2016年12月28日24,596 View

【精巣腫瘍】去勢手術をしていない5歳以上の子は要注意!症状や原因を覚えておこう

フレンチブルドッグをはじめとした高齢のどの犬種にも発生する可能性のある精巣腫瘍。もちろん、去勢手術をしていない子に発生します。

フレンチブルドッグは他の犬種と比較して、麻酔のリスクから去勢手術をしていない子が多いかもしれません。

今回は、犬の精巣腫瘍についてお話ししましょう。

精巣腫瘍

Dobre Cristian Leonard/shutterstock

病気のサイン

精巣の大きさに左右差がある、片方の精巣が大きい、脱毛、皮膚色素沈着、雄なのに乳房が腫れてきた

 

症状

精巣腫瘍は痛みや熱感を示すことがほとんどないので、進行してから発見されることが多いです。

 

犬の精巣腫瘍は、主に3種類の腫瘍が発生します。

・精上皮腫(セミノーマ)    

・間質細胞腫(ライディッヒ細胞腫) 

・セルトリ細胞腫

 

間質細胞腫はあまり大きくならないことが多い一方で、精上皮腫とセルトリ細胞腫はとても大きくなることが多いです。しかも、セルトリ細胞腫の場合はいびつに!

 

セルトリ細胞腫の場合、ホルモンの関係で雌性変化を起こし、乳房が雄なのに大きくなったり、雄犬が寄ってきたりします。また、脱毛や、皮膚の色素沈着が現れることも。

 

一見精巣とは全く関係ないのに、そういった症状が実は精巣腫瘍からくるものであることがありますので、覚えておいてくださいね。

 

 

多くは良性腫瘍であることが多いのですが、もちろん悪性であることもあります。

 

悪性の精上皮腫の場合、5−10%にリンパ節や肺、その他の臓器に転移することがわかっています。

セルトリ細胞腫は約20%が悪性と言われています。

 

去勢をしていない子は、精巣のサイズに加えて、皮膚やその他の変化がないか、注意してくださいね。

 

原因

5歳以上の去勢をしていない犬たちは、どの子でも発生リスクがあります。

 

また、犬はもともと、生後1ヶ月以上してから、お腹の中で作られた精巣が陰嚢内に降りてくるのですが、他の動物と比較すると、精巣が1歳になっても降りてこないような「停留睾丸(精巣)」の発生率が高いことがわかっています。

 

停留睾丸の場合、精巣腫瘍の発生率が10%以上も高くなるので、片方もしくは両側の精巣がない!ということでしたら、腫瘍化するリスクがあるので、腹腔内もしくは陰嚢付近までしか降りてきていない精巣を摘出する必要があります。

 

《治療法》

人では、抗がん剤治療や放射線療法が行われることが多いですが、犬では確立されていません。

 

治療の第一選択としては、去勢手術で精巣を摘出します。

 

そして、必ず病理検査に出し、悪性だったのか、良性だったのか、何の腫瘍だったのか、診断してもらってくださいね。

 

予防

若いうちに去勢手術をして精巣を摘出することが何よりの予防。ですが、きっと皆さま麻酔のリスクが心配ですよね。

 

フレンチブルドッグの性格や状況を踏まえて手術をしてくれる病院もあるので、信頼できるかかりつけを見つけておくことが大切です。

 

治療費

(再)診察料:1,000〜2,000円

去勢手術:30,000〜

病理検査 :15,000〜

 

※症状や病院によって相場は異なります。あくまでも参考金額です。

しま先生

獣医師:堀江志麻先生

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