【取材】「二度と寂しい思いをさせない」の誓いを胸に…家族の愛に見守られ15歳を目指す #53藤
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回ご紹介するのは、重度のアレルギーや誤飲などを乗り越えて14歳になった男の子・藤くん。家族団らんの時間と食べることが何より好きだという藤くんの長生きの秘訣とは。
目次
藤くんのプロフィール
年齢&性別
14歳の男の子(2008年1月20日生まれ)
体重
10.5kg
大好きなこと
食べること。車でお出かけ。
既往歴
・迎えた生後3カ月のころから食物アレルギーを発症。投薬に加え、8歳から減感作療法で治療。
・3歳のころ引きちぎった衣類を誤飲し、開腹手術。
・4歳のころ、子どものおもちゃを誤飲し内視鏡手術。
・14歳で初期の心不全。投薬で回復。
迎えてすぐに重度のアレルギー持ちと判明
古風なお名前が素敵な14歳の藤(ふじ)くんは、パピーのころから数々のアレルギーに苦しんできました。
オーナーのTさん(以下ママさん)が生後3カ月で迎えたころから、毛の一部が抜けてしまったり、顔や手足を掻いていたり、お尻の穴の周りが炎症を起こして赤くなっていたそう。
検査の結果、食物、ハウスダスト、花粉など様々な項目にアレルギー反応が。
特にひどかったのがハウスダストで、パピーのころから投薬を続けています。
春と秋の花粉が多い時期は特に悪化することから、8歳のとき減感作療法をスタート。
減感作療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を体内に少しずつ入れ、徐々にアレルゲンに慣れさせることで、過剰なアレルギー反応を起こさない体質に改善していくという根治も目指せる治療方法です(詳しくはこちらの記事を参照ください【かゆみ・炎症に悩むオーナー必読】犬アトピー性皮膚炎が根治する可能性も!最新治療「減感作療法」を実例とともに紹介【獣医師&製薬会社監修】)。
「減感作療法を取り入れてからは、花粉の時期以外はだいぶ落ち着いています」(ママさん=以下「」内同)。
また、牛、豚、鶏の肉類、小麦や米など、様々な食物アレルギーに悩まされ、病院で紹介された数々のフードも、食べ始めてから1週間〜1カ月程度で下痢に。
これまで10種類以上のフードを試したのち、今はロイヤルカナンのセレクトプロテイン カンガルー&オーツで落ち着いています。
「おやつは、シニア用のさつまいもスティックと、グルテンフリーのかぼちゃとさつまいも味のビスケットが定番。りんごや蒸したさつまいも、みかんも大好物です」。
お留守番や環境の変化が大きなストレスに
幼いころは、家族に反対されたため犬を飼えなかったママさん。社会人になり一人暮らしを始めてから藤くんを迎えたそうです。
ママさんが仕事に行っている間、藤くんはひとりでお留守番。
ところがある日、クローゼットの扉を隙間からこじ開けたようで、引きちぎった衣類の切れ端を誤飲していたそう。
「藤の口が届く場所には物を置かないように注意していましたが、お留守番中はフリーにしていたこともあって。病院で開腹手術をしました」。
その後、ママさんが妊娠し産休中になると、べったり甘えるように。それまでは一緒に過ごす時間が短かったので、藤くんが抱えていた寂しさを実感したそうです。
里帰り出産には藤くんも同行。初産のママさん、娘さんを出産後は、慣れない育児と生活リズムや体の変化などで情緒不安定に。自室にこもり泣き続けていました。
藤くんはというと、突然現れた赤ちゃんとママさんの変化にソワソワ。
そんな藤くんを、初めての育児で手一杯だったママさんは充分に構ってあげることができなかったため、ご両親にしばらく預けることを決意。
ところが、預けた実家では、夜中に暗い家の中をウロウロしたり、遠吠えのように鳴いたり……。
ママさんがいないことで、藤くんのメンタルは不安定になってしまったのです。
「私の生活が落ち着き、藤と再び一緒に暮らすようになったら、娘が泣くと藤が走ってきて“赤ちゃんが何か言ってるよ?”って教えてくれるようになりました」と、頼もしいお兄ちゃんになってくれたそう。
