【愛犬をわがままにするオーナーのNG行動 Part.3】散歩中にグイグイ引っ張る、座り込む!その原因と対策は
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。これまで2回にわたってシリーズでお届けしてきた“愛犬をわがままにしてしまうオーナーさんのNG行動”ですが、第3回となる今回は、散歩で引っ張る、座り込む原因とその対処方法についてお送りします!
目次
ケース(3)散歩で引っ張る、座り込む

Anastasiya Tsiasemnikava/Shutterstock
「【愛犬をわがままにするオーナーのNG行動 Part.1】おやつをもらえないと吠え続ける!その原因と対策は」、「【愛犬をわがままにするオーナーのNG行動 Part.2】コマンド、指示を無視!その原因と対策は」と、これまで2回にわたり紹介してきた、犬がよくする“わがまま”に見える行動と、その理由。
以前の記事でお伝えしているように、人間から見たらわがままを言っているように見える行動は、実はその行動をしてしまう環境の中に犬が置かれているだけ。性格がわがままなわけではありません。
今回のテーマである“散歩で引っ張る、座り込む”も同じです。
Part.3の今回は、お散歩でオーナーさんを引っ張り回す、途中で座り込むケースの原因と対処法を紹介します。
例えば、愛犬が自分の行きたい方ばかりにグイグイ引っ張り、オーナーさんの行きたい散歩コースが歩けなかったり、希望の散歩時間をオーバーしてしまったり、気になる匂いや気になる物があれば、首がギューギューになっても引っ張っていってしまったり。
または、「そっちに行きたくない!」とか、「家に帰りたくない!」と座り込んでしまい、頑として動かなかったり。
そんな“わがままに見える行動”について、考えてみましょう!
愛犬にとって散歩は、超嬉しい冒険タイム

Lapina/Shutterstock
お散歩がなかなか思うように行かないというご相談は、とても多くのオーナーさんから頂きます。
ブヒたちは、重心が低く、まあまあな重さで引っ張りますから、オーナーさんの身体への衝撃もなかなかのもの。そのせいで、お散歩に行くことが憂鬱になってしまうオーナーさんがいるのも現実です。
急にビュンと引っ張られたり、岩のようにどっしり座り込みを決められてしまうと、「わがままばっかり言わないでよー!」と泣きたくなる場面もあることでしょう。
しかし愛犬側の目線になって考えてみましょう。
愛犬にとってお散歩は、1日の中でも超刺激的で開放的な時間です。
外では、家では感じられない匂い、音、刺激がたくさん得られます。犬たちは、自分で自由に散歩に出られるわけではありませんから、限られた散歩時間に大興奮してしまう気持ちはわからないでもありませんよね。
“超嬉しい冒険タイム”であるお散歩タイムを、犬たちは存分に楽しもうとします。
オーナーさんたちは仕事や家事で疲れた身体にむち打ちつつ、散歩をしているかもしれません。
しかし、愛犬側はフルパワーで、グイグイ、クンクン。「早く早くー! もう、オーナーさんったら、遅いんだからー!!」などと思っているかも知れません。
待ちに待ったデートの時間!

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このお散歩へのモチベーションのズレが、オーナー側と犬側で異なっていることで、愛犬がわがままを言っているように感じてしまうのかも知れません。
オーナーさんは、忙しく疲れているときでも、一生懸命に散歩に出てあげようとします。
しかし、そんなオーナーさんの苦労なんて、ブヒはつゆ知らず。充電完了100%の体力を散歩にぶつけてきます。
犬側からしたら、大好きなオーナーさんとのデートの時間を存分に楽しもうと、勇み足になりまくってしまうのです。
つまり、愛犬たちはけして、わがままで引っ張ったり、座り込んでいるわけではありません。ましてや、オーナーさんを困らせたいわけでもありません。
それだけ、オーナーさんとの散歩は楽しいものだと言うことなのです。
愛犬側からすれば、1日の中でも楽しい散歩の時間に、道順も、歩くペースも、距離や帰宅時間までも、全てコントロールしてくるオーナーさんのほうがわがままに思えてしまうかも知れませんよね。
オーナーに合わせて歩く時間、愛犬に合わせて過ごす時間。そのバランスが大事

