2017年4月5日26,176 View

【乳腺腫瘍】メス犬で最も発生率が高い腫瘍〜お腹をなでて「しこり」がある場合は病院で検査を〜

「乳腺腫瘍」は、メス犬で最も発生率が高い腫瘍とされています。人間にとっても、大変心配な腫瘍のひとつです。

愛しいフレンチブルドッグのおっぱいに何かコリコリとしこりがある場合は、注意が必要。今回は、乳腺腫瘍についてお話しします。

フレンチブルドッグ 病気

Nadya Chetah_shutterstock

症状

お腹をなでていたら、おっぱい付近にコリコリした「しこり」がある

お腹をなでると、ポコポコといくつも「しこり」がある

 

原因

「早期避妊手術をおこなうと、乳腺腫瘍の発生を抑えられますよ。」

おそらく女の子のフレンチブルドッグと暮らしている飼い主さまは、動物病院で一度は説明を受けたことがあるのではないでしょうか。

 

乳腺腫瘍は早期に避妊手術をおこなうことで、有意にその発生率を抑えることができます。このことから乳腺腫瘍の発生には、性ホルモンが関与していると考えることができるのです。また、1歳の時点で肥満傾向にあると、乳腺腫瘍の発生リスクが高くなるとも言われています。

 

乳腺腫瘍は他の腫瘍同様、「良性」と「悪性」に大別されます。

小型犬では良性腫瘍が多く、大型犬では悪性腫瘍が多い傾向にあります。とはいえ、悪性の乳腺腫瘍はリンパ節や肺に非常に転移しやすいので、十分注意が必要です。

 

診断

乳腺腫瘍は、麻酔なしで簡単に検査できる針細胞診では悪性か良性かを診断することが非常に難しい腫瘍です。

 

そのため、他の腫瘍とは異なり、基本的にはそのしこりを手術で摘出し、病理検査にて判定することが基本となります。

 

治療

外科的に手術することが基本となります。しこりのみを摘出するのか、その付近の乳腺も一緒に摘出するのか、片側全部の乳腺を摘出するのかは、腫瘍の発生部位や大きさや動物の年齢などによって異なります。

 

もし悪性腫瘍だと判断された場合は、その子の状態、腫瘍の状態、転移の有無などにより術後に抗がん治療が選択される場合もあります。

 

予防

さきほど述べたように、早期避妊手術は乳腺腫瘍の発生を抑えることができます。以下、発生リスクにおいて、以下のようなデータが出ています。

 

・初回発情前に避妊手術を行った場合の相対リスク:0.005%

・1回目の発情と2回目の発情の間に行った場合:0.08%

・2回目の発情以降に行った場合:0.26%

 

当然、初回発情前に行った場合が最もリスクは低いのですが、当院では避妊手術は1回目の発情と2回目の発情の間におこなうことを推奨しています。

 

理由は、性ホルモンは動物の成長過程で重要だから!

しま先生

獣医師:堀江志麻先生

女性ホルモンをはじめとした性ホルモンは、やはり動物が成長する過程で重要だと考えているからです。もちろん確立した証拠はないのですが、動物が成長する過程で、すべてのホルモンは少なからず必要であると考えています。

 

そのため当院では、避妊手術は動物の体がしっかりと成長したあとに、避妊手術にて卵巣と子宮を摘出することを推奨しています。

 

避妊手術の時期については、病院によって様々な考え方があると思いますので、かかりつけの指示に従ってくださいね。

 

フレンチブルドッグは、麻酔のリスクから避妊手術をされていない方もいらっしゃるかもしれません。ですが、乳腺腫瘍のことを頭の片隅に記憶にとどめ、常に愛ブヒの体をさわり、何かできていれば、かかりつけの病院で受診されてくださいね!

 

治療費

(再)診察料:1,000〜2,000円

麻酔下にて切除手術 :40,000〜

化学療法:20,000〜

 

※症状や病院によって相場は異なります。あくまでも参考金額です。

 

フレンチブルドッグ病院

獣医師:堀江志麻先生

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