【犬に嫌われる行動】意外とやりがち!「愛ブヒにとって大迷惑なスキンシップ」3つ
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、知らないうちについついやりがちな“愛ブヒに嫌われるスキンシップ”を紹介します。愛情表現を示しているつもりが、逆効果だった…なんて悲劇を避けるために、ぜひ一読を!
目次
そのスキンシップ、愛ブヒに嫌われる原因になるかも!?
大好きな愛ブヒと、たくさんスキンシップをしたい! いっぱいナデナデしたいし、いっぱいギューってしたい、そして、触られて嬉しそうな愛ブヒの表情も見たい!
フレブルオーナーたるもの、そんな気持ちを抱くのは当然です。
けれど知らず知らずのうちに、実は愛ブヒにとっては嫌なスキンシップをしていることも。
そこで、いつも両想いでいたいと願うオーナーさんたちにぜひ知っておいてほしい、“愛ブヒに嫌がられるスキンシップ”の代表的な3つを紹介します。
嫌われるスキンシップ(1)寝ているのに構う
寝ている所を触りたくなる気持ち、よくわかります。だってだって、寝顔ってすごく可愛いですもんね。
しかし、寝ているブヒに触れることは、百害あって一利なし。なぜなら、睡眠中は動物の一番無防備な状態。その状態で触ることは、ブヒにとって襲われると感じることも。
寝込みを襲われた愛ブヒ”のよくある事故
・寝ている愛ブヒが寒そうに見えて、毛布をかけてあげたら、驚いた愛ブヒが、オーナーさんを攻撃した。
・愛ブヒが寝ている場所が、通り道で邪魔だった。抱っこして動かそうとしたら噛まれた。
・寝ている愛ブヒをなでたら(いつもは平気だったのに)、飛び起きて攻撃してきた。
などが挙げられます。
いずれも、オーナーさんだと認識して攻撃したと言うよりも、愛ブヒが「なにごと?!! 敵襲!?!?! 」と驚いて反撃したイメージです。
もちろん愛ブヒが、オーナーさんに優しくなでられながら眠りに入ったのなら、そのままなで続けても、大丈夫だったかもしれません。
また、愛ブヒがすでに深い睡眠に入っていて、オーナーさんのスキンシップに気づかない場合や、寝ているようで実は起きていて、オーナーさんに触られることを予測していた場合は、愛ブヒを驚かせないで済んだのかも知れません。
これはラッキーだったといえるケースでしょう。とはいえやっぱり、寝ている愛ブヒへのスキンシップは避けるのが吉。
もちろん、起きている状態の愛ブヒに「そばにいて。なでて」と甘えられたら、断る理由なんてひとつもありませんけどね♪
嫌われるスキンシップ(2)拘束した状態で触る
拘束した上でのスキンシップも嫌がられます。
「拘束? そんなことしていないよ」と思うかもしれませんが、これはトレーナーである私ですら常に気をつけているくらい、犬を飼っている人がついやりがちなこと。
拘束するとはどういうことでしょうか?
それは、リードや手を使ったり、壁際やコーナーに追い込むなどして愛ブヒが自由に動けない状態(逃げる選択肢のない)にすることです。
その状態でスキンシップを迫ったら、愛ブヒは逃げられず、拒否権がありませんよね。
<拘束している例>
・散歩中、知らない人が愛ブヒをなでようと近づいてきた。愛ブヒは触られたくないのにリードがあって逃げられず、なでられてしまった。
・カフェで店員さんが触ろうとしてきた。愛ブヒは後ずさりしたものの、壁があって逃げられずに、触られてしまった。
・抱っこした状態の愛ブヒを他人になでられた。
・オーナーさんが愛ブヒの顔を両手で押さえて、チューをした。愛ブヒは顔をそむけようとしたが、抵抗虚しく、力負けしてチューされてしまった。
どうでしょう。“拘束してスキンシップ”のイメージは湧きましたか?
