気がつけば私たちの中心に。フレブルとの暮らしがもたらす幸福感に頷く。
フレブルと暮らしていると、基本全部が「ブヒ中心」になる。これはフレブルあるあるのひとつ。休日は愛ブヒと一緒に楽しめる場所を探し、服装だってカジュアル一辺倒に。時にはフレブルを迎える以前の暮らしを懐かしむこともあるけれど、もう戻りたいとは思わない。だってここにいるまあるい存在は他に変え難い宝物だから。
できなくなったことを上回る幸福。
大好きだったハイヒール、気まぐれに立ち寄る夜のバー。急に思い立って出かける旅行に頻繁な外食。
これらはフレブルを迎える以前の日常だったれど、お迎え以降はめっきり縁遠くなってしまったモノやコトばかり。
けれど今では別段それが残念ということもなく、「ああ、そんな日もあったな」なんてちょっと懐かしく思い出すくらい。
もちろん今もたまにヒールも履けば夜中まで飲むこともあるし、旅行も行く。
けれども旅行は愛ブヒと行ける場所を入念に選び、夜のお出かけはブヒを留守番させないよう夫と時間をすり合わせ、外食よりも自宅でテーブルを囲んでいる。
そう、すっかり私の生活はフレブルが中心になり、それが最高に心地いい。
これはある種自由が制限されることでもあるけれど、フレブルと暮らすという幸運に比べたらそんな自由はちっぽけなものなのだ。
ただ、彼らを迎えて最初のうちは、急にクルリと変わってしまったライフスタイルに戸惑う人もきっといると思う。
今まで当たり前にしていたことを我慢するようになったり、それに対しこんなはずじゃなかったなんて感じることもあるはず。
けれどね、彼らの一生はどれほど長く生きてくれたとしても20年に満たないことがほとんど。
そう思うと、この愛しさが詰まったまあるい存在と過ごす日々は瞬きをするくらい一瞬のことのように思うんだ。
一緒だから、こそ。
毎日の大半を愛ブヒと過ごすようになると、もう同じ空間にいることが空気のように自然になってしまう。
だけど時には一人の気ままな時間が欲しいなと思うことも、正直ある。
そして不意にそんな時間が訪れると、相棒の不在に心もとなくなりいつもブヒが陣取っているソファーに何度も目をやるのだ。
そういえば数年前のお正月、私の都合がつかず夫と愛ブヒだけで夫実家に帰省してもらったことがあった。
わずが数日程度でも相棒の不在はとても寂しく、その時は一人の気ままな時間なんていらないから、今すぐあのまあるい背中を抱きしめたいと願ったことを強烈に覚えている。
その時にふと、いつの日か永遠に抱きしめることが叶わなくなる日が来ることを痛感し、まだずっと先のことだと思いながらもとてつもなく不安になった。
でもその日はいつか必ずやってきて、私たちの胸を締め付けるのだろうと思う。
こうして考えてみれば、一緒に過ごせる日々はなんと美しく幸福なことか。
空気のような存在にまでなった相棒だからこそ、その不在は息を吸うのが難しく感じるくらいに、苦しい。
あの正月以降、私は一人の気ままな時間を望まなくなった。
一緒にいる方がずっと楽しく幸せだし、何より何気無く過ごす変わり映えしない日々は、かけがえのない命の時間だと気づいたから。
真ん中に陣取るとびきりの笑顔。
暮らしの真ん中。そこにデンと陣取るのはフレンチブルドッグ。
何をするにもどこへ行くにも、それが仕事以外なら大抵の場合は彼らが優先。
そんな日常が当たり前になっているベテランブヒオーナーさんがいる一方で、きっと迎えた当初の私のように、以前のライフスタイルを恋しく感じる新米オーナーさんもいるだろう。
彼らとの暮らしを選んだことで手放したモノやコトは少なくないかもしれない。
けれどこれだけは自信を持って言えるのが、フレブルがそれ以上の何かを与えてくれるということで、過ごす時間に比例して受け取るものは大きくなる。
仮に命が砂時計だったとしたなら、彼らの成長と共に一緒に過ごせる時間、つまり命の砂はサラサラと減っていく。
人生を共にするということは命の時間を知ることでもあり、それを受け入れることでもある。
砂時計の砂の一粒はかけがえのない時間で、砂つぶの数は限られている。
10年、20年という数字だけ見るとそれは長い時間のように思うかもしれないけれど、その中で生きていると本当にあっという間に過ぎ去るのだ。
だからこそ、かけがえのない今を、一緒に歩める日々を、実体を抱き締められるこの瞬間を、どうか大切に。
フレンチブルドッグとの暮らしの中で彼らが真ん中にいること、それはとてつもない幸福なのだから。
おわりに
人間は身勝手な生き物で、あれほど熱望したのに手に入ると時に煩わしさを感じるようになったりする。
一方でひたむきに愛をくれるのが彼らフレブルであり、私たちは常にその愛に応える必要がある。
なぜならそれは彼らを迎えた時に交わした愛ブヒとの約束だから。
彼らの一生は長いようで短く、どれほど長生きしてくれたとしても人間の寿命には到底及ばない。
だから共に生きれる日々は、どうか彼らを真ん中に。
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