2022年10月17日7,441 View

【散歩コース】毎日変えるorいつも同じ…どっちが正解?理想のコースを「パピー・成犬・シニア」別に解説

国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、散歩コースについて。多くの犬にとって最大の楽しみである“散歩”が、もっと楽しくなるための散歩コース選びについてレクチャーします。

フレンチブルドッグ,しつけ

あなたのおうちは、どんなお散歩ですか? 

フレンチブルドッグ

Anastasiya Tsiasemnikava/shutterstock

 

あるブヒオーナーさんから、お散歩についてこんな質問がありました。

 

「散歩コースは毎日変えたほうがいいのでしょうか? 

 

神経質な子なら規則正しいコースのほうがストレスにならないとか、シニアだと刺激を与えるために違ったコースを選んだほうがいいとか、決まりはありますか?」

 

大好きな愛ブヒに喜んでもらうためにも、理想のお散歩コースは気になるところですよね! そこで今回は、愛ブヒ目線でのお散歩コースの選び方について紹介していきます♪ 

 

お散歩は運動だけでなく、気分転換!

フレンチブルドッグ

Gryllus M/shutterstock

 

お散歩は、愛ブヒにとって大切なリフレッシュの時間です。もちろん“運動”の意味合いもありますが、それよりも大切なのは、家の中で感じられない外の刺激を浴びて、“気分転換”をすること。

 

みなさんのご想像通り、ちゃきちゃき歩いてエクササイズをするだけが、お散歩なのではありません。風を感じたり、匂いを嗅いだり、道草を食うことも、ブヒたちの大切なリフレッシュの時間です。

 

そんなブヒにとって大切な、気分転換の時間(=散歩)をどう演出するかは、オーナーさんの腕の見せ所。

 

みなさんも、素敵なお散歩の時間を通して、愛ブヒに幸せな時間を提供したいですよね。お散歩でハッピーな時間を共にした分だけ、愛ブヒから見たオーナーさんの株も、うなぎのぼりです!

 

お散歩コースの選び方:パピー編

フレンチブルドッグ

tsik/shutterstock

 

では、どのようなお散歩をしたら、愛ブヒに喜んでもらえるのでしょうか? 大まかに、年齢別にお散歩コースの選び方を考えてみましょう。

 

まずはパピー。子犬の頃は、世界中が知らないものだらけ。これからの人生で出逢ういろいろなものに慣れていくための重要な時間です。

 

だからこそ、社会化(人間社会のいろいろなものに慣れること)を進める散歩をしていきましょう。

 

※社会化の進め方について記事はこちらを参照ください→「え…社会化したのにイイコにならない!? よくある「社会化の勘違い」とは 【社会化を学ぶ Vol.1】

 

たとえば、どのようなことかというと、

・ワクチン完了前は、地面に下ろさずに抱っこやカートで散歩

・短時間(数十分程度)で、1日に何回も行く

・いろいろな物や人、音、匂いと出会える場所に行く(学校のそば、階段、工事現場、踏切、車やバイクの多いところなど、なんでも!)

・新しいものと出会う度に、ごはん(ふやかしたフードなど)を与えて良い印象を持ってもらう

・苦手な場所は無理強いしない。何日もかけてブヒ自身が自分から進む状況を待つ

 

要するに、パピーの頃は、お散歩コースがどうというよりは、パピーにいろいろな刺激と出逢ってもらうことが優先です。

 

散歩コースを決めるよりは、「世界ってこんなに楽しいんだよ♪」ということを、オーナーさんが紹介していく時間が散歩だと考えましょう。つまり、コースより、散歩の内容重視!

 

おっかなびっくり腰が引けていたパピーが、自分で楽しそうにスタスタ歩いて行くようになれば、この時期の散歩の目標はクリアです! 