私達人間は、愛ブヒが嫌がっても押さえつける力を持っています。オーナーさんが意識していなくても、愛ブヒが拘束された状態になってしまっていることもあります。
あなたが愛ブヒの拒否権を奪っていないか、常に意識をすることが必要です。
嫌われるスキンシップ(3)いきなり持ち上げる&抱っこ
これも、ついついやりがち。簡単に持ち上げられる大きさの犬と暮らす、全てのオーナーさんが気をつけるべきことです。
愛ブヒを、まるでバッグを持つようにひょいっと抱きかかえることは、愛ブヒを不快にさせてしまいます。さながら、大きなワシ(鳥)に連れ去られる小動物状態。
いきなり持ち上げられた愛ブヒは「急に触られたこと」と「急に宙に浮いたこと」に不安を覚えます。
すると段々と、抱っこの印象まで悪くなってしまいます。
愛ブヒの意識がこちらにないときは、声をかけるなり、手を見せるなりして、意識を向けてから触るようにしましょう。
さらに、抱っこをするときも、愛ブヒと息を合わせて、愛ブヒが不安定にならないように丁寧に抱きかかえましょう。
「ハラスメント」に気づいたら、即止める!
愛ブヒは基本的に、平和主義者。大好きなオーナーさんと、ケンカをしたくありません。
嫌なスキンシップを迫られても、めったやたらに噛みついたりはしません。
オーナーさんから顔を背けたり、目をそらしたりなど、小さな小さな感情表現で「イヤだよ、やめてよ…」を表します。
しかし、そのサインに気付いてもらえないと、嫌々ながらもスキンシップを受け入れるか、もしくは攻撃行動に発展するのです。
これって何かに似ていますね…。そうです、ハラスメントです。やった側は気付かないものの、やられた側は覚えています。
私たち人間が、愛ブヒの嫌な気持ちに気づかず、エスカレートすると…愛ブヒから「うーん、嫌いってほどではないんだけど…ちょっと苦手な人かな」認定されちゃいます。
また世の中には、愛ブヒから嫌がられるスキンシップをしていることに“気づいてない人”と、“なんとなく気づいているけれどやめられない人”がいます。
もちろん、どちらの人も愛ブヒを苦しめたくてやっているわけではありませんが、愛ブヒが嫌がるならば止めなければなりません。
止められるのは、スキンシップをしようとしている本人か、家族の誰かだけです。なぜなら愛ブヒ自身に人間を止めさせる=噛みつかせるのは、あまりに酷な話ですよね。
また、「今日の○○さん、しつこいけど許してあげてね」というように、ハラスメントを見て見ぬ振りをするのもNG。オーナーさんとの信頼関係が壊れます。
大げさに聞こえるかも知れませんが、愛ブヒを守れるのはオーナーさんだけということをしっかりと肝に銘じてください。
自分の行動を客観的に監視しつつ、他の人の愛ブヒへのハラスメントも見逃さないように気をつけていきましょう!
ポイントは、愛ブヒの声に耳を澄ます姿勢
結局の所、どんなスキンシップが嫌がられるのかは、そのブヒ次第。強めにガシガシ触られたい子もいれば、ソフトタッチが好きな子もいます。
また同じ子でも、その日の気分でお顔周りを触って欲しくないこともあれば、オーナーさんにお尻をくっつけて時間を過ごしたいときもあるでしょう。
大切なのは、“触る側”の要望ではなく、“触られる側”の希望を聞き逃さないこと。
愛ブヒたちの感情表現は、小さいため見逃してしまうかも知れません。しかし、少しでも愛ブヒの心を感じられるように、愛ブヒの声に耳を澄ましていきましょう。
その日々の積み重ねの先に、嫌われるスキンシップをするオーナーではなく、一緒にいて心からリラックスできる大好きなオーナーさんへの道があるのです。
こんなときは専門科に相談
スキンシップのときに威嚇されるものの、その理由がわからない場合や噛まれる場合は、獣医さんやプロのドッグトレーナーなどに相談しましょう。
解決しないままだと、オーナーさんも愛ブヒも、ストレスの高い状態に置かれてしまいます。
ドッグトレーナーに依頼をする場合も、そのトレーナーが家庭犬の攻撃行動に関しての知識を持っているか、家庭犬の行動修正の豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、数人のドッグトレーナーを比較しながら、オーナーさんがしっかり確認をするようにしましょう。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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