【取材】筋トレに励む16歳のフレブル!健脚は鍼灸や漢方のある暮らし#73クリコ
10才を超えても元気なブヒを、憧れと敬意を込めて“レジェンドブヒ”と呼んでいるFrench Bulldog life。その元気の秘訣をオーナーさんに伺うのが、特集『レジェンドブヒの肖像』です。今回取材させていただいたのは、元旦というなんともおめでたい日に生まれたクリコ、16歳。13歳まで大型犬とプロレス遊びをしていたというお転婆な彼女は、なんと現在も走ることもある健脚の持ち主。少しずつ弱り始めた後ろ足を鍛えようと、今なお筋トレに励んでいるスーパーおばあちゃんブヒなのです。
クリコちゃんのプロフィール
年齢&性別
16才の女の子(2008年1月1日生まれ)
体重
12.5kg(若い頃から12kg前後をキープ)
大好きなこと
若い頃は遊ぶのが大好き。今は散歩で犬友さんからもらうおやつが生きがい。
既往歴
・8歳 乳腺腫を除去するため50針以上を縫う大手術を受ける
・10歳 膀胱炎を繰り返すため鍼灸治療を本格的に開始
・13歳1月 心臓の採血で10000以上の計測不能結果が出たため大学病院で精査するも原因は見当たらず
・13歳6月 急性肝炎と胆嚢炎を発症。半年の間ステロイドなどを用いて治療。現在も利胆薬を服用。乳腺腫が再発するも年齢を考慮し、腫れなどがあればその都度薬で対応
・16歳 認知症の症状が出始め漢方薬を服用開始
4歳からメンテナンスとして鍼灸を開始
クリコの大好きな場所は、ご近所の犬たちがいつも集まる公園。
大型犬のお友達が多かったせいか、小さな頃から自分よりも大きな犬に臆することなく近づき、プロレスをして遊ぶのが大好きだった。
オーナーの福田さんいわく「もはやお転婆を通り越しています」と断言するほどに活発で、すでにレジェンド年齢に達していた13歳頃まではプロレス遊びに興じていたそう。
「とにかく激しく遊ぶので顔周りや目の怪我はしょっちゅう。おかげで私は目薬を点すのがとても上手になりました(笑)。
ありがたいことに皮膚疾患やアレルギーもなく過ごせているのですが、ヘルニア予防にと、4歳の時に知人の勧めで鍼灸治療を数ヶ月に1度受けるように。
施術1回目で動きに大きな変化があり、これは良いぞとメンテナンス感覚で取り入れ始めたんです。
そのおかげと持ち前の体力のせいか、8歳で患った乳腺腫の手術時には50針も縫ったものの、入院していた病院でご飯を食べないからと予定より早く退院し、通院でしっかり傷も回復しました。
本格的に鍼灸を取り入れたのは、10歳でなった膀胱炎の時からです」(福田さん=以下「」内同)。
繰り返す膀胱炎のため4ヶ月の間抗生剤を使ったものの、投与するうちに薬の効果が薄れはじめたそう。
そこで免疫力を上げるのが良いのではと考え、近隣にある東洋医学獣医を訪ねた。
「鍼灸治療の開始と同時期に膀胱炎の菌が検出されなくなったので、薬と鍼灸のどちらが効いたのかはわかりませんが、しつこかった膀胱炎の再発は無くなりました。
鍼灸は触診の後に数カ所針を打って背中や腰にお灸をするのですが、冷えも改善されたように思います。そこから13歳になるまでは、相変わらずお転婆でしたね」
突如訪れた不調には手作り食で抗う
すでにシニアながら大型犬相手に走り回っていたクリコだが、13歳になったのを機に一度詳細な検査を受けることに。
その際に心臓の血液検査結果で異常に高い数値が出たため、一時は激しい運動を止められたそう。
しかしエコーなどで調べるも悪い箇所は見当たらず、結局3度血液検査をするも数値は高いまま。
心配した福田さんは二次診療専門病院を訪ねた。
「それが、二次診療先でも原因は不明でした。聴診やエコーでも問題なく雑音もない。
その後運動は解禁したのですが、今もあの数値は謎のまんま。
そこから半年くらいして、ちょうど梅雨入り頃でしょうか。食欲が落ちはじめたので季節性のものかと思ったのですが、ある夜に一晩中パンティングをして…。
熱中症を疑い夜間診療に駆けつけたら肝臓と胆嚢の数値が高く、すぐエコーを撮ることに。
急性肝炎と胆嚢炎との診断で、ステロイドや抗炎症剤、食欲を促す薬などで治療したものの、体力が落ち10日くらいは食べても吐き戻してばかりでぐったりとしていました。
お散歩もほとんど行けず毎日病院に通い、体重も一気に落ちたので、これはいけないと。なんとか体力をつけてもらおうと食事を見直したんです」