 

お散歩コースの選び方:成犬編

フレンチブルドッグ

Zanna Lecko/shutterstock

 

成犬になってくると、好き嫌いも、やりたいやりたくないも、より一層ハッキリと主張が出てきます。

 

「こっちの道に進みたい!」とか「あの公園に行きたい!」など、なかなかオーナーさんの独断で散歩道を決められなくなってくるでしょう。

 

匂い嗅ぎばかりで、なかなか前に進まないというお悩みの人も多くいます。

 

※匂い嗅ぎばかりでお散歩にならないと言うお悩みについてはを参照ください→「【すんすんしてばかりで散歩が進まない…】におい取りはどのくらいさせるべき?犬にとってのリフレッシュタイム「すん活」の正しい方法3つ

 

しかし、これこそ成犬との散歩! お散歩は、オーナーさんと愛ブヒのデートでもありますから、どちらかが一方的に、相手に付き従うものではありませんよね。

 

あーだこーだ言い合える仲になったのは、家族の証拠。愛ブヒと一緒に相談しながら、お互いの都合も考えつつ、散歩をする必要があります。

 

そういった点から考えると、お散歩コースは、オーナーさんと愛ブヒ両方で決めていくことになります。

 

例えば、私は飽きやすい性格なので“新しい散歩コースを開拓する”のが好きです。

 

しかし、私の愛犬はそこまで新しいものは求めておらず、“数パターンの散歩道を、その日の気分で設定する”傾向があります。

 

私は新しい道に誘ってみますが、愛犬は自分の決めた方に行きたがります。

 

しかし愛犬が行きたがる道に進む方が、愛犬が安心しているように見えるので、大体は私が折れ、愛犬の望む道についていきます。

 

しかしたまに、私の誘う新しい道に愛犬がついてきてくれることも。ホント、たまにですが(すごく嬉しいです)。

 

長年一緒に過ごす中で、我が家はこのスタイルに落ち着いてきました。

 

他の家の例も紹介します。とある愛ブヒ家ママさんの話です。

 

抱っこばかりせがんでくる(重いのに)愛ブヒとの散歩は、お決まりのルートで、終始抱っこ。公園まで行くと抱っこから降ろし、大ハッスルして遊び、そのあとはまた抱っこで帰るそうです。

 

しかしこのブヒ、実はパパさんとの散歩だと、一切抱っこはせがみません! コースもコロコロ変わり、終始ごきげんに歩き続ける&ダッシュなのだそう。

 

不思議ですよね。同じブヒなのに、デート相手(お散歩相手)によって、キャラが変わるんです。

 

誰と一緒にいるかによって、愛ブヒも散歩スタイルが変わります。

 

よく話を聞いてみると、そのママさんは「抱っこ、重い〜!」言いながらも、愛ブヒを抱っこしているときがすごく幸せそう。

 

そしてパパさんは、愛ブヒと一緒に走る瞬間を何よりも楽しいと感じているようでした。

 

愛ブヒ側も、ちゃんとオーナーさんの喜ぶ様子を見て動いてくれているんですね。

 

要するに、「お散歩のコース」が大切というよりは、「どうしたら一緒にお散歩が楽しめるか」が大切なのです。

 

愛ブヒが楽しいと思う散歩のルートを徹底的に追求して、時間の限り愛ブヒの好きな道を歩く散歩コースだっていいでしょう(もちろん、安全確保の上ですが)。

 

でも、オーナーさんがつまらなすぎて、歩きスマホをしちゃうほど退屈な散歩コースになるくらいなら、オーナーさんの行きたい道を採用する必要だってあるでしょう。

 

お散歩は毎日のこと。だからこそ、どちらかが我慢し続ける散歩ではいけません。

 

もちろん、基本は愛ブヒの気分転換のための時間ですから、愛ブヒの希望を多く取り入れた散歩がいいでしょう。

 

しかし、オーナーさんが楽しい時間をともに過ごせることも、忘れずにいたいですよね。

 

お散歩コースの選び方:シニア編

フレンチブルドッグ

Csilla Peter/shutterstock

 

シニアになってくると、またいろいろな変化があります。

 

例えばうちの子は、ゴミ収集車の音が大の苦手で、そのルートは外していましたが、耳が遠くなってからは何食わぬ顔で収集車の横を素通りします。おかげで、お散歩コースが広がりました。

 