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じゃあ、愛犬を喜ばすために、オーナーは我慢して引っ張り回されなきゃいけないのかというと、そういうわけではありません。
逆に、もう面倒になって、長いリードのまま愛犬をフラフラさせておくのも、絶対にNG。
人の迷惑顧みず、愛犬を自由にさせすぎていると、地域住民から“犬を放任するわがまま飼い主”認定されてしまいます。
ではどうするべきかというと、オーナーに合わせて歩く時間と、愛犬に合わせて過ごす時間をバランス良くコーディネートしてみましょう。
終始オーナーの横をぴったり歩かせるだけでも、終始愛犬の自由にさせるだけでもダメ。そんな極端な構成にしてしまったら、どちらかが「もうイヤ!」となってしまいます。
例えば、車や人通りが多い場所では、愛犬の自由にさせたら危険ですから、犬にはオーナーさんのペースで歩いてもらいます。
しかし、ずっと、オーナーさんのペースで歩かれたら、愛ブヒだって退屈。ですから、必ず愛犬のペースで楽しめるような時間も作りましょう。
愛犬たちは、体で感じ、匂いを嗅ぎ、散歩を楽しみますから、周辺を見渡せる安全な場所に着いたら、たくさん匂い嗅ぎをさせてあげたり、一緒におもちゃで遊んだり、愛犬のペースを優先し、時間を過ごしてください。
こうやって、オーナーに合わせる時間、愛犬が楽しむ時間をバランスよく構成していくのです。
お散歩の時間は、一緒に作っていくもの

OlgaOvcharenko/Shutterstock
犬を飼う、犬の世話をする、犬と日々散歩をするって、それだけ大変なことです。365日、休み無し。頑張っているオーナーさんたち、みんなエライ!
だからこそ、どうしても時間や体力に余裕がないときには、「もう! わがまま言わないでよー!」と、泣きたいような、怒りたいような気持ちになってしまいますよね。
どうか、体調が悪い時、心が折れそうなときに、なんとかして無理にでもお散歩に行こうとしないでください。
オーナーさんが倒れてしまったり、もう散歩に行きたくないという気持ちが強くなってしまったら、愛犬にとってはそれが一番困ること。
お散歩は、オーナーさんだけが我慢するものでも、愛犬だけが我慢するものでもありません。一緒に作り上げる時間です。
ですから、オーナーさんが散歩をするのが無理なあるときには、気軽に散歩代行を依頼するなど、自分の心と体を守る術も検討してくださいね。
引っ張りや座り込みが、オーナーさんの手に余る状態になっている場合にも、無理せずドッグトレーナーなどの専門家に相談しましょう。
散歩はこれから何年も続けていくこと。毎日が辛いのはあまりにもキツイです。オーナーさんが、元気で、笑顔でいられることが、一番です。
引っ張る、座り込むときの理由と対策

SM-BG/Shutterstock
ここまでお読みくださったみなさんなら、引っ張ったり、座り込んだりする愛犬がわがままではないとおわかりいただけたはずです。
我々人間が一方的にわがままだと決めつけるには、あまりに純粋で、健気な、犬たちの散歩への情熱。愛犬の散歩したい欲求を満たしつつ、オーナーさんの出来る範囲のことを模索していきましょう。
とはいえ、現実的に引っ張りや座り込みに困っているよという方向けに、具体的な対策を紹介している記事がこちらです→「ワガママやガンコじゃない!犬が散歩中「歩かなくなる」「違う方向に行きたがる」原因と対策は?【愛ブヒの本音を知ろう】」
わがままに見える行動も、その理由が理解できれば、心の平穏も保てますし、対策も立てられます。
今、散歩がストレスになっている方も、十分楽しめている方も、愛犬側の気持ちをもっと深堀りするために、ご覧になってみてください。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます! 今回は、わがままに見える行動Part.3として、「お散歩で好き勝手に歩く、座り込む愛犬」のケースを紹介しました。
PERRO株式会社 代表取締役 大久保羽純
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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