【取材】歯磨きでママが腫瘍を早期発見!14歳と10歳のレジェンド姉弟 #17らら&ぽん太
10歳を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog Life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。
今回取材したのは、14歳のららちゃんと10歳のぽん太くん、2頭のレジェンドブヒ。ふたりとも、お散歩が大好きという姉弟です。
目次
ららちゃんのプロフィール
年齢&性別
14歳の女の子
体重
6.2kg
大好きなこと
ドライブ。首回りのマッサージ。お風呂。
既往歴
10歳のとき、上顎の腫瘍を手術で切除しました。
ぽん太くんのプロフィール
年齢&性別
10歳の男の子
体重
13Kg
大好きなこと
ドライブ。ボール遊び。首回りやお尻のマッサージ。イヌ友さんが経営するカフェに行くこと。
既往歴
赤ちゃんのときに兄弟でかみっこをして、左耳が耳血腫。
6歳のときにヘルニア寸前の状態になり、9歳のときにも腰部ヘルニアの疑いがありましたが、自宅で安静にして治りました。
10歳で上顎に腫瘍。セカンドオピニオンを受けて切除
小柄でマイペースな性格のららちゃん(ブリンドル)は、14歳の女の子。やんちゃなぽん太くん(クリーム)は、10歳の男の子。
オーナーの山本さんと暮らす2頭ともが、10歳オーバーのレジェンドブヒです。
ららちゃんは、10歳のときに上顎に腫瘍ができました。歯磨きのときに、上顎が腫れているのをママさんが見つけたそうです。
そこで検査のため、上の前歯を抜歯して腫瘍を摘出。
病院の診断結果は、混合性エプーリスでした。これは、口腔内にできる腫瘍の一種。
ららちゃんの場合、良性とはいえ再発が起こりやすいとのことでした。
「かかりつけの先生が言うには、放っておくと腫瘍が増えていくらしいんですね。上顎を切除する手術や放射線治療を検討しなくてはいけないかもと言われ、最初はびっくりしました」
病状を詳しく把握するのと治療法を検討するために、腫瘍科の先生がいる病院を探して、セカンドオピニオンを受けました。
「その先生からは、それが原因で死に至るというよりは、ほかの病気になる可能性のほうが高いと言われて」
しかし、放射線治療は、高齢な体には負担が大きいいもの。
「10歳という、ららの年齢を考え、上顎を切除する手術や放射線治療は様子を見ることにしたんです」
ご長寿犬を見送った経験のある犬友さんたちにも意見を聞き、家族でもよく相談して出した結論でした。
今も歯磨きのときには口を。また、パピーのころに耳のただれがあったので、耳掃除のときには耳の中を、こまめに観察しています。
「抜歯した今は、口の中の様子がより見やすくなりました。腫れは少しありますが、出血はないし、物が食べにくいというのもなさそうです」(ママさん)
13歳の夏に1カ月近く軟便が続く不調も
去年の夏、ららちゃんが13歳のときには、原因不明の下痢と嘔吐もありました。
最初はステロイドの投薬治療をしたものの、まったく治らず。
かかりつけ医院が休みだったため、ほかの病院でセカンドオピニオンを受けることに。
血液検査の結果、内臓の疾患はなかったので、薬を抗生剤に切り替えたものの、1カ月近く軟便が続きました。
特に症状がひどかったときは「30分おきに、うんちを訴えに来るんです。急いで外へトイレに連れて行くと、水のような便が出ました。
それを繰り返したこともあり、もうダメかなぁと思いました」
心を痛める日々が続きますが、最終的には食物アレルギーによるものだという可能性もあることから、フードを獣医師に勧められた食物アレルギー療法食である『ロイヤルカナンのアミノペプチドフォーミュラ』に変えてみたそうです。
「療養食に変えたところ、1ヶ月ほどで軟便は治りました。
今は療法食は食べなくなってしまいましたが、また軟便になるのが怖いので、今も少し強引に食べさせています」
セカンドオピニオンを受けた病院の先生からは、「ステロイドは、使い続けると筋肉が落ちてしまう」と聞きましたが、投薬後のららちゃんは、下半身に力が入らないのか少しヨロヨロしていたそう。
今では毎日のお散歩のおかげか、足取りもしっかりしています。
「今後、ステロイドが必要になることもあるかもしれませんが、極力、薬に頼らずに頑張っていきたいですね」(ママさん)
6歳でヘルニアの疑い。絶対安静に
もうひとりのレジェンドブヒであるぽん太くんは、大きいワンちゃん相手にもひるまない強気な性格。
病院が大嫌いで、ふたりがかりで押さえていても診察台から飛び降りようとするほど。
そんなぽん太くんですが、6歳のある日、下半身がブルブルと震え始めて、そのうち顔も全身も震え出したそうです。
急いで近所の病院に行きましたが、先生には「原因がわからない」と言われてしまいました。
次の日も症状は変わらなかったので、紹介された別の病院に連れて行くことに。
すると、「ヘルニア寸前の状態だから絶対安静に」と言われたそうです。
「ぽんは階段の上り下りや、主人のベッドが大好きでジャンプしたりしていたので、全部禁止にしました」
しばらく安静にしていたところ、ヘルニアの症状は治まり。
その後も、普段どおりに歩けるようになりひと安心。
しかしそれ以来、ドッグランで思いきり走らせるのは控えています。
「去年も1回だけ同じように震えたことがありました。階段を上ってしまった後だったんです。でも、安静にさせて様子を見ていたら、幸い治りました」
アレルギーで毛が抜けたことも
ぽん太くんがまだパピーだったころ、ドッグランに行った後にアレルギー症状で毛が抜けてしまったことがありました。
