「うちの子は無理」は嘘!フレブルがクレートを好きになる方法【後編】
国際的なドッグトレーナーライセンスを取得している大久保羽純さんに、愛ブヒを正しく守り、導き、固い信頼関係を築くための方法を学ぶこの特集。今回は、クレートトレーニングに関する最後の内容。トレーニングを進めるうえでのコツや、やってはいけないNG行為を知りましょう!
トレーニングのコツと、NG行為
みなさんの愛犬はクレートが好きですか?
クレートとは、愛犬を中に入れて持ち運び出来る箱のこと。
先日の記事では、クレートで待機できるようになるためのトレーニング方法を紹介しました。
ポイントはこれ!フレブルのクレートトレーニングの方法【前編】
とはいえ「トレーニング方法は分かったけれどうまくいかない」と悩むオーナーさんは少なくないはず。
そこで今回は、トレーニングを進めるうえでのコツや、やってはいけないNG行為をご紹介します!
これまでの記事を読んでから進んでくださいね。
・フレンチブルドッグの「クレート」の必要性を改めて考えてみた
クレートトレーニングのコツ
クレートトレーニングのコツはいくつかあります。
・クレートの印象を良くする
犬とって、クレートは謎の箱。「これはなんだろう…」と不気気味に思っている子だっているかも知れません。
トレーニングの目的は「クレートっていいかも♪」と思ってもらうことです。
そのためには、おいしいご褒美と一緒にクレートに出入りする練習を重ねていきます。
ご褒美はケチらず、愛ブヒが自発的にクレートに出入りする機会を増やしていきましょう。
・日頃の食事をご褒美に使う
1日分の食事と好みのおやつをタッパーに入れたら、そのうちの6割〜をトレーニングのご褒美に使います。
新しいことを学ぶときには、モチベーションとなるご褒美が大事。
とはいえ、トレーニングのたびにおやつを補充していたら肥満まっしぐら! お皿でご飯をあげるだけなんてもったいないことはしないで、日頃の食べ物をトレーニングに活用しましょう。
・日常的にクレート内に食べものを隠しておく
「さあ今から練習だ!」と、決まった時間にご褒美をクレートに投げ込むばかりではなく、日頃からこっそりクレートの中にご褒美を隠しておくと良いでしょう。日常的な宝探しの場所として、愛ブヒがクレートに入ってくれるきっかけになります。
・疲れているときに練習する
クレートトレーニングは元気があり余っているときより、少し疲れているときに行うのがおすすめ。
散歩後などで疲れていれば、トレーニングをしたまま中で寝ちゃったりすることもありますよ。
・クレートは出したままにする
何か慣れてほしいものがあるときは、日常的に置いたままにしておくほうが慣れやすいです。
片付けたり出したりを繰り返すと「うわっ! また現れたな!」と興奮させてしまいます。
成功体験を積み重ねる&失敗したら一旦戻る
ここまで、いくつもコツを紹介してきましたが、特に大事なコツも紹介します。
それは、「こつこつ成功体験の積み重ねをする。」こと。
前回の記事で具体的なトレーニングステップをご紹介しましたが、それを1日でできるようにするのは無理です。無理やり1日でやりきっても、すぐに忘れてしまいます。テスト前の一夜漬けと同じです。
もしもあなたの愛ブヒが、クレートに対して良いイメージも、悪いイメージもない子犬だったら、上達が早いかもしれません。
しかしそうでない場合は、クレートに入れるようになるまで半年以上かかったっておかしくありません。
あせらず、成功体験を積み重ねていきましょう。
逆も然りで「失敗体験を続けないこと」も重要。
失敗したときは、すぐに1つ前のステップに戻ってください。
なんでうまくいかないかな…なんて考えながら、失敗を重ねさせてしまうと、状況はどんどん悪化します。
繰り返しになりますが、大切なのは成功の積み重ねです。
三歩進んで二歩下がる。トレーニングに必要なのは「飼い主の忍耐力」だとも言われています。
NG行為はこれ
では、トレーニング中にやってはいけない「NG行為」もご紹介します。
・クレートから出ているおしりを押し込む