その後、ママさんが仕事に復帰するタイミングで、藤くんは再び、実家で見てもらうことに。
「娘のおもちゃを誤飲して、内視鏡手術になったことがあって。お留守番は寂しがるし、再び誤飲する心配もあったため、すぐ近所に住む家族にお願いしました」。
今は10歳になった娘さん。しかし藤くんは今でも“妹を守る兄”という意識が強いそうです。
「藤はクールで、玄関へのお出迎えやお見送りは気分次第。だけど娘のときはベッドから起きてきます。
私が抱っこするのは嫌いでも、娘がギューッとするのは嫌がらない。やっぱり特別みたいです(笑)」。
好物を食べない…!異変の原因は心不全
特に大きな怪我や病気もなく、今年1月に14歳の誕生日を迎えた藤くん。
つい先日、大好きなりんごを食べないので心配になり病院に行くと、初期の心不全と判明。肺に水が溜まっていたため、ICUへ。
この藤くんの入院で、家の空気は一気に沈みます。
「“藤がいなくなったら、こんなに寂しいんだね”って話しをしました」。
幸い発見が早かったので、すぐに回復。退院後、食欲旺盛でおやつをほおばる藤くんに、家族みんなが胸をなで下ろしました。
今は実家で暮らしているので、いつも家族の誰かしらが藤くんを見守っています。
ささいな異変でもすぐに気がつけば、病気を早期発見できることも。また家族や周囲の方の協力が得られると、急な体調の変化でも心強いですね。
ノーストレスと人とのふれあいが元気の秘訣
ママさんが考える長寿の秘訣は“ノーストレス”だそう。
「犬のストレスは、ひとりでいることだと思うんです。実家では私の両親に甘やかされてます(笑)」。
パピーのころから、人が大好きな藤くん。「娘の学校の友達が藤を見に来たりと、家族以外のいろんな人とふれあうことも、いいのかなって思います」。
ママさんは、一人暮らしで藤くんを迎えたことや、昔寂しい想いをさせてしまったことに、強い自責の念を感じています。
「お留守番が寂しいとか、病気やアレルギーのことも知らずに、かわいいからと迎えてしまい浅はかでした。
お散歩は毎晩行きましたが、帰る時間は遅かったし、休日も、いつも目一杯遊んであげるというわけにもいかず。
藤は家族で大事な存在なんだと、あのころの自分に言ってやりたいです」。
そんな後悔や反省から「二度と寂しい思いをさせない」と決めたそうです。
また、以前のお住まいはすぐ近くに動物病院があり、何かあればすぐに駆け込めたものの、減感作療法など「経済的な負担も大きかったです」とママさん。
ブヒを迎えるオーナーさんは、犬に費やす時間、そして怪我や病気をした際に必要な費用がしっかりと確保できるかについても、じっくり検討してみてくださいね。
長生きはしてほしいけど…今は幸せを願うだけ
「15歳を迎えると市で表彰されるので、まずは15歳が目標!」と言うママさん。
しかし「長生きしてほしいけど、藤が思うように動けなくなったり、苦しむ姿は見たくない」とも。
「ある日突然……というのも悲しいけれど、藤がお空に行くときは、なるべく楽に行けたらいいなと思います」。
愛情たっぷりのご家族に囲まれて、元気に暮らす藤くん。車でお出かけするのが好きで、車に乗るとウキウキとして笑顔を見せてくれるそう。
「みんなでレストランに行くのが好きみたいで、ずっと笑ってます」。
家族揃っての楽しい時間は、ひとり寂しくずっとママを待っていた小さい頃の藤くんが求めてやまなかったものなのかもしれません。思い焦がれていた家族団らんの時間が、ずっと続くといいですね。
取材・文/都丸優子
★「#レジェンドブヒ」で投稿お待ちしています!
フレンチブルドッグライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドブヒを探しております!
10歳を超えたブヒたちは、「#レジェンドブヒ」をつけてInstagramに投稿してみてくださいね。
編集部から取材のお声がけをさせて頂くかも!?
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