ランに生えていた草かなにかに反応したと思われるので、症状が落ち着くまで草のあるところに行くのはやめました。
そして翌年、ためしに草の上に行ってみたところ、再発はなし。
「病院の先生が言うには、アレルギーへの抗体ができる場合があるそうです。
薬で治すオーナーさんも多いですが、私はブヒたちの自然治癒力も信じたいです」(ママさん)
足にイボができたり、歯が1本抜けたりしたものの、耳も目も丈夫だし、今はアレルギーもないぽん太くん。
10歳のレジェンドとなったいまも健康体です。
「パピーのころと比べたら大人しくなりました。でもテンションが上がると、手に追えません(笑)」とママさんが言うように、年齢を感じさせないほど今日もパワフルです。
食が細いららちゃん。食い渋り問題も、ママの試行錯誤で解決
基本のフードは、ロイヤルカナンのフレンチブルドッグ用。
「ららがまだパピーだったときに、試食販売で勧められたんです。“ロイヤルカナンを食べているワンちゃんは統計的に長生きしている”と聞いて、こちらのフードに決めました」
療養食フードのほうは食べたがらないので、ママさんがひと粒ずつ手であげています。
指で口に直接入れて、ほっぺをを支えてモグモグさせるそうです。
「ちょっと嫌がるけど、仕方ないかな。飲み込んだら、いいこいいこしてあげて(笑)。
それを5粒くらい食べさせてからロイヤルカナンをあげてます。
ららは元々食が細かったのですが、一度おなかを壊してから、ごはんの食いつきが良くありませんでした。
ららのペースを見ながら試行錯誤し、今では1日2回、だいたいお散歩後や公園であげると食べてくれるようになりました。
きっと腸が動き出して食欲が出てくるのかもしれません」
おやつには、ららちゃんが好きなキュウリやキャベツ、ブロッコリー、かぼちゃ、お豆腐も。
ぽん太くんは好き嫌いがないので、ららちゃんの好物を一緒に喜んで食べているそうです。
長生きの秘訣はイヌ友さんとの交流と、よく歩くこと!
ママさんが考える長生きの秘訣は、「とにかく歩くこと!」。
夏でもお散歩は1日3回。早朝にパパさんが公園へ連れて行き、午後はママさんが自転車に乗せて公園へ。
暑い時期は「保冷剤をいっぱいつけて、あまり走らせないようにしたり、木陰で涼んでます」と、熱中症対策もバッチリ。
中でもららちゃんは、夜のお散歩が大好きなようです。
「夜になると走るんですよ! びっくりですよね(笑)。
周りの犬友さんたちも、みなさんよく歩いていますね。それに公園で会うほかのワンちゃんたちとの交流が、刺激になっていてよいと思います。
他のワンコに会えたときは、ブヒたちのテンションが上がるので」
最近のららちゃんは、なぜか初めて会うワンちゃん、特に女の子に吠えるようになりました。
「昔はなかったのに。まるで口うるさいおばあちゃんですよ(笑)
小さいころからわがままで、大人になってからはさらにマイペースが加速したんです」
ギャルと張り合うのは、気持ちが若い証拠! なのかもしれませんね。
ぽん太くんは、イヌ友さんが経営するカフェに行くのが大好き。
自転車に乗せると超ゴキゲンで、「ワウワウ~♪」と、まるで歌うように喋り続けるそう。
「すれ違う人の注目を集めるので、恥ずかしいからやめてほしいんですけど……(笑)」(ママさん)
お出かけによる刺激も、健康の秘訣かもしれませんね。
ぽん太くんを迎えて憧れの多頭飼いに
ママさんは子どものころに犬を拾ってきたことが2回もあるほどのワンコ好き。
ららちゃんとぽん太くんのほかに、今はダックスのまるちゃん(8歳)もいます。
ご近所に多頭飼いのオーナーさんが多く、その姿を目にするたびに「楽しそう」という気持ちは強くなり、ららちゃんが4歳のころ、ぽん太くんを迎えました。
しかし当初は、やんちゃ坊主だったぽん太くんに手を焼いてばかり。
「すごく暴れん坊でしたね。ケージに入れてましたが、暴れて壊して……。
ぽんはやさしい性格で他犬に攻撃はしません。
だけど、パピーのパワフルさは、ららにしてみれば、最初はうっとうしかっただろうなって思います(笑)。
ららが嫌がるので、ぽん太をケージから出すようにしたら、ふたりとも落ち着いて過ごせるようになりました」(ママさん)
多頭飼いになったことで、先住犬のららちゃんにも嬉しい変化が。
「私たちが留守にしている間に、椅子や机などいろんなところをかじったりしてたんですが、ぽんが来てからは、しなくなりました」
ぽん太くんはららちゃんが大好き。
ららちゃんとぽん太くんは、あとからやってきたダックスのまるちゃんとも仲良しです。
「ぽんはベタベタしてくる甘えん坊なので、寝てるときも、ららにくっついていたり。
ららは、あんまり好きじゃないのかもしれないけど(笑)」とママさんは、冷静にふたりの関係を観察しています。
そんなママさんがいま、レジェンドブヒたちに望むことは、ただひとつ。
「元気に長生きしてほしい。ずーっと生きててほしいです!」
長寿の秘訣はよく歩くことと語っていたママさんですが、それだけでなく、毎日のケアでしっかり我が子を観察すること、そしてセカンドオピニオンの重要性も十分に理解されていると感じます。
その姿勢も、2頭のブヒたちがレジェンドになれた理由かもしれません。
まずは自分がしっかり、我が子を見守ること、そして愛ブヒに合った治療法を見つけてくれる先生との出会いを、あきらめずに探していくこと。
それが大切だと気付かされた取材でした。
取材・文/都丸優子
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