フレンチブルドッグが「痩せてきた」場合に考えられる病気
愛ブヒが最近痩せてきた、もしくは動物病院やトリミング先で痩せたと言われた。そんな経験はありませんか?
生きていれば当然体重の増減はあります。しかし「痩せる」という裏には、大きな問題が隠れていることも多いのです。
今回は愛ブヒが「痩せてきた」場合に考えられることをご紹介します。
糖尿病

Krievenko Photo/shutterstock
糖尿病は肥満のイメージがあるかもしれませんが、犬の場合は肥満が原因で糖尿病になるわけではありません。
犬の糖尿病は「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」や、未避妊の女の子の「インスリン分泌の乱れ」によって発生します。
インスリンとは、血糖値を下げる働きをもつほぼ唯一のホルモンであり、膵臓がその役割を担っています。
しかし、体がインスリンに対して抵抗性を示してしまうと、膵臓はさらに一生懸命インスリンを分泌しようとするため膵臓が疲労し、その結果インスリン分泌が欠如し、糖尿病となるのです。
糖尿病になると、細胞が糖をうまく取りこめず、糖が血液中・尿中にあふれてしまいます。
また、体は食事からは栄養を吸収することができなくなります。
そのため、自らの筋肉や脂肪から栄養を取ろうとするため痩せてしまいます。
フレンチブルドッグは食欲旺盛で、運動量も多くありません。
そんな愛ブヒが、最近食べているのに痩せてきた!お水を大量に飲む!そんな症状があらわれたらすぐに病院で受診しましょう。
慢性腎機能障害(慢性腎不全)

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一般的に加齢と関係が深く、シニア犬になるほど発症リスクが高いとされています。
また、フレンチブルドッグは好発犬種ではありませんが、尿結石などの閉塞による急性腎障害から慢性腎障害へと移行するケースもあります。
また、なんでも食べてしまいがちなフレンチブルドッグは、毒性のあるものを誤食して急性腎障害を起こし、慢性腎障害へと移行するケースも考えられます。
腎臓の役割
・血液中で不要になったものを尿として体外に排出させてくれる浄化作用。
・体の水分調節。
・血圧を調整。
・赤血球を生成。
・骨や歯に必要なカルシウムの吸収に関与するホルモンの生成。
など、腎臓は生きていく上でなくてはならない臓器です。
腎臓は様々な原因で障害をうけ、それが不可逆的損傷となりいわゆる腎不全といった状態に陥ります。
障害をうけた腎臓は全身に毒素が蓄積し、貧血や高血圧などを引き起こし、食欲低下、体重減少などをもたらします。
シニア犬が慢性的にゆっくりと腎臓病が進行した場合、大きな変化を犬から感じることができず、最近痩せてきたなぁというところから発見されることもあります。
腎臓病は早期発見で進行を極力抑えることが可能ですので、定期的な尿検査・血液検査をおすすめいたします。
腫瘍・癌

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癌は体を痩せさせていく…栄養状態が非常に悪いことを悪液質と言いますが、癌によって引き起こされる栄養不良の状態を癌性悪液質といいます。
発生のメカニズムはまだはっきりとはわかっていませんが、人では腫瘍から放出されるタンパク質を分解する因子や,神経内分泌系の異常が示唆されています。
また腫瘍によって引き起こされる炎症性サイトカインの活性化が種々の代謝異常や食欲不振を引き起こします。
筋肉分解、脂質分解などの代謝障害により、食事をとっているにも関わらず痩せていくのです。
犬たちは言葉が話せない分、体調不良を訴えにくいところもあります。
知らず知らずに痩せていて、その原因が腫瘍ということもありますので、背中がゴツゴツしてきたなど筋肉や脂肪が急に落ちてきているように感じられたらすぐに病院で受診されてください。
蛋白漏出性腸症

anukun normai/shutterstock
腸管内に蛋白や脂質などを豊富に含んだリンパ液が漏れ出ることで起きる疾患です。
どの犬種にも発生し、フレンチブルドッグにも発生します。
腸炎や腫瘍などが原因で二次的にリンパ液の流れが悪くなり起きる場合や、先天的にリンパ管形成不全などによって若齢から起きることもあります。
栄養豊富な蛋白を含んだリンパ液が腸管に漏れ出ることから、体は痩せていきます。
一般的には下痢も伴います。重度の症例では腹水が出てお腹が膨らむため、一見痩せていないように見えることもあるかもしれません。
慢性的な下痢は注意が必要です。
慢性皮膚炎

kotaharu/shutterstock
フレンチブルドッグは皮膚のバリア機能がとても弱く、さまざまな原因で皮膚トラブルが起き、皮膚細菌感染症を併発します。
皮膚疾患は痒みを伴うことも多く、皮膚が痒いというのは生きている動物にとってとても大きなストレスとなります。
ストレスで食欲不振に陥ったり、皮膚炎の悪化で皮膚から滲出液などが出たりするとエネルギーバランスが悪くなり痩せていきます。
フレブルはアレルギーやアトピーも多い犬種ですが、今は適切な食事や薬、外用療法によって良好に皮膚を保つことができますので、ぜひ積極的に皮膚はケアーしてあげてくださいね!
食物不耐性

anukun normai/shutterstock
食物不耐性とは特定の食物を消化することが困難な疾患です。食物アレルギーと症状が似ています。
栄養素の消化吸収不足により軟便や下痢になったり、エネルギー吸収不良により痩せてしまうことがあります。
慢性的に続く胃腸障害はしっかりと病院で検査されてくださいね。

獣医師:堀江志麻先生
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