結構、やっちゃう人いるんですよ〜! もちろん、ダメ。愛ブヒのペースで進めるのを見守りましょう。
不安を感じて、慎重に前進しているのに、無理やり押し込められたら、不安が増大してしまいます。何度も言いますが、オーナーさんに必要なのは「忍耐力」です。
・クレートを罰に使う
いたずらなどをした時に、叱って閉じ込める部屋として使ったりすると、クレートの印象は悪くなるばかりです。
クレートに関わる時間は、愛ブヒが幸せでいられるように、気を付けましょう。
・クレートを叩く
クレート内で吠えたときなど、クレートを叩く人がいます。驚いて吠えなくなることもありますが、クレートの印象は悪くなります。
当然、クレートに近づかなくなったり、入っている間に緊張するようになってしまいます。
・クレートにいるときに、他の犬や人が近づく
愛ブヒは閉じ込められた状態なのに、他の犬や人がクレートにちょっかいを出してきたら、逃げ場がありません。
犬嫌い、他人嫌いなブヒであれば、クレート内で恐怖を感じるでしょう。
犬好き、他人好きなブヒであれば、クレートから出たくて興奮してしまいます。
他の人や犬が覗き込んだり、指を入れたりすることから守りましょう。
・中に入れる時間が長すぎる
どんなにトレーニングが上達したって、クレートに入り続けて2時間以上になってくると、愛ブヒは窮屈でたまりません。
排泄だって必要です。新幹線や車の移動などでクレート待機が長引く場合は、途中で休憩や散歩を挟むなど、愛ブヒのQOLに配慮しましょう。
「クレートトレーニングのNG行為」とは、要するに「クレートの印象を悪くすること」です。クレートは、美味しい、楽しい、快適な場所として、愛ブヒが進んで入りたくなる隠れ家であることを常に意識してトレーニングを。
さあ、今日から始めよう!
トレーニングを始めるのはいつからでもOK。
結局のところ「クレートって素敵な場所」とブヒに思ってもらえるように、オーナーさんが働きかけるだけです。
トレーニングを勉強だと考えると、肩に力が入ってしまうかもしれません。
その気持ちは、よーくわかります。
しかし、本来トレーニングって、愛ブヒとの遊びのようなもの。オーナーさんが出題者で、愛ブヒが回答者。
愛ブヒが「ぼくできるよ♪ 」「わかったぞ♪ 」とどんどん問題をクリアしてドヤ顔になる様子は、まるで会話のキャッチボールのようでワクワクします。
遊びながらクレートトレーニングをやっているうちに、クレートができるようになっちゃったら、オーナーさんが楽に暮らせるようになるだけでなく、緊急時の愛ブヒの生存確率も上げられます。やらない手はありませんよ。
困ったときは専門家に相談しよう
もしクレートのことで困っていることがあれば、どうか一人で悩まずに、ドッグトレーナー、獣医師、トリマーなどの専門家に相談をしてみましょう。
トレーニングはコツを掴むと、どんどん楽しくなってきますが、コツを掴むまでの途中で挫折してしまうと、つまらなくなってしまいます。
はじめだけでも、トレーナーとマンツーマンで学ぶ機会を設けると、その後の近道になります。
ドッグトレーナーに依頼をする場合は複数人と面談するようにしましょう。
そのトレーナーが、生活環境の設定に関しての知識と豊富な経験を持っているか、学術的、科学的知識をもって動物福祉と動物への倫理に基づいた指導を安全に行える人材かどうか、オーナーさんが審査をしてくださいね。
自己紹介
PERRO株式会社 代表取締役
SUNNY Dog Training Partner代表 大久保羽純
米国CCPDT認定CPDT-KAライセンス所持プロドッグトレーナー
日本とニュージーランドでトレーニングを学び、現在は東京で「犬と人の心をつなぐトレーニング」を広めている。「Happy Dog Training for LOVE & PEACE」をモットーに、しつけ方教室を始め、各種ドッグイベント開催、企業のコンサルティング、行政からの講演依頼、保護活動への協力、東京都動物愛護推進員など、日々犬と人の暮らしを楽しいものにする活動を行っている。
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