るのに、公園で「お座り」と言ってもできないブヒ、いませんか?  それはなぜでしょうか? 

 

ここでもし「上下関係が出来ていないから」とか「飼い主をなめているから」という日本の古き悪しきデマを口に出してしまったオーナーさん、ドッグトレーナーさんへ。

 

その考えは大間違いですので、過去のコラム「【全オーナー必読!】犬に絶対やってはいけないことって?愛ブヒを幸せにするために今日からできる心構え」を読んで、今の時代の世界基準を把握してくださいね。

 

場所が変わるとコマンドが入らない理由の1つとして、愛ブヒがお座りを般化出来ていない可能性があります。

 

愛ブヒからすると、“家+お座り”で覚えているため、“公園+お座り”となると、同じ指示だとは考えられないのです。

 

「は?」と固まってしまった方や、「ちょっと何言っているかわからないんですけど?」という方もいるかもしれませんね。

 

人間脳で考えると「いやいや、多少状況が違ったって、お座りって言ってるんだから、お座りすればいいじゃーん!」とツッコみたくなるでしょう。

 

でも、この“多少状況は違ったって”が、犬にとっては多少ではなく大きな問題。

 

犬の脳からしたら「家と外だと全然違うじゃーん! これを“多少”って言ってくる人間、なんなの!」なのです。

 

犬と人間は心が通じ合い家族になれますが、生物的にはまったく違います。

 

思考も感覚も違って当然。“般化が得意な人間脳”の思考回路を、愛ブヒに押し付けてはいけません。

 

そのため、お座りの練習をするときには、あらゆる場所、あらゆる状況で練習をさせ

「どんな場所でも“お座り”と言われたら、お尻を地面につけるんだな! ちょっとずつ、わかってきたぞ」と愛ブヒに学習してもらうのです。

 

子犬の社会化には時間がかかるもの

フレンチブルドッグとビーグル

Spiky and I/Shutterstock

 

物であれ行動であれ、社会化で重要なのは「いろいろなものに般化させていくこと」です。

 

人間側の「もう十分、社会化できただろ」は、ほとんどが不十分。人間が思う以上に、ブヒたちは物事の違いを繊細に区別しています。

 

(だからこそ、オーナーさんが悲しいとき、誰よりもそれを察して優しく寄り添ってくれるわけです。

 

オーナーさんがどんなに上手に笑顔を作ったつもりでも、細かいことを察知できる犬たちには、その笑顔の裏の悲しみがわかります。それはときに人間以上に…)。

 

社会化は、パッとやって終わりに出来るものではありません。多くの時間と手間をかけることが必要です。

 

そのために、出来る限り同じものでもたくさんの種類・状況を経験することが重要。

 

繰り返しますが、人間からすれば「犬って応用が効かないなあ。大体でさ、空気とか雰囲気で察しろよ」なんて思ってはダメ。

 

それだと犬たちからは「人間って、細かい違いにまったく気付かない鈍感な生き物だなぁ」と思われているかもしれませんよ。

 

人間脳とブヒ脳は違う! 人と犬を同一視しないことが大切

フレンチブルドッグ

gemadrun/Shutterstock

 

社会化の中でも、“般化”にのみ焦点を当ててお話をさせていただいたにもかかわらず、結構なボリュームになってしまいました。

 

しかし、読んでくださったみなさん、きっとその甲斐はあるはずです。

 

なぜなら日本では、犬を人間扱いするような情報が多く、“犬は般化が苦手”という特徴をおろそかにしたまま、犬のしつけの話が進んでいきます。

 

だからこそ「なんで愛ブヒは、わかってくれないの?」という疑問や不満につながるのです。

 

わかってくれなくて当たり前。だって人間脳とブヒ脳は違うのですから。

 

何度も繰り返しますが犬は般化が苦手です。しかしその代わり、犬は弁別(見分けること、区別すること)が得意な動物

 

私たちより細かな違いに気付けるブヒたちの特性を理解し、その上で彼らと暮らすことができれば、今以上に愛ブヒと幸せに暮らせるはずです。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 

SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

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