フレンチブルドッグの現在地。伝えられないマイナスの情報も知ってほしい。
この記事を書いているのは2022年の暮れで、現時点でフレンチブルドッグはとても人気が高い犬種です。一般社団法人ジャパンケンネルクラブ(JKC)が毎年犬種別犬籍登録頭数を発表しているのですが、この最新版では我らがフレンチブルドッグが堂々の5位。かつてはコアな犬好きが選ぶ珍しい犬種というイメージだったフレブルが、ここにきて俄然人気となっています。果たしてこれは良いことか、それとも一概に喜べないことなのか。フレブル愛の強い私たちとしては、改めてこの人気を考えたいと思うのです。
人気=飼いやすい、ではない。

Lesya Pogosskaya/shutterstock
ちなみにこのランキング、1位はトイプードル、2位チワワ、3位ミニチュアダックスフンド、4位がポメラニアンとなっており、なるほど、上位の犬種を見れば散歩で遭遇する機会の多い犬種が中心。
もちろん同じ犬種でも性格はそれぞれだから個体差はあるものの、フレブル以外は小型でさほど運動量を必要としない犬種が大半です。

Kittibowornphatnon/shutterstock
毛が抜けにくいとか仮に暴れても抱っこしてその場をやり過ごせるなど、超小型〜小型犬には確かに「飼いやすい」という印象がありますね。
しかしフレンチブルドッグはどうだろうと考えた時に、飼いやすさとは正反対の犬だってことをすでにオーナーである私たちはよく知っています。

Vasyl Kravchenko/shutterstock
性格的にはおっとりな子も多いものの、力強いパワーと興奮スイッチが入った時のテンション、それなりに必要な運動量、何より病気リスクや先天的疾患の多さ。
性格的なもの以外のケアの必要度は数多の犬種の中でもトップクラスと言え、それゆえに英国などでは鼻ぺちゃ犬のブリーディングに対して獣医師が警告を出すまでに至っているという事実。

Marina Kadyrova/shutterstock
フレンチブルドッグが人気犬種となって以降、この事実を理解して迎えているオーナーさんはどのくらいいるのでしょうか。
筆者がフレブルを迎えた8年前、まだフレブルはペットショップであまり見かけませんでした。
迎えるために方々のブリーダーさんを探し、どんな犬なのかを徹底して調べたことや先輩ブヒオーナーさんが綴るブログを片っ端から読み漁ったことを今も覚えています。
伝えられていないマイナスの情報。

Bussakorn Ewesakul/shutterstock
信頼できる犬舎から迎える場合を除き、多くのペットショップがフレブルに関する重要な情報を100%伝えないままに“命の販売”をしていると感じます。
はっきり言えば、遺伝性疾患や先天的疾患、病気リスクといったマイナスの情報を示すことなく販売している。
これは筆者自身がペットショップなどに足を運びフレブルを発見した際に、店員さんと交わした会話からの実感でもあります。

photostocklight/shutterstock
もちろんお店は商売なので良い面をアピールする必要があることを理解しているし、扱う商品が時とともに成長するものだけに「若く高く売れる時期」を逃したくないことも分かっています。
けれどその商品が命だからこそ、「本当にこの人はこの犬種を生涯にわたって飼えるのかどうか」を見極めて欲しいなとも思うのです。

hypersoulz/shutterstock
けれど商売である以上、これを望むのは難しいでしょう。
代わりに、迎える側に正しい情報を得る努力をして欲しい。
今はスマホで検索すればあらゆる情報が手に入る時代だから、可愛い、飼いたい! と思ったらどんな犬なのかを徹底して調べてください。
もちろんちゃんとしたブリーダーさんを探すことも含めて。

Yakovenko Maksim/shutterstock
もしこうして知識を得たうえで迎えるオーナーさんが大半なら、正直ここまでフレンチブルドッグの飼育頭数は増えていないと思います。
実際ブヒ連れで出かけた先で最近フレブルを迎えた人と話す機会がありますが、アレルギーや先天的な疾患に話題が及ぶと「え、知りませんでした」と言われることが増えています。
これって、ちょっと怖いな。そう感じるのは筆者だけでなく、フレブル愛の強い人全員ではないでしょうか。
迎えたからには手放さないで!

Sbolotova/shutterstock
知識なく迎えてもその後情報を得て良きブヒオーナーとなる飼い主さんはたくさんいます。
でも「思っていたより大変」という理由で手放す人も決して少なくありません。
だから里親募集のサイトには、いつだって悲しそうな顔のブヒたちが並ぶのです。

chaowalit jaiyen/shutterstock
フレブルに限らず、生き物を迎えると常に想定外の出来事が起こります。
しつけから病気、怪我にイタズラまで予想の遥か斜め上のことが日常的に起き、その都度大変だと肩を落としたり。
だからといって手放すという選択はありません。
それは命を捨てるってことで、手放された子たちに次の飼い主が現れなければ、その先に待つのは殺処分。

bozsja/shutterstock
もしこれが自分の子供だとしたら、お世話が大変だからと捨てますか?
種族は違えども命の重さは同じで、何より一度は迎えたいと切望して家族となった存在。
もしあなたが新米オーナーで日々愛ブヒに振り回され悩んでいるなら、もう一度迎えた日の気持ちを思い出してみてください。
そのまあるい存在は、いつしか成長し注ぐ愛が深いほどに最高のパートナーになってくれるのです。