このように、シニアになると、体と心の面で大きく変化がありますから、今までの散歩スタイルと変わるところも出てくるかも知れません。

 

例えば、シニアとのお散歩ではこんなことに気をつけましょう。

 

・寒暖差に弱いので、防寒をしたり、夏は外に出る時間に注意

・家で寝ている時間が増え、散歩に行って良いものか迷うが、外に出て刺激を受ける習慣は無くさないこと

・歩くのを嫌がるときは、無理に歩かせなくても、カートや抱っこでも良い

・出掛けに身体のウォーミングアップが必要(例えば、冬の朝いきなり早く歩けない。少しあたたまると、歩くスピードがアップする。事前に家で身体を触ってほぐしておくのも◎)

 

成犬と同じく、シニアもお散歩コースは常に愛ブヒと相談しながら決めてください。

 

しかし、シニアになると、若い頃より出来ることの制限が狭まる分、お散歩コース選びも、愛ブヒに譲ってあげる場面が増えるでしょう。

 

シニア犬との散歩時間は、その年まで散歩に行けるほど元気に生きてくれる日々に感謝し、愛ブヒ孝行をする時間です。

 

ぜひ、愛ブヒの好きなお散歩コースについていってあげてください。

 

途中で疲れたなら、抱っこで帰ってきてもいいでしょうし、張り切り過ぎているなら、まめに水を飲ませたり、日陰で休んだりしつつ、愛ブヒの体を守りましょう。

 

しかし、心配だからと守ってばかりではなく、新しい遊びやお散歩コースにお誘いするのも大切です。

 

日本の元気な高齢者の皆さんも、慣れないスマホを使いこなしたり、SNSでバズらせたり、日々自己鍛錬をし続けていますよね。

 

愛ブヒも、歳をとったってココロはいつも若者です。愛ブヒが楽しんでくれそうなこと、好きそうなことは、どんどん誘ってみましょう! 

 

お散歩スタイルは「愛ブヒ✕オーナー」の数だけある! 

フレンチブルドッグ

Liukov/shutterstock

 

ここまで読んでくださった皆様ならもうお分かりの通り、お散歩は愛ブヒとオーナーさんが笑顔になれるものなら、こうじゃなきゃいけないという決まりはありません。

 

人間同士のデートやお出掛けに決まり事がないように、散歩だって「愛ブヒ✕オーナー」の数だけスタイルが合って良いのです。

 

コースを決めたほうが楽しく過ごせるなら、決めたって良い。自由気ままなスタイルが合うなら、それでも良いのです。

 

1日に7回、決まったコースを巡回するポメラニアンとおじいさんのペアもいます。

 

1回の散歩で数時間、カフェにも寄りつつ街中を開拓して歩くトイ・プードルとママさんのペアもいます。

 

平日は淡白な散歩になりつつも、週末には丸一日ロングお出かけをするブヒファミリーもいます。

 

散歩は素敵なデート。どうぞ愛ブヒと相談しながら、おうちごとにやり方をアレンジして、楽しく過ごしてくださいね。

 

周囲に迷惑をかけなければ、お散歩はいつだって自由なのです! 

 

こんなときは、専門科に相談

フレンチブルドッグ

Pavel1964/shutterstock

 

楽しく出来ていたはずのお散歩が、なんだかうまく行かなくなってしまったとき。

 

愛犬の問題行動によって、お散歩に出ることが苦痛になってきてしまったとき。

 

どんな小さな事でも、不便や困難を感じたら、どうか一人で悩まずに、獣医師や、トリマー、ドッグトレーナーなど、専門家に相談をしましょう。

 

お散歩は毎日のことです。問題を先延ばしにせず、少しでも早く解決して、笑顔の日々を取り戻しましょう。

 

ドッグトレーナーに依頼をする場合も、複数人と面談するようにしましょう。

 

そして、そのトレーナーが、愛犬の犬種や個性、家族の考え方に合う、散歩の方法を設定することの知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが確認をするようにしましょう。

 

PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純

PERRO株式会社 代表取締役 
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純

米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー

日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。

 

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