その頃のクリコは大好物だったささみや砂肝でさえ少し食べるのみで、福田さんはあらゆるフードを買い込んで試行錯誤した。
そんな中で作った雑炊をよく食べてくれたため、そこから手作り食に力を入れるように。
「鶏のスープに卵とご飯で雑炊を作り、そこに鰹節をトッピングしたら、再び食欲が戻ったんです。
クリコの体には何が良くて何が合わないのかを試しながら作る中で、油物を受け付けないことに気づきました。
わが家はドライフードに手作りトッピングが基本ですが、薬膳的なアプローチも取り入れています。
例えばクコの実やナツメ、旬の野菜を使い、夏は体を冷やす野菜類を、冬はラムや鹿肉など体を温める食材をよく使っています。
季節やその時の体調に合わせて作るので、胸焼けしているときは大根やカブを加えることも多いですよ。
今も薬は続けていますが、それ以来肝臓の数値は高いものの、症状は落ち着いています。
クリコに年齢の影響を感じたのは、15歳くらいからでしょうか」
衰えつつある体力を散歩でカバー
若い頃は毎日のように10km近く歩いていたというクリコ。
今も介護は不要、ご飯もしっかり自分で食べるが、15歳頃から散歩中に疲れが見えることが増えた。
「歩きながら休憩することが増えましたが、今も毎日散歩に行っています。
以前のようにプロレスはしないけれど、いつもの公園で犬友に会い、そこでおやつをもらう時間がクリコの一番の生きがい。
その時はイキイキとして瞳が輝くのがわかるので、日に1回は必ずイキイキタイムを作ります。
公園までは歩いて2kmくらいの距離ですが、時間をたっぷりかけて歩いたり、近頃は途中自転車のかごに乗せることもあります。
けれど公園の手前にある上り坂は必ず自分で歩かせ、筋肉トレーニングは欠かしません。
かつての筋肉貯金と筋トレの成果か、走りやすい草の上だと少しの距離ながらも走るんですよ。
14歳の歳秋頃から通いはじめた整体で筋肉をほぐすようにしていますが、整体後は走っている時に手足がちゃんと伸びるのがわかります」
鍼灸に整体、筋トレと食のケアまで、福田さんがここまで手をかけるのには大きな理由がある。
「この子たちの楽しみを考えた時、やっぱり食べることと散歩が大きいと気づきました。
そこはなるべく満足できるよう、かつこの先も長く楽しめる体でいてほしいんです。
今は少し認知症の傾向が出ていますが、まだ体を動かしたがっているので、動けるうちから車椅子の導入も検討中です。
寝たきりにはさせたくないしおむつもなるべく最後までしたくない。そこはクリコの動きたい気持ちと快適さを優先していきたい。
あと、私たち夫婦は大雑把な性格だから、のびのびと育ったのでストレスは少なかったかもしれないですね」
昨年の秋頃から急によく眠るようになり、今思えばそれが認知症の予兆だったかもと教えてくれた福田さん。認知症のケアには漢方薬を取り入れている。
「夜に目が覚めるとそこから寝ず、周囲を徘徊するように。一時は深夜から明け方まで部屋をウロウロしていました。
病院で相談したらヒスタミンやステロイド、精神安定剤などを勧められましたが、これらを使うと日中の活動も緩慢になると言われたので、東洋医学の先生に相談して日中の活動に影響のない漢方を処方してもらいました。
3ヶ月くらい飲ませていますが、夜中にウロウロする時間が短くなり、耳や表情から緊張がほぐれているのがわかります。
こうしてなるべく負担の少ないものを試しながら、まだこれからも一緒にお散歩を楽しむのが今の願いなんです」
16年前に初めて家に迎えた日のクリコは「やる気満々な顔つきをしていた」らしい。
そのため当初用意していた愛らしい名前は却下し、家族になったお祝いにと用意していたシャンパンから急遽「クリコ」と名付けた。
まるでポーンと勢いよく飛び出すコルクのように、クリコはまだまだレジェンドの日々を駆けていくはずだ。
取材・文/横田愛子
★【取材させて!】10歳以上の「レジェンドブヒ」を大募集!
フレンチブルドッグライフでは、取材にご協力頂けるレジェンドブヒを探しております。
10歳を超えたブヒたちは、エピソードを添えて、アンケートからご応募ください。
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