PongMoji/shutterstock
そしてこれからフレブルを迎えようと思っている方は、どうかフレンチブルドッグについて知ってください。
良い面だけでなくマイナス面があること、そのマイナス面をカバーするには多くの愛情と時間とお金が必要なこと。
それを踏まえた上で迎えるのなら、絶対に素敵なフレブルオーナーさんになれるはずです。
おわりに

VDB Photos/shutterstock
未来の愛犬を探す時に「人気犬種だから」という理由で選ぶことに疑問を感じます。
人気なんてものは入れ替わりが激しく、翌年にはかつて人気だった存在が忘れられているのもよくあること。
今、フレブルが置かれている状況は愛ブヒ家にとって心配と不安をはらんだ状況です。
人気ゆえに無理なブリーディングが行われることも危惧していますが、その結果悲しい思いをするフレブルが増えないことを望むし、どの子も生涯幸せに暮らしてほしい。
いつの日かフレブルを相棒に選ぶ全ての人がこの面白おかしく愛おしい犬種を理解し、その全部を受け入れた上でフレブルを人生のパートナーとして迎える日が来ることを願っています。
こちらの記事も合わせてチェックしてみてくださいね。
おすすめ記事
-
【インタビュー】ロッチ中岡〜そのフレブル愛、ガチ中のガチ。隠れブヒラバーが語る、細かすぎる魅力とは〜【前編】
みなさんが愛犬家ならぬ“愛ブヒ家”として思い浮かぶ芸能人といえば、草彅剛さん、レディー・ガガさんなど、フレブルを飼っている方が多いと思います。が、ロッチ中岡さんも、じつは大のフレブルラバーだというのをご存知ですか? フレブルを飼っていないのにもかかわらず、中岡さんのインスタグラムを覗くと、たくさんのフレブルアカウントがフォローされていて、わが『FRENCH BULLDOG LIFE』モデルのnicoやトーラスも、その中の一頭。
そんな中岡さんに、フレブルの魅力を語っていただきました。そのブヒ愛っぷりは、思ってた以上! ガチ中のガチでした!?
取材 -
【取材】9歳で脳腫瘍を発症し「4年7ヶ月間」生存。フレンチブルドッグ・桃太郎の奇跡と軌跡
愛犬が「脳腫瘍」と診断されたとき、言葉にできない絶望感を味わうことと思います。筆者も脳腫瘍で愛犬が旅立ったひとり。だからこそ、どれほど厄介で困難な病気かを理解をしているつもりです。「発症から1年生存すれば素晴らしい」とされるこの病気。
ところが、フレンチブルドッグの桃太郎は9歳で脳腫瘍を発症し、なんと4年7ヶ月間も生き抜いたのです。旅立ったときの年齢は13歳と11ヶ月、レジェンド級のレジェンドでした。さらには、治療後3年間は一度も発作が起きなかったといいます。
この事実はフレンチブルドッグだけでなく、脳腫瘍と闘う多くの犬たちに勇気と希望を与えるに違いありません。桃太郎のオーナーである佐藤さんご夫婦に、治療の選択やケアについて詳しくお話しをうかがいました。
取材 -
【愛ブヒの旅立ちを語る】BUHI編集長小西・FBL編集長チカ・代表ケンタ【鼎談(ていだん)】前編
愛ブヒの旅立ちはとても悲しいけれど、かならず迎えることになる現実です。けれども、その死はたくさんのことを教えてくれます。
わたしたちがそれを受け入れるのならば、あの子の存在はもっと強くなる。
愛ブヒを亡くした三人(BUHI編集長小西秀司・FBL編集長チカ・代表ケンタ)が、その思いを赤裸々に語りました。
虹の橋 -
【取材】スタイリスト・山本マナさんのフレブルライフ〜愛ブヒはスノウ7歳〜
フレブルオーナーといえば「どんなお仕事をしているんだろう」と思われがち。流行にとらわれないファッションや個性的なヘアスタイルが、その理由のひとつかもしれません。
今回取材したのは、ファッション業界の最前線で活躍中のスタイリスト、山本マナさん。愛ブヒはクリームのスノウ、7歳。
出会いのエピソードや休日の過ごし方、スタイリスト目線で伝授する“抜け毛が目立ちにくい色の服”とはー。
取材 -
【取材】上沼恵美子さん「もう一回だけ抱きしめたい」愛犬ベベとの12年間
運命の子はぼくらのもとにやってきて、流れ星のように去ってしまった。
その悲しみを語ることはなかなかむずかしい。
けれども、ぼくらはそのことについて考えたいし、泣き出しそうな飼い主さんを目の前にして、ほんのすこしでも寄り添いたいと思う。
その悲しみをいますぐ解消することはできないが、話をきいて、泣いたり笑ったりするのもいいだろう。
こんな子だった、こんなにいい子だった、ほんとうに愛していたと。
ぼくらは上沼恵美子さんのご自宅へ伺って、お話をきこうと思った。
取材 -
【編集Yの太鼓判はコレ!】留守番中も爆睡!究極の癒しベッドー編集部厳選!本当に使えるドッグギア #44
全員フレブルオーナーである『FRENCH BULLDOG LIFE』の編集部員たちが、自分たちで愛用している「本当に買ってよかった!」ものだけを紹介するこの連載。
今回は編集Yが、すべてのフレブルが大好きだと確信する極上のドッグベッドをご紹介! 留守番中もぐっすり、埋もれる姿は激カワ、さらに高確率で「へそ天」が見られます!
特集 -
【販売開始!】フレブルオーバーオール「UNIVERSAL OVERALL × W-OKI KENTA × フレブルライフ」
アパレルブランド「UNIVERSAL OVERALL(ユニバーサルオーバーオール)」と、沖縄在住のフレブルオーナーで人気タトゥーアーティスト「W-OKI TATTOOのKENTA」。そしてフレブルライフのトリプルコラボで完成した、フレブルオーバーオール。
ストア情報
フロントプリント、バックプリントの2展開で、それぞれフレンチブルドッグのイラストも違います!
イベント「フレブルLIVE」で先行販売しましたが、ついにフレブルライフストアで販売スタートです! -
【取材】脳腫瘍治療のスペシャリスト・長谷川大輔教授が進める脳腫瘍の最新治療とは
フレンチブルドッグは脳腫瘍になりやすい犬種だといわれています。事実として、てんかん発作の症状が出てMRI検査を受けたフレンチブルドッグのうち、「約70%が脳腫瘍」と診断されたというデータも。犬の脳腫瘍は残念ながらあまり良い予後は期待できず、根本的治療も身体に負担がかかることから、私たちオーナーは希望を失いがちになります。
そんな脳腫瘍治療に、新たな風が吹こうとしているのです! このプロジェクトの先陣を切る、日本獣医生命科学大学・長谷川大輔教授にお話しをうかがいました。
取材 -
【イベントレポ】約2,500頭のフレブルと4,000人のオーナーが集結!初開催「フレブルLIVE」の全貌
2022/11/12(土)に開催された、第一回『French Bulldog LIVE 2022 -秋-(フレブルLIVE)』。
なんと、約2,500頭のフレンチブルドッグと4,000人のオーナーさんが山中湖に集結!
北は北海道、南は宮崎県まで、まさに全国のフレンチブルドッグが一堂に会する瞬間となりました。
ご参加いただいた方も、今回は難しかった方も、写真たっぷりのレポートを時系列でお楽しみください! 「フレブルLIVE2023」の情報もありますので、最後までお見逃しなく!
イベントレポート
特集
-
フレンチブルドッグの性格/基本情報
からだの特徴や性格、歴史など基本的なフレブル情報をご紹介!
-
子犬/はじめてのフレンチブルドッグ
フレブルビギナーの不安を解消!迎える前の心得、揃えておきたいアイテム、自宅環境、接し方などをご紹介
-
フレブル病気辞典
獣医師監修のFrenchBulldogLifeオリジナル病気辞典。愛ブヒを守るための情報満載
-
フレブルライフ ストア
本当にいいものだけを、厳選紹介。FBLの公式オンラインストアです
-
【特集】レジェンドブヒの肖像ー10歳を超えて
10歳オーバーの元気なブヒを取材し、長寿の秘訣を探る。
-
【特集】5歳からのミドルシニアLIFE
ご長寿ブヒをめざすヒントがここに!
-
【特集】短命拒否権ーフレンチブルドッグは、もっと生きる
この特集は、『短命』のレッテルを返上するための、有益なフレブル生活記録簿です。
-
【特集】新・家術〜進化型家電と、新しい愛情物語
愛犬たちとのかけがえのない生活をもっと楽しく快適に暮らすために。
-
【特集】編集部厳選!本当に使えるドッグギア
フレブルと暮らす編集部が、自信をもって紹介したいアイテムとは!?
-
【特集】We wanna meet FBF! ー編集部が、会いたいキミのもとへ。
-
【特集】もしものときの名医名鑑
ヘルニアやガンなど、その道の名医たちを独占取材!
-
【特集】わたしは、愛ブヒのリーダーになるのダ。
プロドッグトレーナーが、リーダーになるための秘訣を解説!
-
虹の橋
愛ブヒが虹の橋へ向かう準備をするための場所
-
フレブルペット保険ガイド
あなたと、あなたの隣にいるフレンチブルドッグがより安心して暮らしていけるように
-
フレブル里親/保護犬情報
French Bulldog Lifeでは、保護犬を一頭でも多く救うための活動支援をしています。
-
French Bulldog LIVE⚡️2023 (フレブルLIVE)
French Bulldog LIVE 2023にまつわる情報をお届け。